まさかの逆転負け 清瀬杯制覇をあと一歩で逃す/清瀬杯全日本大学選抜大会

2015.09.12
まさかの逆転負け 清瀬杯制覇をあと一歩で逃す/清瀬杯全日本大学選抜大会
 清瀬杯最終日、準決勝日大三崎戦と決勝関西学大戦のダブルヘッダーが行われた。準決勝は2点ビハインドの7回に酒井翔弥外野手(法3=東北)の逆転スリーランが飛び出し8-5で勝利。決勝では先発の篠原匠投手(政経2=明大中野八王子)が8回1失点の好投を見せる。だが、9回に小田敏大投手(営3=明大中野八王子)が3点差を追い付かれ、タイブレークの10回には多々野将太内野手(農3=花巻東)の失策で勝ち越され6-5の逆転負け。2年ぶり二度目の清瀬杯優勝を逃した。

 「負け方にはいろいろあると思うけど一番悔しい負け方」(渡邉大輝主務・法4=明大中野八王子)。3点差の9回に8回1失点の好投を見せた篠原に変わってエース・小田を登板させた。だが「考えられる全ての試合で一番悪いピッチングだった」(小田)と先頭打者にセンター前へ運ばれると次の打者にも連打を許しピンチをつくる。さらに代打攻勢を仕掛けた関西学大の前に小田は普段のテンポの良く打たせて取る投球ができず。2死から同点打を許し、つかみかけていた優勝が離れていった。「野球はリズムがあるのでそのリズムのままいくべきだった」と千田晃二監督。好投している篠原の続投か、エースで最後を締めるか。その迷いが清瀬杯制覇という夢を遠ざけた。

先発マウンドで躍動した篠原<
先発マウンドで躍動した篠原

 「今日は投げていて本当に楽しかった!」。先発の篠原は立ち上がりから徐々に調子を上げていき、持ち味の直球で関西学大打線を翻弄(ほんろう)。6回に2死から死球で走者を出すと次の打者の打球は高く打ち上がり内野と外野の間に落ちるポテンヒット。その後センター前に運ばれ失点はしたものの全国の大舞台で快投を見せた。篠原は昨年の秋季リーグ戦では優勝が懸かった早大との優勝決定戦で同点の8回から登板し胴上げ投手となっている。だが、普段のリーグ戦とは違う一発勝負のマウンドに緊張していた。その中初回に萩谷直斗内野手(営3=水城)が自らの頭上を超えそうなライナーをジャンプ。その後も久保田駿内野手(法2=広陵)を中心に内野手が篠原を盛り上げた。内野の動きに比例して篠原も調子を上げていき早大戦以来となる優勝の懸かったマウンドで圧巻の投球を見せ『大舞台に強い男』であることを証明した。

親孝行を果たした酒井<
親孝行を果たした酒井

 家族が見守る中特大の一発を放った。準決勝の日大三崎戦で2点ビハインドの7回。1死一、二塁で酒井が打席に入ると2球目を強振。快音を残した打球は高い弾道を描きライトスタンドの木々の中へ消えていく逆転スリーランを放った。決勝でも追加点となるレフトへ犠飛を放つなど2試合で5打数4安打6打点と大暴れ。「目の前で結果を残せたのは良かった」(酒井)と家族の前での活躍を喜んだ。試合後も「来年吉田さん(由宇主将・法4=日本文理)が成せなかった全日本1位になれるようにがんばれ」とエールをもらい今後の糧となる一日になった。

 台風18号の影響で2日間順延になった清瀬杯。2日間連続でダブルヘッダーの過密日程のなかあと一歩のところで優勝を逃したが、次なる目標は秋季リーグ3連覇が残っている。「4年生の最後の大会でもあるので優勝で有終の美を飾らせたい」と酒井。すでに東大に2連勝し勝ち点を奪っている。次の慶大は早慶戦を制し波に乗っている相手だが「いつもやっている相手なので変なプレッシャーにかけず、逆に伸び伸びとやってくれればいい」(渡邉)と平常心で戦えば負けることはない。清瀬杯のショックを乗り越え秋季リーグ3連覇へ。『秋に強い明治』が六大学の猛者たちを打ち破る。

[常光純弘]

試合後のコメント
千田監督

「先攻は良かったが7、8回でダメ押しの1点を取り切れなかったのが最終的に漬け入れられるところだった。(9回小田をリリーフさせたのは)篠原も昨日も投げてるし、小田も100球くらい投げていたが1イニングくらいなら大丈夫だろうと思って代えた。私のミスです。(敗因は)9回で1点くらい取られてもいけるのではという気持ち的な緩みが敗因だと思う。(関学大は)去年も全日本で辛勝だったしそれなりの戦いにはなると思っていてロースコアになると思ってはいた。調整合宿にも行ったが昨日の1試合目はダメ押しでコールドで勝って2試合目は先攻されても何の心配もしてなくて逆転して勝ってるのでうちの野球ができていた。(篠原のピッチングは)良かったので悔いが残る。野球はリズムがあるのでそのリズムのままいくべきだった。私の迷いが申し訳なかった。自分の考えていることを貫くべきだったなと今ものすごく反省している。(リーグ戦は)慶応、立教、早稲田までは全部2タテでいって法政も勝ち点4で来たならば法政と一騎打ちになるので春の雪辱を果たすとともに、秋のリーグ戦は優勝したいと思う」

渡邉
「初戦は三崎町で予選会でも対戦していてお互いがお互いの事を知ってるし、向こうはリベンジする気持ちでくると思っていた。最初は負けていたけど最後には絶対に勝てる相手だと思っていた。みんな気持ちは切らせないで勝てたのでそこは良かったと思う。(酒井は)最近の成績は悪いけど本人も全国大会までに上げていきますと自分で言っていた。今日の試合の前も根拠はないですけど今日はいけそうな気がしますと言っていたのでそこを信じて任せようと思っていて結果を残してくれたので良かった。(篠原先発は)先に匠を投げさせて小田が後ろにいたほうがいいのかなと思った。お互い頭から投げたい、後ろ行きたいという気持ちもあったのでそこは二人の意見を尊重しようと思っていた。(9回)自分たちが迷ったのが敗因だと思う。最初匠に投げさせると言ってやっぱり小田にといろいろ迷ってしまったのが最後につながったと思う。負け方にはいろいろあると思うけど一番悔しい負け方。負けは負けなのでそこは反省していかないといけないと思う。(収穫は)若い選手が活躍してくれたこと。4年生が二人しか出ていない中でどうしても下級生ががんばっている状況の中、普段出てる選手以外もしっかり活躍してくれたことがリーグ戦にもつながると思う。(リーグ戦へ向けて)このあと少しオフを入れてあるのでそこで各自リフレッシュしてもらって気持ちを切り替えてやっていかないといけない。リーグ戦はいつもやっている相手なので変なプレッシャーにかけず、逆に伸び伸びとやってくれればいいと思う。目の前の一戦一戦をしっかり戦って最終的に優勝できればいいと思う」

小田
「考えられる全ての試合で一番悪いピッチングだった。篠原がいいピッチングをしてて9回に出てそれで打たれるという一番悪いパターンだった。(篠原のピッチングは)自分が今言えることじゃないがよく投げてくれたと思う。いい経験をさせてもらったと思うし新しいピッチャーのことであったり初顔合わせの相手とやるときの配給などの収穫もあったので次につなげていけたらと思う。(リーグ戦は)出してもらえたら頑張ります」

酒井
「日大三崎は最初接戦の中3-5で折り返してちょっとムード的に良くなかった。結果的には8-5でいい結果で終わったがうちは途中で中だるみしてしまうことがあるのでもっと早いうちにエンジンのギアが上がっていれば。5点も取られる相手ではなかったのでそこは反省していかないといけない。だが、取られたら取り返すだけの打力はあるということは証明できたのは良かった。決勝は完全に気の緩みが最後出た結果だと思う。(家族の前でホームランは)意識して打席に入ったわけではないが今まで育ててもらい、ずっと家を出て県外まで送り出してくれて一人暮らしさせてもらっていろいろ援助してもらっている中で自分の一番やらせてもらっている野球で目の前で結果を残せたのは良かった。(何を話したか)勝負は時の運だから勝てるときもあるし負けるときもある。それが勝負のおもしろいところ。今自分は3年なので来年吉田さんが成せなかった全日本1位になれるようにがんばれと応援された。(打撃は)足首ケガしていてなかなか試合出れない中少し不安はあったが清瀬前の合宿から何かハマるものがあってそれを少しつかんだ。それがあってこの清瀬杯でヒットの延長線上でホームランという形になったのでこれから徐々に上がってくるとは思う。(リーグ戦は)やっぱり秋は2連覇していて3連覇もかかっている。4年生の最後の大会でもあるので優勝で有終の美を飾らせたい。これから秋は明治が必ず勝つといわれるようなチームになれるように頑張りたい」

篠原
「今日は投げていて本当に楽しかった! 緊張したけど大舞台でいつも以上に力が出てくれたと思う。(優勝のマウンドは二度目)去年の早稲田の最終戦で同点の場面で途中から優勝が懸かったマウンドで緊張感味わいながら投げて、今回はトーナメントの優勝が懸かったマウンドということで緊張はしたが、チームのみんながいい雰囲気だったので少しは和らいだと思う。内野手多々野、久保田をはじめ、初回の萩谷さんのジャンピングキャッチ、太朗(鈴木・法2=大船渡)にも多くのゴロ処理をしてもらったので野手への感謝しかない。今日は投げていくたびに調子が上がっていってベストコンディションで投げることができたと思う。(大舞台は)意識はしないが強い選手にはなりたい。今回遠征に来ていろんな大学と戦ってまた自分の力がどんなものなのか分かってきた気がしたので、しっかりとリーグ戦に今回の投球内容の反省を見直して、投手陣力を合わせて。どんな投球でも勝てばいいと思うので勝ちに貪欲にこだわっていきたい」

多々野
「(準決勝は)同じ関東勢なので、関東大会でも試合していた。別に悪いイメージではなかった。その点で試合の入りは良かったかなと。(決勝は)特に変な緊張はせず、いい緊張感の中やってたが、最後自分のボロが出たかなと。(今日の調子は)悪いというのはなかったのだけど、あまり結果がついてこなかった。(良かった点は)1点欲しい場面で、盗塁だとかでチームに貢献できたかなと。(課題は)対左がまだちょっと打てないのでそこと、ここぞという場面で守れる、打てる選手になりたい。(引っ張りシフトされた中でセンター返し)左ピッチャーだったので引っ張っていこうとはせずに、センター方向にうまく打てていたので、その辺は良かったかなと。(決勝と他の試合との違いは)優勝と準優勝は大きな違いがある。4年生最後優勝させたかった。そういうところも違かった。最後の最後だめだった。決勝までチームの雰囲気はすごい良かった。優勝しか狙ってなかったので、そういう面ではショック。(2日連続でのダブルヘッダーは)疲れがなかったといえばうそになるけど相手も同じような感じで戦っていた。体の面でもすごいきつかったけど、試合に入ったらアドレナリンが出て、集中しきれていたのであまり感じなかった。(リーグ戦に向けて)清瀬杯優勝できなかった分、リーグ戦優勝しかないので、リーグ優勝目指してチームでがんばっていく」