(42)リーグ戦後インタビュー 坂本誠志郎主将

2015.11.22
 結果を残せなかったことを悔いた。坂本誠志郎主将(文4=履正社)は1年間日本一にこだわってチームを引っ張ったが達成できず「後悔は一生持つと思う」。自身は今季リード面で守り勝つ野球を支えた。優勝を目前にしながら敗れた今季、そして大きな成長を遂げた4年間を振り返っていただいた。(この取材は11月18日に行われたものです)

――2位という結果でしたが今季を振り返っていかがですか
 勝っても負けても悪かった部分を見直して、次の日にいい方向に向けられたことは良かったですが、失敗の仕方がずっと同じで、それを引きずって結果に表れてしまった部分が反省点です。

――法大戦に負けた原因は改めて何だと思いますか
 優勝が見えて気が抜けるではないですが、ふっとしてしまった部分、それしか多分ないですね。法政から最後負けないという気持ちを感じ圧倒されました。向こうはうちを倒そうとやってきましたが、うちは法政に勝つというよりも優勝するという気持ちで。ちょっとずれていたなという気はします。

――優勝に王手をかけてからの雰囲気はいかがでしたか
 悪くはなかったです。1回戦を取ったことで優勝が近くに、あと1つ勝てばというところになりましたが、法政が土壇場で力を見せてきました。そこで勝ち切れなかった弱さがあったと思います。

――一方で、開幕から4カード勝ち続けていた要因は何でしたか
 ピッチャーが頑張って投げていましたし、守りでもそんなに大きなミスがなかったのが、我慢して粘ってという試合になったと思います。大事なところできっちり打てたり、つながりも持てたことは良かったです。

――チーム失策は最小の4つと、守りが堅くなりました
 守りに対する意識は高くなりました。練習の中でもミスが出たらやり直して、ノーエラーで全員終わるまでという感じで一つに対してやりました。そこへの気持ちの入れ方が変わったので、それがつながったかなと思います。

――攻撃では四死球と犠打数がリーグ1位でした
 フォアボールを追い込まれてから取ったりするのは相手からすると嫌ですし、バントもできるところできっちりやるという。つながりをもってというところで、結果的にそういう数字が残ったと思います。

――今季のご自身の成果と課題は何ですか
 いいところもありましたが、まだまだ悪い部分が出てしまいました。リーグ戦序盤は打てていましたが、中盤以降から欲が強く出すぎたなという気はします。

――序盤は立大戦の本塁打や早大戦の決勝打がありました
 その頃は調子が良くていい感じに打てていましたし、自分の打ちたい打ち方をできました。そこは良かったですが、そこからいろいろ求めすぎて、オーバースイングになったり力んだりがありました。

――リード面は春からどう変わりましたか
 今季は各大学が柳(裕也投手・政経3=横浜)の球に全くついてこれないという現状があったので、そこでタイミングの合っていないボールを続けるか、違うことをするかというのは上手にできたと思います。左打者への膝元のスライダーは今回特に使いましたし、柳自身も使えるなと感じたと思います。あの球を生かすのは真っすぐですし、真っすぐを生かすのもあの球でした。どっちかだけでなく、どっちも上手に使えました。

――法大3回戦で決勝のスクイズを決められた場面の攻防を改めて振り返っていかがですか
 1回ウエストしてそのあと決められましたが、もう1回外してもよかったなという後悔はしています。あの場面であの打者、あの雰囲気(13回表1死三塁で清水二)ということで点を取るならスクイズしかない中で、1回警戒したなら最後まで警戒し続けておけばなという気がします。1点の勝負だったので、失点してチームの雰囲気としては「やばいな」という感じはありました。そこで次のしのぎ方で変わるかなと思っていましたが。

――開幕前に手応えを感じていたスローイングでは、今季は走者を刺す場面が目立ちました
 自分でこうしたい、ああしたいということに対して結果が出せたことが一番大事じゃないですかね。盗塁を刺せるとかいうよりも、自分の言ったことに対して結果が出たのが大事なことです。

――主将としての1年間を振り返っていかがですか
 4年生は個が強かったですが、やってみてみんなそれにこだわりがあってプライドがあり、その部分が最初は強かったです。春負けて話し合いをしたらみんなでチームのために、チームがどうなるかを考え出しました。すごくいろいろな考え、行動、言動が見られて、自分が何かするというよりも、みんなが意識を持ってくれました。
 このメンバーでこのチームでキャプテンをできてよかったなという気持ちと、変ですけど終わってほっとした気持ちがあります。でも、チームにみんなに何もしてあげられなかった後悔は一生持つと思います。

――秋はチームのまとまりがあったと多くの選手が言っていましたが意識したことは何ですか
 縦横のつながりも大事ですが、メンバー外の手伝ってくれる選手への配慮が大事だと思いましたし、メンバーとの差が出ないように、どう近づけていくかは意識していました。

――4年間で成長した部分は何ですか
 人間的に大きくなり、いろいろなことが分かるようになりました。野球にしても生活にしても人としても勉強になることが多かったです。4年間は間違ってなかったなというか、明大に来てこういう道になったのは良かったと思います。

――特に学べたことは何ですか
 誰が何を思ってこういう発言をしているのか、どんな人間かということを見れるようになったと思います。寮生活じゃないと学べなかったですし、監督がそういう人なので、そう見ちゃう部分もありました。

――チームメイトの存在はいかがでしたか
 上級生下級生はもちろんですが、特に同級生には本当に恵まれました。選手としても人としてもやりやすい中でやらせてもらえました。自分は周りのことを気にしてとなっていましたが、そんなことをしなくてもよかったのかなと今になって思います。

――一番転機となった試合は何ですか
 1年春の立大戦です。大学のスタートの試合で、自分もやっていけるという確信を持てました。
もう一つ2年の春の法大戦です。法大がずっと連勝で来ていて、1回戦に負けた時は「ここにどう勝てばいいか、どうしたらいいのか」という気持ちしかなかったですが、対策を考えて考えてピッチャーと相談して、引き分けから2連勝に持っていけました。どうしたらいいかというところから、形にして勝ちにつなげられました。その経験があったので今回の慶大戦でも1回戦は全然でしたが、そのあと大丈夫だろうという感じはありました。そのあたりですね。

――リード面での4年間の成長はどう感じていますか
 リーグ戦は同じ人と何回もやるわけで、1回戦だめだったことを2回戦にというように次の試合の準備に切り替えたり、いろいろなことを自分でかみ砕いてどうしたらいいか、何が優先なのかと考える幅は広がりました。
 プロでは同じ相手と何十試合もするので勝手は違いますが、4年間のことが生きればいいですし、生かさないといけないと思います。

――4年間で多くの好投手を受けてきたと思いますがどうでしたか
 投手に恵まれないと捕手は良くならないと思いますし、どこの大学からも明大の投手はいいねと言われるような人と巡り合えたことは大事なことです。そういう巡り合わせがあったことで、こうやって自分も成長させてもらえたなと思います。
 最初に関谷さん(亮太選手・平26政経卒・現千葉ロッテマリーンズ)とバッテリーを組んで、大学野球はこうなんだと教えられたような気はしますし、それからも関谷さんと組んでは教えられました。

――チームとして印象的な試合は何ですか
 2、3年のころの神宮大会の決勝で亜細亜と駒澤に負けたことですね。何もできなかった、そこはきつかったです。

――ご自身の活躍の中で印象的な試合は何ですか
 2年秋の慶大戦で打ったやつ(8回に決勝打)はちょっと頑張ったなという気はします。

――4年間でつらかった時期はありますか
 ないですね。楽しかったと言ったら変ですけど、つらいはなかったです。大変はありました。チーム状況や、下級生のころから上級生にものを言っていたので、あまりいいように思われていないとかはあったと思いますが、勝ちたいとかもっとこうした方がいいと思うことは言っちゃっていました。2年生くらいになってから自分がやらないといけない、自分が捕手を守らないといけないとなった時から言い始めましたね。

――2年次から3年連続で大学日本代表でしたが、その経験はどうでしたか
 なかなか3年間代表はないと思いますし、すごく幸せなことです。プロに行く人でも海外の選手と野球をしてから行く人はそんなにいないと思いますし、その中で経験したことが引き出しにあれば生きてくるなと思いますし大きな武器の一つです。

――次期キャプテンが柳選手になりましたが何か伝えたことはありますか
 ないですね。あいつはあいつらしくやったらいいですし、人のことを見れる人間なので。逆に自分たちのように個が強いというよりも、何もまだできてないという人間がたくさんいると思うので、そういう人をうまく引っ張っていけるか楽しみで見ています。

――新チームに期待したいことは何ですか
 のびのびやれると思いますし、まだまだ眠っていた選手がチャンスをつかんで、神宮の舞台でどういうことができるのか期待している自分がいます。
 日本一になってほしいですね。自分らの代は何も残していないので。最後に負けて悔しい思いをして出ていくのはさみしいので、何かを残してほしいです。

――ドラフト会議から約1か月が経ちましたが、今のプロへの思いはどうですか
 大学でプロに行きたいというところから、プロに行ってどうするか、どういうことができるかと考え方を変えながらやってきて、今はそこの大詰めだと思います。現役が終わってからの期間でどれだけのことができるのかを責任を持ってやってからプロに行かないといけないと思います。

――阪神タイガースの金本知憲監督から「打てて刺せる捕手」を目指すよう言われていましたが、そこの意識は
 そこは意識しますね。求められている部分に応えられるのがプロの選手なので、求められている以上はそこを突き詰めていきたいです。

――善波監督からアドバイスはありましたか
 アドバイスはないです。プロに行ってからどういう投手が良くて、どういうとことが通用するかを選手たちに教えてほしいし、自分にも伝えてほしい、幅を広げて今後の野球に生かしていきたいと言われました。

――阪神の捕手には2年前の大学日本代表で一緒だった梅野隆太郎選手がいますがどうですか
 梅野さんの結果を動かせるわけでもないですし、自分のアピールできることをして、できることに集中するだけです。同じチームの一員として一緒にやっていければと思います。

――コーチには矢野燿大氏が就任されますが
 学んでみたいというよりも、ぱっと見て足りない部分ばかりと気付かれると思うので、言われること教えてもらうことの一つ一つを漏らすことなく吸収したいです。

――自分が小さいころに見ていた選手とバッテリーを組む可能性があることへはどんな気持ちですか
 わくわくしていますね。投手だけじゃなく、スタッフも自分が見ていたころに選手としてやっていた方がたくさん戻ってきていて不思議な感じもします。その中でやっていく楽しみはありますし、ゆくゆくは自分がそう見られるような選手になっていきたいなと思います。

――捕手として対戦したい、抑えたいバッターは誰ですか
 山田さん(哲人選手・東京ヤクルトスワローズ)は高校の時からやっていますし、気になってしまいますね。プレミア12の代表でもチームになくてはならない存在ですし、大きな存在だと感じますね。

――現在のプロ1年目の目標、長期的な目標は何ですか
 開幕一軍入りをして、どれだけ一軍でチームのためにできるか、自分のやってきたことが通用するかを確かめたいですし、経験の幅をどんどん増やしていきたいです。

――明大野球部の4年間は坂本選手にとってどんな場所でしたか
 ここがないとプロが近づかなかったですし、人としてのこの先がつながっていかなかった気がするので、いろんな面で自分を大きくしてくれた、持っていたものを大きく広げてくれた場所ですね。

――これまで応援してくれた方、これからも応援してくれるファンの方へメッセージをお願いします
 今まで応援してもらって、明治の坂本と言ってもらえましたが、これからは阪神の坂本と言ってもらえるようになっていきたいと思います。明治を出たことにプライドを持ってやっていきますし、阪神に行っても応援してくれればうれしいです。
変わらず明治も続きますし、次は次の代で違った選手が違った野球を見せてくれるので、温かい目で見守りながらも厳しい声をかけてもらいながら見てもらいたいです。阪神も明治も、自分もいい相乗効果でやっていけたらと思っているので、変わらずどちらも応援してもらえればと思います。

――ありがとうございました。

◆坂本誠志郎 さかもとせいしろう 文4 履正社高出 175cm・77kg  捕手 右投右打

試合 打数 安打 二塁打 三塁打 本塁打 打点 盗塁 犠打 四死球 打率
坂本 今季・通算成績
今季 13 40 11 .225
通算 96 294 68 16 38 28 51 .231

11月24日からはボールパーク便りにて4年生の特集記事を掲載します。第1回は上原健太投手(商4=広陵)です。