

(7)競泳開幕 紫紺スイマー世界に羽ばたく/世界選手権2023福岡大会展望(競泳)
いよいよ競泳の幕開けだ。7月14日に開幕した世界選手権2023福岡大会(以下、世界水泳)は、23日で大会10日目を迎える。後半戦に突入する今大会で大きな注目を集めるのは、同日に競技が始まる競泳。明大勢からは五味智信(商3=湘南工科大付)、栁川大樹(政経3=日大藤沢)に加え、ОBから松元克央選手(令1政経卒・現ミツウロコ)、吉田冬優選手(令2政経卒・現三谷産業)も出場する。今回は競泳出場選手の展望をお届けする。
◆7・14~30 世界選手権2023福岡大会(福岡県各所)
◆7・23~30 競泳(マリンメッセ福岡A館)
▼7・23
男子400メートルフリーリレー 五味
▼7・24
男子200メートル自由形 松元選手
※決勝は25日
▼7・26
男子100メートル自由形 松元選手
※決勝は27日
▼7・27
男子200メートル背泳ぎ 栁川
※決勝は28日
▼7・28
男子100メートルバタフライ 松元選手
※決勝は29日
男子800メートルフリーリレー 吉田選手
※リレー種目は予定選手が変更する場合があります。
※競泳予選はBS朝日にて放送予定(各日11時から12時頃より放送開始)
※競泳決勝はテレビ朝日系列とABEMAにて放送予定(各日19時から20時頃より放送開始)
※OWSを含め全競技の決勝ハイライトはABEMAにて配信中
6競技75種目で実施中の世界水泳もいよいよ後半戦に突入する。22日までに、飛込、AS(アーティスティックスイミング)、OWS(オープンウオータースイミング)の3競技が終了。残る競技は、戦いが続く水球とハイダイビング、そして競泳となった。前半戦の日本勢に目を向けると、ASでは連日メダルを獲得し、飛込では来年度のパリ五輪代表内定者が出るなど大きな活躍を見せている。この良い流れに乗るべく、既に現地入りした競泳日本代表〝トビウオジャパン〟もAS競技の合間に会場プールで最終調整を行っている。国内外から多くの選手、関係者、メディア、観客が訪れる中、トビウオジャパンへの期待は日に日に高まっている。
そんな日本代表の中には、明大勢も含まれている。まず現役からは男子400メートルフリーリレーに五味が、男子200メートル背泳ぎに栁川がそれぞれ出場予定だ。競泳初日に登場する五味は、これまで多くの困難に見舞われた。中学3年次には全国大会出場を逃し、高校3年次にも再び不調に。高校2年次のインターハイでリレー種目の優勝を飾って以降、大学では大きな成績を残せずにいた。それでも結果にとらわれすぎず「一つ一つの練習の過程から楽しむようになった」(五味)。すると調子は徐々に上がり、昨年度の終盤はベストを連発。今年4月の選考会で銀メダルを獲得し、世界切符をつかみ取った。
一方、5日目に登場する栁川は、ジュニア時代から大きな活躍を見せてきた。しかし高校3年次になるとコロナ禍で練習環境は一変。自分一人での練習が続き不調に陥る。そんな中で周囲からの意見を取り入れながら、あえて足を曲げる独自の泳法を追求。この挑戦が功を奏し、昨夏の日本学生選手権(以下、インカレ)では大学初の優勝に輝いた。その後も現状に満足せず「調子がいいときこそ、もっと変えていかないといけない」(栁川)。結果を残し続ける中、昨冬に所属クラブを移籍した。そうした挑戦を続けた結果、選考会で2位に滑り込み見事個人種目での代表権を獲得した。これまでの歩みは大きく違うものの、同じ世界の舞台に上った五味と栁川。彼らの見せる世界水泳初の泳ぎに注目だ。
競泳には数年前まで明大に在籍していたOBも参戦する。2日目に登場する松元選手は、現役時代から世界で躍動。リオ五輪後に頭角を現すと、2018年のパンパシフィック選手権とアジア大会では金メダル2個を含む計6個のメダルを獲得。2019年の世界水泳では200メートル自由形で日本人初の銀メダリストに輝いた。東京五輪でメダル候補になりながらも予選敗退し、その後不調に。しかし4月の選考会では力強い泳ぎを見せ、今大会個人3種目の代表に選出。福岡の地で〝復カツオ〟なるか注目だ。6日目に登場する吉田選手も、現役時代は自由形のエース選手。2019年のインカレで自己ベストの初優勝を果たした実力者だ。両者とも現役時代から明大を背負ってきたが、今度は日の丸を背負って世界の舞台に挑んでいる。彼らの熱い戦いにも期待がかかる。
今大会は22年ぶりの自国開催であり、コロナ禍初となる有観客開催の国際大会だ。今大会の参加選手は約200カ国の国や地域から約2400人、来場者は約40~50万人と見込まれる。大会の模様は会場だけでなく、テレビ朝日系列やABEMAにて放送・配信が行われている。世界最速を決定する世界水泳。あなたもぜひ、この〝熱い夏〟を体感してほしい。
[渡辺悠志郎]
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