今秋を象徴する試合 王者・法大に完敗/東京六大学秋季リーグ戦

2015.10.20
今秋を象徴する試合 王者・法大に完敗/東京六大学秋季リーグ戦
 圧倒的な実力差を見せつけられた。秋季リーグ法大2回戦は0-13と完敗。初回に先発のエース・小田敏大投手(営3=明大中野八王子)が先制点を許す。5回にも3失点し6回4失点でマウンドを降りた。7、8回に登板した古村佑投手(情コミ2=明大中野八王子)と大沢真一郎投手(政経1=小山台)も法大打線に打ち込まれ計13失点。打線も室木(法大)の前に3安打と抑え込まれ、リーグ戦8連敗で今シーズンを終えた。

 今秋の修正点が全て出た試合だった。初回先頭打者から連打で無死1、3塁とすると3番橘(法大)に中犠飛を打たれ今秋の課題だった先制点を許した。さらに2回は無失点に抑えたものの左翼手の松原大樹外野手(営2=明大中野)の送球エラーにより左前安打で出塁を許した打者を不用意に二塁まで進塁させる守備のミスが出た。「最後に力の差が出た」(渡邉大輝主務・法4=明大中野八王子)と個の力が法大に劣っていることが露呈した試合だった。

来年度もチームの中軸として活躍が期<br />待される松原<
来年度もチームの中軸として活躍が期
待される松原

 自らの武器が通用することを示した1年間となった。昨年公式戦でベンチ入りすらなかった松原は今季途中から4番を任された。打線の中心を任され「今まで以上に責任感を感じて集中していかないといけない」(松原)。最終戦は無安打と見せ場をつくることはなかったが、打率は.333を記録した。春季リーグ後半から好調だった打撃に陰りが見え始めた時期もあった。だが、同期で1年から活躍する久保田駿内野手(法2=広陵)や多々野将太内野手(農2=花巻東)と話すことで励みになり秋シーズン以降好調を維持。清瀬杯では.533、6打点と全国の舞台で躍進した。「今まで試合で重ねてきた結果があるから『つなぐ4番』として一番信頼されるようになった」と酒井翔弥外野手(法3=東北)。本塁打という結果は付いてこなかったが、つなぎ役としてチーム最高打率を残し首脳陣の期待に応えた。「首位打者を目指す」と松原。チームの中心選手へと成長した松原が、来年は六大学最強打者の称号も狙っていく。

 秋季リーグ8連敗と最悪な結果で幕を閉じた今シーズン。6季ぶりのBクラスに低迷し、来年度へ向けて立て直しが必要だ。「今年や加藤さん(直紀・平27商卒)、船木さん(翼・平26農卒)たちの代で果たせなかった全日制覇が目標」と酒井。来年度主将となる酒井を中心にもう一度明大の野球を取り戻す。

[常光純弘]

試合後のコメント
寶田慎太郎外野手(営4=東北)

「最後勝っていい形で試合を進めたかったがどうしても今季の悪い流れを変えられなかったので悔しい。点が取れそうなところで守れなかったり簡単なミスから崩れていくことが今季は続いてたのでそういうところが大量失点につながったと思う。2年前も去年も秋は優勝していてなかなかここまで負け込むことがなかったのでどんな相手でも勝つのは難しいんだということが下の学年は分かったんじゃないかと思う。(松原の成長は)おととし、去年は自分と加藤さん、酒井と外野手をやっていて固定したメンバーがずっと出ていたので新しいメンバーが出てきてくれて来年松原も3年生になるので中心選手になって打線を引っ張っていってもらえるようになってほしい。人が少ない中でも今年も清瀬ではあったが1年生から4年生まで全国大会を経験させてもらって、自分たちの代だけではなくて後輩たちに助けられた場面が多かったので来年以降頑張ってほしい。今年よりは確実に戦力もあると思うし強いと思っている」

橋本直樹(政経4=明大中野八王子)
「山あり谷ありの4年間でした。準硬を選んで良かったと思う。春の1安打(東大2回戦)が自分のプレーヤーとしての数少ない思い出の一つ。だが、あの打席も一人で打てたのではなくみんなに支えてもらって打てた思い出の一打だった。(高校の後輩も多く在籍するが)一緒にできたことは良かったところもある。6年近く一緒にやれたということは他の選手とは違った思い入れはあるし、その分難しかったところもあるが得たものも大きかった。今年は最後明治の形をつくれないまま終わってしまったので、来年は明治の色を出して全日行って存在感を出してほしい」

渡邉
「情けない試合だった。秋のチーム状況が出た試合展開だった。去年の秋から法政は強かったが春と昨日の試合でピッチャーもよく抑えてくれていい試合ができていたが、最後に力の差が出たと思う。古村と大沢が打たれた形になったが清瀬杯から頑張って結果を残してくれていたので二人とも冬の期間で課題を修正して来年成長した姿を法政にぶつけてほしい。秋ということで新しい力も試した中で平島が持ち味を生かしたバッティングをしていたので結果を残してくれると思っていた。法政の末次やいいピッチャーから打てたことは来年に向けての収穫になったと思う。(4年間を振り返って)早かった。自分の代が5人で下が多かったので一番上になったときにきつかった。大変だったが清瀬杯までチームとしていい状態だった。(主務として采配をして)スタメンやベンチ入りもある程度決めさせてもらって自分なりには満足できた1年だった。清瀬杯の決勝で采配できたことはいい経験になった。(後輩に掛ける思いは)抜けるメンバーも寳田と吉田しかいないしピッチャーも小田が中心になってやっていたので、ベンチに入ってない選手も活躍できそうな選手がいっぱいいるので個々の能力としては間違いなく法政と同じくらい強いチームだと思う。春2位になったときのように酒井、小田桐中心にしっかりとまとまってみんなが同じ方向を向いたチームをつくっていければ確実に勝って全日本にいけると思う」

伊藤尚マネジャー(文4=室蘭栄)
「4年間やってみると短くて、力になれてるのかなと思ったこともあったが結果的に4年間やってきて良かった。(人数が少ない代だったが)先輩方の姿を見てそのやり方が通じない中で、下の大勢の後輩を引っ張っていかないといけないと考えたときに選手に頼ることもできないし、マネジャーのことはマネジャーで解決しないといけなかったので大変なこともあったが、苦労し過ぎることもなく楽しくやらせてもらった。(選手を支えていく上で学んだことは)気負わなくても自分がやることをやってれば下も見てくれるんだなということが分かって目の前の仕事をしっかりやればいいんだなと思った。(後輩に掛ける思いは)選手には全日本制覇を目指して楽しく野球をやってほしいと思う。マネジャーとしては選手が野球以外のことを考えなくてもいいように野球に集中できる環境をつくることを念頭に頑張っていってほしい」

酒井
「結果は0-13になったが、一人一人が来年の春へ向けて課題を見つけたと思う。3月の関東選手権から始まって立教に負けて、リーグ戦2位、予選会も1回しか勝てなかったが、清瀬には出られたのでそこまでは良かったと思う。個人的なことだと全然結果を残せなかった年なので来年最後を迎えるに当たって、主将もやるのでチームの勝利も考えながら自分の成績も上げていきたいと思っている。秋リーグでいつも試合に出ている多々野、久保田、金子だけではなくて平島や中村など新しい選手も徐々に出てきて、試合に慣れてくれたと思うし、そういう選手が出てくれているのはチームの底上げにもなる。松原に関しても今年から急に伸びてきて、春も調子が良く今まで試合で重ねてきた結果があるから『つなぐ4番』として一番信頼されるようになったと思う。来年は最後の年で全日の会場も宮城県になると思う。高校3年間お世話になった場所なのでもう一度戻って今年や加藤さん、船木さんたちの代で果たせなかった全日制覇を目標にもう一度チームを立て直したい」

松原
「最後の2カードで自分自身の打撃が失速してしまった。チームとしては慶大戦以降何が悪かったのがしっかり見つけないと来年の春も負けてしまうと思う。(4番は)意識していたわけではないが、中軸を任せてもらったということで今まで以上に責任感を感じて集中していかないといけないと思っていた。チャンスの時も力まずコンパクトにということを心掛けて、4番でもつなぐという意識を持ってやってきた。今年1年間は自分にとってとても大きな年になった。ホームランがオープン戦では打てていたので来年は公式戦でも打てるようになりたい。清瀬杯が全体を通して一番の思い出になった。清瀬杯は調子がとても良くて、全国ということもあってやっていてとても楽しかった。春リーグ後半に調子を落としたが、久保田や多々野としゃべったりして励みになっていた。この二人は参考になる点が多くあるので盗めるものは盗んでいきたい。打率は今回二人よりも上なので、そこを来年以降も張り合えるように、二人もいい刺激にしながらこれからも頑張っていきたい。来年は上級生になるので今年の4年生を見習って下級生を引っ張り、個人としても首位打者を目指して冬に成長していきたい」