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(8)世界水泳福岡が閉幕 初の大舞台で紫紺スイマー躍動/世界選手権2023福岡大会総括

水泳(競泳) 2023.08.05

 7月30日、世界選手権2023福岡大会(以下、世界水泳)が17日間の日程を終え閉幕した。今大会は2001年以来22年ぶりの自国・福岡開催であり、日本では2年前の東京五輪以来の大規模スポーツ大会であったほか、コロナ禍初の有観客開催となった国際大会でもあった。来年度にパリ五輪を控え、その前哨戦としても注目を集めた今回の世界水泳。今大会に明大勢からは、競泳代表に栁川大樹(政経3=日大藤沢)と五味智信(商3=湘南工科大付)が、ОWS(オープンウォータースイミング)代表に江沢陸(法2=成田)がそれぞれ出場。多くの収穫と課題を得た大会となった。本記事では、今大会の総括をお届けする。

 

◆7・14~30 世界選手権2023福岡大会(福岡県各所)

◆OWS(7・15~20/シーサイドももち海浜公園)

▼7・18男子5キロメートル

 40位 江沢 59分40秒60

◆競泳(7・23~30/マリンメッセ福岡A館)

▼7・28 男子200メートル背泳ぎ決勝 

 8位  栁川 1分58秒75

▼7・29 混合400メートルフリーリレー決勝

 7位 日本 3分26秒96

  ※リレー出場選手

  五味、中村(イトマン東進)、池本(中大)、神野(中京大)

 

 世界のトップスイマーが福岡に集結した。6競技75種目で行われた今大会。日本勢は大会の前半、AS(アーティスティックスイミング)で連日メダルを獲得し、飛込では来年度のパリ五輪代表内定者が出るなど大きな活躍を見せた。またハイダビングやOWS(オープンウオータースイミング)など普段は目にする機会の少ない競技も実施され、多くの人の関心を引き付けた。特にOWS男子5キロメートルには、明大から江沢陸(法2=成田)が出場。厳しい暑さに見舞われる中、博多湾に設置されたコースを力強く泳ぎ切った。今後はOWSと競泳の両方で活躍できるよう、さらなる成長が期待される。

 

 一方、大会後半に行われた競泳では、日本代表・トビウオジャパンが世界のレベルを痛感させられる結果に。今大会で日本勢のメダルは瀬戸大也(CHARIS&Co.)と本多灯(日大)の銅2個のみ。日本新記録は出ず自己ベストは4人にとどまった。決勝進出も全体の30%に当たる18レースのみで、多くの選手が選考会を兼ねた4月の日本選手権からタイムを落とす結果となった。この背景には、代表選考基準を緩和したことや今大会と選考会の時期が離れていたこと、代表選手同士の練習が少なかったことなどが指摘されている。世界に目を向けると、今大会では10レースで世界新記録が出ており、強力な若手選手が台頭。日本勢のレベルは世界と大きく差をつけられており、こうした現状に不安や懸念の声が上がっている。

 

 そうした中、明大勢は初の大舞台となる今大会で大きく躍動。今後に大きな期待が持てる結果を残した。栁川は背泳ぎ種目の代表として男子200メートル背泳ぎに出場。予選を全体13位で通過すると、準決勝では自己ベストを更新する会心の泳ぎで目標の決勝進出を決めた。決勝ではタイムを落としたものの、初代表で世界8位入賞に輝く快挙を達成した。また、五味もリレー種目の代表として今大会に出場。競泳初日の男子400メートルフリーリレーでは予選敗退に終わったが、競泳7日目の混合400メートルフリーリレーでは見事に決勝進出。こちらも初代表ながら、決勝では第1泳としてチームの世界7位入賞に貢献した。日本勢が苦戦を強いられた中、初出場の両者が共に入賞を飾ったことは、明大や日本代表にとって大きな希望である。来春に迫ったパリ五輪選考会に向け、2人を含めた紫紺スイマーの活躍にぜひ注目してもらいたい。

                                                

 また、明大としてはここからが本番だ。選手たちは今大会の他にも、8月1日から行われているFISUワールドユニバーシティーゲームズや1日から4日に行われた関東学生選手権にもそれぞれ出場。各地で熱戦を繰り広げている。そして全員が目指す目標は、8月末より行われる日本学生選手権での3年ぶり天皇杯奪還だ。今年度水泳部(競泳部門)のチームスローガンは『Fearless』。選手一人一人が打ち立てた目標に向かい、大胆不敵に突き進む。競泳の〝熱い夏〟は、まだ序章に過ぎない。

 

[渡辺悠志郎]

 

今後の主な大会日程

2023年

 8・31~9・3 第99回日本学生選手権

 9・24~29    第19回アジア競技大会

         (中国・成都)

 11・30~12・3  ジャパンオープン

2024年

 2・2~18    第21回世界選手権

         (カタール・ドーハ)

 3・17~24   国際大会代表選手選考会

 7・26~8・11 パリ五輪



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