
(2)安打の軌跡① 衝撃デビューから2年次まで

<1年次(2012年)>
日大三高3年次に5番打者として夏の甲子園優勝へ導いた髙山は、その実力を1年春からいかんなく発揮。大学でのデビュー戦は開幕の東大1回戦だった。「緊張はなかった」と8回に代打で初出場。中田から右前打を放ち、初打席初安打を記録した。さらにその試合の9回には窪田から左越え適時二塁打を放ち初打点も挙げた。2カード目の慶大2回戦では3番中堅で初スタメンも果たした。
2カード終了時点で3安打の髙山は、ここから驚異的なペースで安打を量産。他の外野手の不調、そして何より髙山の状態の良さから、3カード目の法大3回戦から3番打者としてスタメンに固定された。そこから7試合で複数安打をマーク。最終カードの立大1回戦で規定打席に到達し、最終的にリーグ2位の打率4割1分7厘、リーグトップの20安打でベストナインを獲得した。外野手の控え番号である背番号38を付けて挑んだ初のリーグ戦。自らの力でレギュラーをつかみ「ここまでやれるとは思っていなかった」と本人も驚きの衝撃デビューだった。
不動のレギュラーとして主に2、3番を務めた秋は、厳しいマークにあった。「苦手なコースを何度も責められた」と打率は2割6分7厘に下がり、リーグワーストの16三振を喫した。それでもリーグ2位の16安打は、警戒される中でも甘い球を仕留めた堂々の結果である。3カード目の東大2回戦では、香取からリーグ戦初本塁打も記録。チームは春と同じく4位に終わったことについては「自分がしっかりしていれば勝てた試合が何試合かあったので、チームに迷惑を掛けてしまった」。中心選手としての自覚が芽生えたシーズンでもあった。春に比べれば低迷したが秋の16安打を合わせ、1年次で36安打の数字を残した。
<2年次(2013年)>
苦しいシーズンだった。背番号9を付け迎えた2年春は打率2割4分1厘、13安打と7季で最も低い数字に終わった。2カード終了時点で25打数2安打と不振に陥り、3カード目は自身初のベンチ外を経験。しかし4カード目の慶大戦から巻き返す。2回戦でスタメン復帰し3安打、3回戦で2安打した。勝ち点を挙げた方が優勝の最終カード法大戦では、リーグ戦自身初となる1番に座り全4試合で安打を放ち、3季ぶり35度目の優勝に貢献した。
攻撃的2番打者として活躍した秋、快挙を決定付ける一打を放った。それはシーズン13安打目、通算62安打目。最終カードの法大2回戦で3―3の延長12回表、2死二塁で打席が回ると、本多(法大)が投じた6球目を捉えた打球は右中間を破る勝ち越しの適時三塁打に。明大史上4度目、38年ぶりとなる春秋連覇をぐっと手繰り寄せ、塁上で大きく何度もガッツポーズを見せた。主に2番を任されながらも打撃スタイルは崩さず打率2割9分5厘、13安打と攻撃の起点となった。さらに2度目のベストナインも獲得。12試合中9試合で安打を放ち「苦手なところを大分打てるようになってきた」と手応えをつかんだシーズンだった。
2年終了時の通算62安打は高田氏の同時期の60安打を上回るペースだった。「偉大な先輩の記録が目標にある」。秋のシーズン後の髙山の言葉から、史上30人目の100安打、そしてリーグ新記録へのこだわりが少しずつ表れていた。
シーズン | 試合 | 打数 | 安打 | 二塁打 | 三塁打 | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 犠打 | 四死球 | 打率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1年春 | 13 | 48 | 20 | 4 | 1 | 0 | 8 | 3 | 1 | 2 | .417 |
1年秋 | 14 | 60 | 16 | 3 | 1 | 1 | 6 | 2 | 0 | 4 | .267 |
2年春 | 14 | 54 | 13 | 0 | 2 | 1 | 5 | 0 | 0 | 3 | .241 |
2年秋 | 12 | 44 | 13 | 6 | 1 | 0 | 5 | 0 | 2 | 4 | .295 |
通算 | 53 | 206 | 62 | 13 | 5 | 2 | 24 | 5 | 3 | 13 | .301 |
次回の特集は9月11日(金)「安打の軌跡② 100安打、そして記録への挑戦」です。
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