

(4)【大学スポーツ×世界水泳】大会事前インタビュー① 栁川大樹/世界選手権2023福岡大会
世界最速決定戦に大学生スイマーが参戦だ。7月14日より開幕する世界選手権2023福岡大会(以下、世界水泳)。今大会は2001年以来22年ぶりの自国・福岡開催であり、日本では2年前の東京五輪以来の大規模大会となる。そんな世界水泳において注目されるのが、若い世代の台頭だ。今大会では競泳代表40人のうち現役の大学生選手が12人を占めるなど、数多くの大学生スイマーが日本代表に選出されており、その活躍に大きな期待がかかる。
今回、私たち7大学新聞は、世界水泳に合わせた合同企画【大学スポーツ×世界水泳】を実施。同年代の若きスイマーの事前インタビューを順次発信していく。今夏、世界を舞台に活躍する大学生スイマーに、あなたもぜひ注目してみてはいかがだろうか。
本記事は合同企画第1弾。明大から競泳・男子背泳ぎ代表に選出された栁川大樹(政経3=日大藤沢)の事前インタビューをお届けする。(このインタビューは6月7日に実施されました)
※栁川選手の展望記事は明大スポーツ第529号の1面に掲載されています。本記事では文字数の関係で紙面ではやむを得ず割愛した事前インタビューを掲載いたします。
――今の心境はいかがですか。
「日本選手権で代表に入れて、自己ベストも更新できて良かったですけど、まだまだ満足できないのでまた泳ぎも少しずつ変えて、世界水泳に向けてやっています」
――今はどのような練習をしていますか。
「自分の課題をしっかり自覚してそれを改善するためにやっている感じです」
――泳ぎの調子はいかがですか。
「日本選手権前よりちょっとずつ、練習中のタイムも上がってきているので、いい感じにできていると思います」
――泳ぎ方で強化や改良されていることはありますか。
「日本選手権の時には腕が全然効いていなかったので、もっとしっかり腕に力が入るように意識しています」
――以前話されていたダイナミックな泳ぎを今も目指しているのでしょうか。
「そうですね、選手権本番の時は少し小さくなってしまったので、もっと大きく泳いで腕もさらに引っ張っていけたらいいなと思っていいます」
――これまでは世界水泳を意識してきましたか。
「ずっと出たいとは思っていたんですけど、まだ自分はそのレベルではない感じだったのですごく意識していたわけではなかったです。今回は初めてそうやって意識して臨んだ試合だったので、そこで決めることができて良かったです」
――競泳を始めたのはいつからですか。
「多分生後6カ月くらいだと思います。親と一緒に入るベビースイミング教室みたいなのを姉がやっていて、その影響で入りましたね」
――それからはずっと競泳を続けてきましたか。
「本格的にやり始めたのが小学生くらいから、毎日練習するようになって続けていきました」
――途中で競泳が嫌になった経験はありますか。
「ありますね。泳ぎたくない時期とかは結構ありますね」
――それでも続けることができた理由や競泳の魅力は何ですか。
「練習は一人ですごくきついのですが、結果が出た時のうれしさだと思います」
――最初から背泳ぎが専門種目でしたか。
「背泳ぎ、バタフライとかは得意で、個人メドレーとかもちょくちょく泳いでいたんですけど、バタフライの方でも結構いい成績を収めていました」
――どちらの泳ぎ方が好きだったり得意だったりするのでしょうか。
「どちらが好きとかはないですが、メインは背泳ぎなので、たまに出るバタフライがいいリフレッシュなったりはします」
――日本の競泳界の現状はいかがですか。
「最近は海外のレベルが上がってきていると思います。逆に日本は伸び悩んでいるというか、タイム的には落ちてはいないのですが、世界のレベルがどんどん上がってきているので、そこに少し置いてかれているなという感じはします」
――いつも一緒に練習する選手はどなたですか。
「日大の小方(颯)は今回世界水泳に一緒に選ばれて、あと新入生で入ってきた上川畑(英・政経1=桐光学園)は同じクラブでずっとやっています」
――お二人とは以前からのお知り合いでしたか。
「小方とは小学生くらいからずっと知り合いで、で県の合宿とかも一緒にやっていました。今は毎日一緒に練習しています」
――代表を決めた日本選手権を振り返ってみていかがですか。
「100メートル背泳ぎは全然思ったような泳ぎができなくて、でもしっかりそこで切り替えることができました。現実的にも200メートルの方が狙える位置にいたので、そこは切り替えてレースして、諦めずに泳げたのが一番良かったかなと思います」
――日本代表という実感はありますか。
「あんまり実感してなくて、多分会場に行かないと実感しないと思うんですけど、結果を出すために頑張ります」
――今後のスケジュールを教えてください。
「6月10日からアメリカのフラッグスタッフで高地合宿をするので、そこで3週間くらい高地合宿をして、帰ってきて多分クラブ練習でやって、7月の中旬くらいから代表で集まってそのまま試合という感じですね」
――競泳は個人技ですが、代表だとチームとして戦うという思いもありますか。
「チームはやはり大切で、雰囲気というのはすごい自分の成績も左右されると思っています」
――憧れの選手はいらっしゃいますか。
「今回は多分出ないと思うのですが、ロシアのエフゲニー・リロフという選手とは、自分も泳ぎがすごく似ていて、タイプも同じなので、参考にさせてもらっています」
――世界水泳のその先の目標は何かありますか。
「まだインカレ(日本学生選手権)とアジア大会も残っているので、そこでも結果が出せるように、連戦になりますが、しっかり体力付けてやっていきたいと思います」
――来年度にはパリ五輪も控えています。
「パリ五輪に行くためにも、やはりここの夏でしっかり結果を出して、周りにプレッシャーをかけていきたいです」
――最後に意気込みをお願いします。
「1分56秒台真ん中くらいの自己ベストを出して、決勝進出できたらいいと思っています」
――ありがとうございました。
[渡辺悠志郎]
【大学スポーツ×世界水泳】
今回の世界水泳開催に合わせて7大学新聞が合同で、現役大学生の日本代表選手に事前インタビューを実施した。この機会に、ぜひ多くの大学生スイマーのインタビュー記事をご覧ください。
[参加大学新聞]
明大スポーツ新聞部、早稲田スポーツ新聞会、近大スポーツ編集部、日本大学新聞社、スポーツ法政新聞会、中大スポーツ新聞部、東洋大学スポーツ新聞編集部
関連記事 RELATED ENTRIES
-
(11)大会事後インタビュー③ 江沢陸/世界選手権2023福岡大会
水泳(競泳) 2023.08.19世界を舞台に躍動した。7月30日に閉幕した世界選手権2023福岡大会(以下、世界水泳)。明大勢からは競泳に2人、OWS(オープンウオータースイミング)に1人の計3人がそれぞれ初出場した。競泳では栁川大樹(政経3=日大藤沢)が男子200メートル背泳ぎで世界8位入賞、五味智信(商3=湘南工科大付)が混合400メートルフリーリレーで世界7位入賞となるなど好成績を連発。OWSでも江沢陸(法2=成田)が男子5キロメートルで力泳を見せた。来年3月のパリ五輪選考会に向け、選手たちはさらなる成長を遂げていく。 今回は、そんな世界最高峰のレースに参戦した明大勢の大会事後インタビュー第3弾。江沢の大会後の声をお届けする。(このインタビューは8月5日に行われました。) ――世界水泳は楽しめましたか。 「はい。地元開催ということもあって試合前からいろんな人に応援してもらえましたし、とても楽しむことができました」 ――福岡空港なども含めて大会の雰囲気はいかがでしたか。 「空港に着いた時から世界水泳の広告とかが貼ってあって世界水泳が始まるんだっていうことを実感しました。会場に着いてから海外の選手たちがいるのを見て、緊張も感じました」 ――初の世界水泳の感想をお願いします。 「国際大会で泳ぐという経験は僕は初めてだったので、すごく緊張や不安もありました。現地に入って他の人たちのレースを見ていると、もうさらに緊張してしまって。僕が出た5キロの前に10キロに先輩たちが出ていて、先輩たちのレースを見て自分も頑張らなきゃなって思って、なんとか泳ぐことができました」 ――振り返ってみて、反省点はどのようなところにありますか。 「先頭に行こうとしていたので序盤から僕はスピードを結構上げていってたんですけど、世界のトップ選手と比べてまだまだ自分は遅くて、置いてかれてしまいました。なのでこれからスピードを伸ばしていかないといけないというのは反省の一つです。もう一つは海外の選手は結構当たりが強いので、そこに慣れていなかったということに反省しています」 ――初めての福岡の海でしたが、泳いでいる感触はいかがでしたか。 「僕らが試合に出る前に九州で豪雨があって、水質は直前まで厳しい状態でした。、僕は日本では館山くらいでしか泳いだことがなかったんですけど、波は比較的落ち着いていて水温もそこまで高くならなかったので結構気持ち良く泳げました。」 ――暑さはいかがでしたか。 「水温が30度になる予想で練習していて本番が28度か26度だったので予想よりは快適に泳げました」 ――今後はどこを強化していきますか。 「スピードを強化して、それに並行して当たりに負けない体作りをしていきたいです」 ――これから競泳とOWSの両立的についてはどうお考えですか。 「スピードを上げるという点でも、競泳の試合は切り離せません。OWSの世界のトップの人も競泳ではオリンピックなどですごい成績を残しています。自分もそうならなきゃいけないと思っているのでこれからも両立して頑張っていこうと思っています」 ――競泳とOWSのインカレに向けて、意気込みと目標をお願いします。 「OWSでは10キロと5キロに出ます。2時間や1時間のレースの中では何が起こるかも分からないので、日本の大会だからといって油断せず、てんぐにならずに、インカレのレースに対してはチャレンジャーみたいな立場で挑戦していきたいと思っています。競泳ではまだまだ二番手三番手くらいなので、少しでも決勝に残って明治大学の得点に貢献するのが目標です」 ――ありがとうございました。 [上原朋子]READ MORE -
(10)大会事後インタビュー② 五味智信/世界選手権2023福岡大会
水泳(競泳) 2023.08.19世界を舞台に躍動した。7月30日に閉幕した世界選手権2023福岡大会(以下、世界水泳)。明大勢からは競泳に2人、OWS(オープンウオータースイミング)に1人の計3人がそれぞれ初出場した。競泳では栁川大樹(政経3=日大藤沢)が男子200メートル背泳ぎで世界8位入賞、五味智信(商3=湘南工科大付)が混合400メートルフリーリレーで世界7位入賞となるなど好成績を連発。OWSでも江沢陸(法2=成田)が男子5キロメートルで力泳を見せた。来年3月のパリ五輪選考会に向け、選手たちはさらなる成長を遂げていく。 今回は、そんな世界最高峰のレースに参戦した明大勢の大会事後インタビュー第2弾。五味の大会後の声をお届けする。(このインタビューは8月15日に行われました。) ――世界水泳を終えて率直な感想をお願いします。 「何もできずに悔しいという気持ちだけです」 ――どのような気持ちでレースに臨みましたか。 「男子の方のリレーで決勝に残るというのは1番大きい目標だったので、振り返って考えるとレベル的にもそんなに高くなかったし、全員がやれることしっかりやっておけば、達成できた目標だったのではないかなと思います」 ――ご自身の泳ぎについてはいかがでしたか。 「前の泳者まで遅れを取っていたので、何とか取り返さないといけないなという感じで焦りもあり、自分の泳ぎができなかったです」 ――チームの雰囲気はいかがでしたか。 「他の選手も調子は悪くないという話はしていたので、みんな大舞台の一発目のレースだったので、まだメンタルとかが仕上がっていなかったのかなという感じです」 ――入場の時はどのような話をしていましたか。 「最終組だったので前の組の結果とかも見ていました。イギリスが失格して、それは結構チャンスだなと話していて、タイムを見てもこれは目指せるぞという感じだったので、ちょっとそこは気負いすぎたというか、狙えるところに来ていたからこそ力みとかも出てしまったのかなと思います」 ――レース引き継ぎの時はどのような気持ちでしたか。 「隣がフランスだったので、そこは絶対に勝っていかないとなとは思っていて、結構緊張もしていていつもの精神状態ではなかったです」 ――ご自身のタイムはいかがでしたか。 「遅いです、全然。48秒7というのが自己ベストで、引き継ぎの場合最低でも0.5秒くらいは縮めないといけなかったんですけど、結果的には自己ベストよりも遅いタイムだったので、遅かったです」 ――その要因は緊張が大きかったですか。 「緊張とか焦りもあったのですが、その前段階のウォーミングアップとかも日本とは違っていて自分のやりたいこととかもできなくて、会場に入ってからの準備もうまくできなかったというのもあります」 ――混合4×100メートルフリーリレーについてはいかがでしたか。 「本当に後ろを泳いでくれた3人のおかげ、特に3泳の池本凪沙(中大)のおかげでしかないので、本当に3人には感謝しています」 ――タイムはいかがでしたか。 「こっちのレースも全然遅いですね。1泳を任されたので、最低でも49秒の頭、ベストから少し遅れるくらいで行きたかったんですけど、49秒5は本当に遅くて、自分の高校生の時とそんなに変わらないのでしょうもないタイムだなという感じです」 ――世界水泳を終えてどのような収穫がありましたか。 「海外の雰囲気を知れたことは大きなことですし、混合リレーで1泳を泳いでた人達はみんな世界水泳の決勝と言ってもおかしくないくらいのレベルだったので、そういうことを経験できたのは、自分の人生の中でも大きなことだと思います」 ――世界の選手はいかがでしたか。 「でかくて速かったです。すごいなっていう感じです」 ――日本とのレベルの差はどれくらい感じましたか。 「自由形は特に世界との差が大きいと言われているので、日本選手権優勝したのは明治出身の松元克央さん(令1政経卒・現ミツウロコ)なんですけど、全員克央さんみたいなものですね。日本では47秒で泳ぐのは克央さんだけなんですけど、世界は全員そのレベルってなるとびっくりするくらい差が開いてしまっていると感じます」 ――今後強化したいところはどこですか。 「全部が足りないなと思いました。ターン後のドルフィンキックだけは通用する部分もあると感じたのでそこは引き続き強化していって、泳ぎの方も、世界記録保持者の選手と泳いで、その人からもアドバイスをもらえたので、そういうところも含めて、夏のシーズンが終わったら少しずつフォームとかも変えていこうかなと思っています」 ――会場についてはいかがでしたか。 「すごく応援してもらって気持ちも上がりましたし、海外の選手にびびりそうになった時も日本人の応援が1番大きかったし、会場の中でも外でも頑張ってね、と声を掛けてくれるのはすごい心強くて、多分人生で1番大きい歓声だったので、今後も自国開催というのはないと思うので、人生で最初で最後の1番大きい歓声だったと思います」 ――パリ五輪という目標に向けて、心境の変化はありましたか。 「それはもう変わらずパリは絶対に目指していきたいところではあります。やっぱり世界に比べて遅れてしまっているということを身をもって体感できたので、どれくらいだったら準決勝や決勝に進めるラインかというのは確認できたと思うので、今回の経験を生かして来年狙っていきたいと思います」 ――最後に今後見据えているビジョンを教えてください。 「インカレ(日本学生選手権)で48秒5くらいをしっかりと出して、大会記録が48秒54くらいだったので、そこを更新します。そしてアジア大会では48秒3くらい出して、そこが来年のパリ五輪の選考タイムになってくると思うので、その時点で48秒3を出して、3月の選考会では、パリ五輪個人で代表に選ばれるようにやっていきたいと思っています」 ――ありがとうございました。 [清水優芽]READ MORE -
(9)大会事後インタビュー① 栁川大樹/世界選手権2023福岡大会
水泳(競泳) 2023.08.10世界を舞台に躍動した。7月30日に閉幕した世界選手権2023福岡大会(以下、世界水泳)。明大勢からは競泳に2人、OWS(オープンウオータースイミング)に1人の計3人がそれぞれ初出場した。競泳では栁川大樹(政経3=日大藤沢)が男子200メートル背泳ぎで世界8位入賞、五味智信(商3=湘南工科大付)が混合400メートルフリーリレーで世界7位入賞となるなど好成績を連発。OWSでも江沢陸(法2=成田)が男子5キロメートルで力泳を見せた。来年3月のパリ五輪選考会に向け、選手たちはさらなる成長を遂げていく。 今回は、そんな世界最高峰のレースに参戦した明大勢の大会事後インタビュー第1弾。栁川の大会後の声をお届けする。(このインタビューは8月6日に行われました。) ――世界水泳に向かわれるまでの事前練習の調子はいかがでしたか。 「アメリカ合宿はうまく強化ができなくて、山の高地で酸素が薄く思ったようには練習ができませんでした。しかし自分の強みである水中キック、息を止めてキックを打つというところだけはしっかりやってきたので、そうした強化はできていたと思います。調子も事前合宿までは本当に全然上がらない感じでしたが、会場に入ってからはようやく上がってきたという感じでした」 ――会場のプールはいかがでしたか。 「思ったよりもメインプールもサブプールも少し混んでいて、人が多いという感じでした」 ――それは世界大会ならではのことでしたか。 「いや、詳しくは分からないですが、12月の世界短水路の大会の時はプールがいっぱいあってそんなに混まなかったんですけど、今回は結構混んでいたっていう感じです」 ――そうすると、なかなか練習も思うようにはいきませんでしたか。 「やはりうまくできない部分もあったんですけど、そこはうまく考えて空いている時間に泳いだり、混んでいたら自分で工夫して練習したりしていました」 ――今回は有観客の世界大会でしたが、会場の雰囲気はいかがでしたか。 「予選はしっかりした入場もないので感じることはできなかったのですが、予選が終わった後や準決勝の入場、決勝の入場は、レースの終わった後も含めて、とても気持ち良かったです」 ――はじめは競泳1日目から4日目までのレースを見ていて、何か感じたことはありましたか。 「やはり初日から男子400メートル個人メドレーのマルシャンが世界新記録を出していて、そういうマルシャンのすごい水中動作などですね。日本人はそこまで活躍していなかったですけど、そういう海外勢の泳ぎのレベルやフィジカルなどが見ていてとても楽しかったです」 ――練習を一緒にされている小方さん(日大)も自己ベストを出していましたが、やはり刺激は受けましたか。 「どんなところでもしっかり速いタイムで泳いでくる一方、今回はやはり初代表なのでどんな感じなのかなと思っていたんですけど、そこでも自分のレースをして自己ベストを出していて、すごいなと思いました」 ――男子200メートル背泳ぎの予選は、どのような気持ちで臨みましたか。 「レース直前になってきてだんだん調子が上がり、納得ができる泳ぎができてきていたので、とりあえず予選は1分58秒切るか切らないかぐらいで泳いで通過したいなと思っていました。ただ海外勢だとやはり前半が速いので、そこで落ち着いて前半入って、最後の50メートルで調整できればいいなと思っていました」 ――実際レースを泳がれてみて、予選を振り返っていかがですか。 「自分で決めた通りに100メートル、150メートルぐらいまで落ち着いて泳いで、最後で調整する感じでした。隣がやはり竹原(東洋大)で、いつも日本の試合で泳いでいてレース展開も分かっていて前半で速くいくことも分かっていたので、最後に少し抜ければいいなと思ってレースしていました」 ――タイムや順位も予想通りの結果でしたか。 「タイムは予想通りで、1分58秒23ぐらいかかったかなと思ったんですけど、予想通り58秒1くらいでした。順位も少し余裕をもって通過できていたので、そこは良かったです」 ――泳いでみて、国内大会と世界大会の違いは感じられましたか。 「違いはレースをしたことのない選手ばかりだったことです。国内だと相手の手の内が分かっていてレース経験もある中で戦っているので、そこはやはり今回は初めて戦う選手ばかりだったので、非常に楽しかったです」 ――国内大会よりもレース間の時間が長く、同日の準決勝も21時頃と遅い時間でしたが影響はありましたか。 「特にそんなことはなくて、国内大会は少し間の時間が短いと思うんですけど、それでもあまり普段と変えずに、いつものように決勝も※テーパーしました」※大会や試合に向けて練習の質を高めたり、練習量を減らしたりする調整法。 ――準決勝の前も調子は上がっていましたか。 「予選からそうですけど、予選のイメージを持って決勝でどのように上げるかという感じで考えていたので、調子は悪くはなかったと思います」 ――そして実際に準決勝を泳がれてみて、いかがでしたか。 「予選をやはり国内大会よりも速く泳がないと通過できなかったので、その疲れもあったんですけど、150メートルまでは本当にベストラップで、うまく泳げたかなという感じです。ラストは予選の疲れなどが少し出てしまって、タイムを上げ切れなかったんですけど、それでもレース展開は良かったと思います」 ――決勝進出という一つの目標が達成できたと思いますが、その時の気持ちはいかがでしたか。 「1分56秒台は出したかったんですけど、それでも決勝に残れたので良かったかなと思います」 ――初代表で決勝に進出したことも自信になりましたか。 「自分はあまりテーパーミスや調整ミスはなく、大きい大会はいつも結果を出せる方なのですが、やはり今回は世界選手権という舞台で自分のいつものパフォーマンス出せるか不安でした。それでもいつもの自分の泳ぎで自己ベストを出したことは、とても自信になりました」 ――決勝は予選と準決勝の翌日の夜で、普段の国内大会にはない3本目のレースでしたが、いかがでしたか。 「予選が始まる前に立てていたのは、予選で少し余力を持って通過して、準決勝では1分56秒台を出す全力の泳ぎで決勝進出をする。決勝は1日空くのでしっかり回復をして、またその自己ベストを狙っていくという計画でした。1日空けば回復できるかなと思っていたんですけど、やはりダメージが大きくて、そこはまだまだだなという感じでした」 ――疲れが残ったまま決勝を迎えられたという感じでしたか。 「やはり完全に疲れが取り切れないまま、レースに向かったという感じです」 ――決勝は振り返っていかがでしたか。 「決勝は、きつくてあまり覚えていないんですけど、ラップでもセカンドラップの50メートルから100メートルは30秒割っていましたし、そういうところは良かったかなと思います」 ――応援はどなたかいらっしゃっていましたか。 「母や姉など家族が来てくれたり、友達も来てくれたりしていました。あとはコーチも来てくれていました」 ――今大会を振り返って、収穫と課題はそれぞれ何かありましたか。 「来年3月の選考会も、予選、準決勝、決勝とあって、それの予行練習じゃないですけど、そこでどうやって戦えばいいかということが今回で分かったことがとても良かったところです。自分の通用した水中キック、バサロキックもありましたが、それ以外のところは全然通用しなかったというところで、そのバサロキックを生かすためにも、他の部分をもっと強化してそこで戦えるようになりたいなと思いました」 ――今大会は全体的に日本勢が苦戦していたと思いますが、いかがでしたか。 「僕はそんなに日本チームについて何か言える立場ではないですが、自分はやはり自分のペースで自分のレースをしようと心掛けていたので、自分で考えてできたなという感じです」 ――世界新記録が今大会で10個出るほど、世界のレベルは上がっていると思いますが、そういったことはやはり実感されましたか。 「やはり世界のレベルもとても上がっていて、前まではフィジカルがすごいなと思っていたんですけど、海外選手は全然フィジカルだけでなく技術もすごかったです。自分はフィジカルですでに劣っているのに、技術でも勝てていないというところが、まだまだだなと感じました」 ――今回世界8位入賞されたことで、試合後に何か反響はありましたか。 「やはりいろいろな人から『テレビで見たよ』などと言われて、メッセージなどはたくさんきましたね」 ――そうした声は、今後の励みにはつながりますか。 「そうですね。まだまだですけど、これからこの反省を生かしてまた頑張ろうかなと思っています」 ――今後は9月にアジア大会、来年3月にはパリ五輪選考会がありますが、何か目標はありますか。 「パリ五輪は絶対出たいと思っていて、選考会まであと半年ちょっとしかないので、 そこまでは本当に死ぬ気でやります。そしてパリ五輪出場が決まったら、パリ五輪でどこまでいけるかは分からないですけど、もう1回決勝に残って、いけるとこまでいきたいなと思います」 ――入学当時に明スポが新歓号の取材をした際「最終的には五輪でメダルを取りたい」とおっしゃっていましたが、そうした将来的な目標はお変わりありませんか。 「そうですね。まだ今のレベルではメダルとは言っていられないので、とりあえず五輪選考会で1分55秒台を出して、そこからもっと進化してメダルを狙えるようになりたいなと思います」 ――ありがとうございました。 [渡辺悠志郎]READ MORE