

(4)GOAT Challenge Cup事前インタビュー 井口藍仁×村社海莉×佐藤優×古川逸暉
アイスホッケー界を盛り上げるため企画されたGOAT Challenge Cup。海外で挑戦を続ける日本人選手オールスターと、日本で活躍を見せる大学生オールスターの戦いが幕を開ける。今回は、埼玉のジュニアチームからチームメートであった井口藍仁(商2=埼玉栄)と村社海莉(文2=埼玉栄)。さらには2人と同じ埼玉のジュニアチームから、海外で挑戦を続ける佐藤優選手(Torpedo Nizhny Novgorod)と古川逸暉選手(Collingwood Blues)にもご参加いただき、今大会への思いを伺った。
――皆さんは同じ埼玉のチーム出身ですよね。
佐藤:自分は3歳から小学5年生、11歳まで埼玉のウォリアーズでプレーしていました。
古川:僕は千葉でアイスホッケーを始めて、横浜に行って最後に埼玉で1年くらい、小学6年生と中学1年生の1学期くらいまでやっていました。
――一緒にプレーされていた時の村社選手への印象についてお聞かせください。
佐藤:村社くんは福岡で元々やっていて、小1の時に埼玉に移籍してきて。当時のウォリアーズは人が少なくて、小学校低学年の時も5人か6人ぐらいしかいなくて、幼稚園生も大会に出ていました。村社選手は当時そこまでうまいとは思わなかったんですけど、自分が海外から帰ってくるたびにうまくなっているのを感じています。大学に行って代表メンバーに入ったり、昔では想像できないぐらいうまくなっているなと。彼の持ち味は味方を使ったプレーだったりシンプルなホッケーだったり、視野が広いのでそういうところは昔からうまかったです。
古川:海莉は1年しか一緒にやっていなくて、性格は昔からあんまり変わってないんですけど、プレーはどんどんうまくなっているなと感じていて、大学も明治でいい大学に行ったなと思っていました。
――一緒にプレーされていた時の井口選手への印象についてお聞かせください。
佐藤:井口くんは小さい頃からすごく知っている選手で、親が同じ高校に通っていたこともあって、ホッケーをやる前から知り合いでした。それでホッケーを始めて一緒のチームになったんですけど、小さい頃からずっとうまい選手でした。特に彼の持ち味のハンドリングは当時一緒にプレーしていた時は、今まで見たことないぐらいのうまさでした。彼がずっと練習していたからっていうのもあると思うんですけど、そこが一番印象的でした。
古川:藍仁は昔から上手ですよね。天才みたいな感じで。たしか小学3年生の頃、ウォリアーズに30対0で負けた試合があって、それを見た時にこいつやばいなと。一緒のチームでやった時もうまいなという印象でした。
佐藤:34対2じゃなかった?
古川:34対2だわ。藍仁と優が15点ずつくらい決めていたんですよ。藍仁と優がきっかけで、ホッケーを本気でやり始めました。
――一緒にプレーをされていた時の佐藤選手への印象についてお聞かせください。
古川:ほんとにバケモンだなと。あの時はシュートをまともに打てる子も見たことがなかったので、優はそれこそ年代を引っ張っていく選手という印象がありました。
井口:佐藤選手は一緒にプレーしていた期間が長かったです。1個上だったんですけどすごくて、小さい頃の北海道遠征に行った時の動画とかを見ても1人だけ全く動きが違う人がいるなという感じでした。性格は結構やんちゃだったので、しょっちゅう喧嘩していたんですけど、一緒にいて楽しかった思い出があります。
村社:佐藤さんはすごく上手な印象が強いです。1人で持っていって決めて、1人で全部完結させるので本当に僕たちはチームなのか、俺の存在はこのチームに必要なのかっていう気持ちにさせられるくらいうまい印象です。
――一緒にプレーをされていた時の古川選手への印象についてお聞かせください。
佐藤:かぶってないよね、ウォリアーズでは。
古川:そうだよね。たまに優がロシアから帰ってきた時に、助っ人で入って一緒のラインでやったり、帰ってきた時に練習で一緒になったりくらいだよね。
佐藤:昔から古川選手のことは知っていて、違うチームで対戦した時に嫌な選手だなと感じていましたし、この選手うまいなと。彼のいいところはやっぱりガツガツしたプレー、ガッツのあるプレーで、さらにスキルが高い選手なので一緒のラインでプレーできるか分からないですけど7月2日が楽しみです。やっている環境はみんな違うけど小さい頃から一緒にやっていた選手が活躍しているのはすごいなと思っています。
井口:古川選手は1回対戦をしていて、その時には圧勝しちゃったんですけど、その後同じチームに移籍してきて仲は良かったです。でも古川選手とは、同じチームにいても試合中とかしょっちゅう喧嘩をしていました。一緒にアメリカ行った時も違うチームの人にちょっかいかけたりして。プレーだと古川選手もハンドリングがうまくて、さらに今は体もゴツくて体幹も強くて当たり負けないような体になっていて、昔とは結構変わったなって感じがします。
村社:自分は本当に短い期間しか一緒にやっていなくて、昔のイメージなので本当に合っているか分からないですけど、佐藤くんと同じ感じで、本当に1人で持っていくタイプでしたね。それで結構外しているイメージが強かったです(笑)。
古川:ちょっと村社くんこのzoomから外してもらっていいですか(笑)。
村社:今のは冗談で、ここにいる自分以外ハンドリングが日本アイスホッケー界でトップなんですよ。幼少期から自分はこの3人のハンドリングを見てきたので、練習しようかなとは思っていたんですけど、やっぱりしないんですよね(笑)。そしたらどんどん置いていかれていて、でもみんなと一緒にプレーできて楽しかったです。
――埼玉を出てからの経歴についてお願いします。
佐藤:自分は小5でロシアのKrylia Sovetovていうジュニアチームのトライアウトに受かって5年間プレーをして、その後にフィンランドの Kiekko-Vantaaというジュニアチームで1年間プレーをしました。その次の年はカナダのCHLっていうジュニアプロのリーグのQuébec Rempartsというケベックのチームで1年間プレーして、次の年にアメリカのLincoln Starsというチームで2年間プレーをしていました。昨シーズンはロシアに戻って、Torpedo Nizhny Novgorodというロシアのプロチームでやっています。
古川:最初はカナダのトロントに行って、有名なNHL選手もプレーをしていたマイナーリーグ、子どものリーグで5年やって、その後移ってその時は榛澤力選手(Sacred Heart University)とも試合をしたりしました。去年はカナダのジュニアAでやってチャンピオンになって、今シーズンはアメリカでやる予定です。
――海外に行くことを決めたきっかけはありますか。
佐藤:自分がロシアに行くきっかけとなったのはワシリー・ペルーヒンさんという元日本代表でも監督をされていた方に小学校低学年のころ出会って、その方にチームとかも紹介してもらってロシアに行くことを決めました。あとは父が元々ソ連のホッケーが好きだったというのもありました。自分以外は北米、アメリカとかカナダへ行くと思うんですけど、あんまり他の人がやっていることをやるのが好きじゃないのでロシアに行こうと思ったのもあります。
古川:優と藍仁と、海莉はいたか覚えてないですけど、小学4年生くらいの時に1回トロント遠征に行っているんですよ。その時結構いいメンツで行って、佐々中学人(東洋大)とか、大竹広記(営3=白樺学園)とかうまい人が結構いたんですけど、トロントマルボロスっていうチームに30-0くらいで負けて。
佐藤:そんなに取られたっけ?
古川:たぶんそのくらいだったよ。その経験が衝撃でしたね。それで少しずつカナダに行くようになって、たまたまカナダにホッケー留学をしようとしていたらそのリーグに入れちゃったというか。そのリーグの、さっき言ったトロントマルボロスっていう強くて伝統のあるチームからオファーが来たのでカナダにした感じです。
――海外生活で大変だったことや日本との違いはありましたか。
佐藤:自分がロシアに行った当時は、ロシア語も話せなくて言葉の壁っていうのが一番大変でした。あとはプレーに関しても認めてもらうまでが大変で、チームに入ったは入ったんですけど、日本と比べてレベルの高い選手がいっぱいてチーム内の競争が激しかったので、当時は試合に出られるかどうかって感じでしたね。でも慣れてくるにつれて言葉もプレーの方も安定してきて、そこからは楽しかったです。埼玉でやっていた時は練習が週2回しかなかったけど、ロシアでは毎日のように練習をしてすごくいい環境でできたのが幸せでしたし、楽しかったです。
古川:僕は私生活では恵まれた環境でやっていたんですけど、ホッケー面では優と同じような大変さがありました。それこそトロントはカナダの中で一番ホッケー人口が多い都市なので、一緒にプレーをしていたラインメイトは今NHLでやっていたり、ドラフトされたりっていう選手が多かったです。毎年プレーするチームは変わっているんですけど、優と同じでスポットを取るのも大変ですし、ドラフトイヤーがカナダでは一番大事なんですけど、みんなチームメートより自分優先って感じでやっていましたね。あと僕も言語は大変でした。
――日本でプレーをしている2人から見た、日本と海外のアイスホッケーの違いについて教えてください。
村社:自分はそこまで海外に行く機会はなかったのですが、日本とはうまい人の数が違って、セットに入るだけでも大変なのですごく刺激を受けています。
井口:環境がまず違うと思います。向こうはスキルの練習も多くて、それに合ったコーチとかもいて、全くシュートを打たない練習とかもあります。あとは周りのレベルもそうじゃないですか。身長とかも全然違うので。
――今回、この4人で試合ができると聞いた時はどのように感じましたか。
佐藤:まず、このような形で試合をする機会なんて今までなかったので、素直にうれしい気持ちと、昔チームメートだった3人とまた一緒の舞台でプレーできることを楽しみにしていました。
井口:チームは一緒だったけど、2人とも途中でいなくなってしまって、そこから深い接点がなくてこの4人での対戦はなかったので楽しみです。
――海外のお二人はどのように連絡が来たのですか。
佐藤:運営側からこういう試合が行われるって連絡が来て、自分は迷うことなくいいですよと返事をしました。日本でプレーする機会なんかめったにないので、幼なじみの子や家族、親戚となかなか試合を見に来られない人、あとは日本のアイスホッケーファンの方々に見てもらえますし、日本のアイスホッケー界が低迷している中で自分たちがいいプレーをして、日本のアイスホッケー界がもっと盛り上がってくれたらいいなと思っているので、今回の話を聞いて自分はそういう気持ちで受け入れました。
古川:僕はカナダにいた時に主催者の方から連絡が来ました。基本夏は日本に帰っていないけど、たまたま日本に帰る予定があったので、どういう感じなのか分からないんですけど、出てみようかなと。日本であまり試合をしたこともなかったので。
――海外のそれぞれのリーグの盛り上がりは日本とは違いますか。
佐藤:日本の試合は見に行ったことがないから分からないですけど、海外はやっぱりファンもいて、自分のチームは3000~3500人くらいのリンクサイズなんですけど、毎試合満員になります。
古川:うちのチームは毎試合2000人くらい入るんですけど、ホームの試合はやっぱりすごく盛り上がりますよね。
――明大のお二人は、相手チームで対戦が楽しみな選手はいますか。
井口:自分は同年代の人たちです。相手に3人4人くらいいるので、その人たちと対戦するのが楽しみです。
村社:今いる佐藤さんや古川さんです。昔一緒にやっていた人と試合できるっていうのは自分にとっても楽しみです。2人は自分と試合するために帰ってきているようなもんだと思うので(笑)。これが俺だっていう感じで試合では全部止めます!
――同じチームで一緒にプレーをするのが楽しみな選手はいますか。
村社:自分は床さん(法大)が楽しみです。U-20の時は床さんと一緒にやっていたので、もう一回できるって思うとすごくうれしいかなと。井口くんは角丸陸斗選手(中大)って言っていました。角丸くんは自分と一緒に海外に行った仲間なので、久しぶりに一緒にできてうれしいと今おっしゃっています。
井口:はい。そうです。
――海外チームのお二人は相手チームや同じチームでプレーするのが楽しみな選手はいますか。
佐藤:みんな知っている選手ばかりですし、誰かピックするのは本当に難しいです。代表で一緒になった選手や、昔一緒のチームでプレーしていた選手ともう一度やるのは楽しみですし、みんなとプレーできるのが楽しみです。
古川:僕は日本代表とかに行ったことがないですが、代表に選ばれている子が多いチームだと感じています。そういう人たちと一緒にプレーするのが楽しみです。
――試合展開はどのようになると思いますか。
村社:佐藤さんはトレーニングを毎日のようにやっているらしくて。ただでさえうまいのに、さらにそこからトレーニングしている人と戦ったらぼこぼこにやられる気がします。でもこっちには世界の井口がいるので、そこに期待しています。
佐藤:本当に分かんないな。
村社:絶対そっちが押すでしょ。
佐藤:何対何になるかは来てもらわないと分からないし、予想もできないです。予想するのが難しいくらいいいゲームができたらいいなって。やっぱり自分はガチでやりたいと思っていて、そうしないとせっかく来てもらうお客さんも楽しめないですし、いい大会にして来年もできるようにしたいです。
古川:僕はこっちでもトレーニングをして準備しているので、本気でいこうと思っています。海莉のところだけは3倍くらいガチでいこうかなって(笑)。とりあえず試合展開は分からないですね。カナダはリンクが日本より小さいので、短期戦だったらこっちが有利ですけど長期戦だったら日本の選手のほうが強いんじゃないですかね。まあでも海外組に一票で。
井口:自分たちが勝ちます!
――最後に今回の試合への意気込みをお願いします。
佐藤:こんな機会はこれまでなくて、日本のアイスホッケー界のためっていう、それをモットーにこの大会が開かれたと思うので自分たちがいい試合をして盛り上げられればと思っています。初めてアイスホッケー見に来る人もいると思うので、そういう人たちにも興味を持ってもらえればいいなと思います。
古川:脅しじゃないですけど超本気でいきます。当日は僕のゴールたくさん見られると思うので。
村社:いいの?そんなこと言っちゃって。
古川:いやほんとにシーズン中と同じくらい準備して行こうと思っているから。
佐藤:ちなみに何ゴール何アシストを。
古川:そこはちょっとプレッシャーかけすぎなんで(笑)。でも楽しみにしてもらえたらなと思います。
井口:自分は観客がたくさんいるので1点は決めます。ゴールパフォーマンスをしたいので。
村社:自分はフォワードじゃないので、佐藤選手や井口選手みたいに点を決めるかって言われるとそうではないと思っています。でも佐藤選手や海外のうまい選手を止められるように頑張りたいです。日本のディフェンダーがどこまで海外のうまい人を止められるかっていうのをみんなに見せられたらなと思っています。
――ありがとうございました。
[聞き手・覺前日向子、倉田泰]
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(10)GOAT Challenge Cup試合後インタビュー 主催者・安田桂太朗さん
アイスホッケー 2023.07.12大盛況のうちに幕を閉じたGOAT Challenge Cup。アイスホッケー界では異例の1000人を超える観客が駆け付け、選手と観客が一体となって熱い試合を繰り広げた。今回は一日限りの夢の空間をつくり上げた選手、監督、主催者の方へのインタビューをお届けする。 第5回は、主催者の安田桂太朗さん(Connecticut College)のインタビューです。(この取材は7月4日に行われたものです) ――まずは無事に終わって数日経った今の心境をお聞かせください。 「まずは何も大きなトラブルなく、選手のケガもなく終えることができたのは、いろいろな方の協力があってのことなんですけど、そこが一番ほっとしています。心境としては、当日1200人くらい来ていたんですけど、あれだけのお客さんが来てくれたことに達成感がありますし、試合が終わった後にインスタやツイッターでの反響がすごくて、そういうのを見てやって良かったなと感じています」 ――愛知ではチケットが残り2日くらいで多く売れたとおっしゃっていました。今回のチケットの売れ行きはいかがでしたか。 「全席自由席で値段が一緒ということもあって、早く買おうっていう選択は多くないだろうと、名古屋の時と同じで最後の1週間が勝負になるだろうなと考えていました。その中でも最後の2日間は、300枚くらい売れたんじゃないかな。正確な数字は分からないですけど、そのくらい売れてそれだけ多くの方に買っていただけたのはうれしいですし、選手も残り数日でプッシュしてくれたので感謝しています」 ――クラウドファンディングも成功していましたが、実施しようと考えた経緯をお聞かせください。 「クラウドファンディングは今回初の試みで、名古屋の時は地元で知り合いの方からスポンサー企業の獲得はできていたんですけど、東京はそのような方がいませんでした。企業の方にコンタクトを取っても東京での実績がないので、企業さん的にも信ぴょう性がなくて難しいところがあって。そこで何ができるか考えたときにあったのがクラウドファンディングで、一般の方々からも支援を募ってご協力いただいた形なんですけど、目標額であった50万円を締め切りの3日前に達成できて感謝しています」 ――支援してくださっていたスポンサー企業もありました。 「うちのスタッフが頑張ってくれて美容関係の商品を販売しているお店から『ぜひ応援させてください』と言っていただけました。クラウドファンディングサイトから商品を割引して買えるようにさせてもらったので、うちのスタッフと代理店の方には感謝しています。あとサンエスオルクスは愛知県でアジアリーグに所属するプロチームをつくろうとしている団体で、僕たちももともと愛知で活動していた団体なので『そこはぜひとも応援したい』と言ってくださいました」 ――リハーサルではどのようなことを確認しましたか。 「1週間前に僕とスタッフの1人で23時くらいにリハーサルをしに行って、音響やライトの確認。あとは映像がどのように映るかを東伏見のリンクの方に協力してもらって確認しました。東伏見のリンクに行ったこともなかったんですけど、リンクの方も協力的で要望をいろいろ聞いてくださったので、スムーズに運営できたのはそのおかげかなと思います」 ――試合当日の動きはいかがでしたか。 「リハーサルは試合1週間前にやったんですけど、機材を入れたのは前日なんですよ。前日の夕方にスタッフが全員集まって、搬入をするところから始まって、夜に最終ミーティングを行って、当日の朝9時くらいにリンクに向かって、そこからのぼりの設置やパンフレットの用意をしました。あと東伏見のリンクは映像をパソコンに移さないといけなくて、結構な重さの動画なのでそれを入れたり、選手のユニホームの設置やスポットライトやスモークの準備をしたり、時間は結構ギリギリでした。13時半くらいに選手が到着予定だったので、それまでに準備は終わらせて、選手が到着した後はミーティングをして、ボランティアの方たちとミーティングをして、最後に監督の方たちとミーティングをして。もともと14時45分に開場だったんですけど、14時20分にはとてつもない待機列ができてしまったので、熱中症なども懸念してリンクの方と交渉して14時半から開けていいということになりました。14時半からイベントの受け付けを始めて、開場が早まったことでスムーズにできたのかなと思います」 ――試合前のミーティングではどのような話をしましたか。 「このようなイベントは選手ありきのイベントなので、第一に協力してくれてありがとうということと、選手に全面的にスポットライトが当たっているイベントでこのような機会はこれまでなかったので、しっかり楽しんでほしいというのは選手たちに伝えました。ボランティアの子たちにもアイスホッケーを盛り上げるために協力してほしいということを伝えさせていただきました」 ――ボランティアはどこかの大学生の方ですか。 「大東大の子たちが来てくれました。過去2大会愛知県の試合に出てくれている子で、その子自身スポーツの運営に興味がある子で『ぜひ手伝わせてください』と言ってくれていたので。前回の話のインターン制度に近いように現場の裏側の仕事を知ってもらうことはあまりない機会なのでお願いして、他の子たちはもともとアイスホッケーが好きだったり、すでにチケットを買ってくれていた子たちも協力してくれて、いろいろな子がいました」 ――たくさんの観客が来ていることを実際に見た時はどのような気持ちになりましたか。 「すごくうれしい反面、運営やばくないかと(笑)。心配もあったんですけど、ボランティアの子たちも優秀で、うちのスタッフも仕事ができる人ばかりなので、本当に周りに助けられました。最初にこのイベントを公開した時は正直、人が入るか不安で『GOAT Challenge Cupって何なの』っていうところから入るので。実績が東京ではない中で、個人的にすごく心配でそれこそチケットもクラウドファンディングも最初は微妙な感じだったので。でも当日長蛇の列を作るくらいお客さんがたくさん集まってくれたというのは主催者としては本当にうれしく思いました」 ――監督はどのような経緯でお願いしましたか。 「僕が三浦優希選手(Iowa Heartlanders)と面識があって、今回のことをいろいろ相談させてもらった中で、これだけの選手が集まるなら監督もアイスホッケー界で知名度の高い方にやっていただきたいと思っていました。そこで三浦さんから『平野さん(裕志朗監督・Abbotsford Canucks)ならアイスホッケー普及のために協力してくれると思うよ』と、つなげていただきました。僕から今回のイベントの説明をしてお願いしたら『アイスホッケー普及のためなら何でもします』ということで協力してくださいました。相馬選手(秀斗監督・H.C.栃木日光アイスバックス)は僕の兄が駒大苫小牧高の同期で仲も良かったので、そのつながりもあってお願いしました。相馬選手は国内のエリート街道を進んできた選手で、駒大苫小牧高で全国優勝をして、明大でも全国優勝をして今バックスでもアシスタントキャプテンをやっているすばらしい方です。お願いしたら二つ返事で相馬選手も快諾してくれたので、お二人には感謝してもし切れないと思っています」 ――今回のイベントを通して大変だったことはありますか。 「やっぱり僕たちはエンターテインメント性に力を入れているので、当日のパンフレット、のぼり、ポスターは僕がデザインしていて、演出の動画とかは兄が作ってくれているんですけど、いろいろ細かい作業が多くて大変でした。著作権が大丈夫か、プロフィールが間違っていないかとか、東伏見のリンクのサイズで一番かっこよく見せるにはどういう映像でどのくらいの長さがいいのかとかを細かくミーティングして。これって正解がないというか、極めようと思えばいくらでも極められる作業なので、動画に関しては試合の前日まで練って編集していました。たかが当日の2分とかかもしれないんですけど、どこまでこだわりを持つかは重要視していて、それをやり切れたことに達成感はあったんですけど、やはり一番大変だったかなと思います」 ――今回のイベントで良かったことや、手応えを感じたことはありますか。 「アイスホッケーって特殊で首都圏にチームがずっとなくて、西武がなくなって今やっと横浜GRITSが出てきたけど、首都圏で見る機会がなかったのは他のスポーツだと考えられないことだと思うんですよ。アジアリーグは北海道、青森、栃木ってあって今やっとグリッツが出てきて少しずつ変わってきているんですけど、少しもったいないなと感じていました。その中で今回東京で開催できたのはアイスホッケー界にとっても良かったかなと思いますし、愛知とは比べものにならないくらいの注目度だったので、東京ならではの強みといいますか、良かった点かなと思っています。僕が描いている未来図では、1年目はアンケートを取って市場調査、2年目は赤字がでないような経営下での試合開催、3年目は東京に進出して1000人っていうのを企画書に書いていて、4年目は1年で何回か試合を行って5年目からはパッケージ化して全国に流すっていうのを思い描いています。そういった意味では名古屋でやっていたものを東京にアレンジして持ってきて、今回これが成功したから次は何をしようかって考えた時に、これをパッケージ化して全国に流す準備を始めようと個人的には思っているので、東京が初開催で成功したのは僕らのプランの中では重要なポイントだったので、手応えを感じています」 ――今回見つかった課題はありましたか。 「リンクの周りにルール説明のQRコードを貼っていたんですけど、それに気づいている人はあまりいなかったのかなと感じています。今後やっていくにあたって、アイスホッケー関係者だけじゃなくて新規のお客さんを獲得しないといけないと考えた時に、根本的にアイスホッケーってなんなのっていうところにフォーカスを当てても良かったのかなと思っています。初めて見る方も置いていかれないような方法も探っていかないとなと思いましたし、技術面ではゴールが入ったときの映像はあったんですけど、それを選手の映像にするとか、ゴールシーンのハイライトをすぐ流すとかまだまだやりたいことはたくさんあるので、ファンファーストの気持ちは忘れずにファンの方がどうやったら楽しめるかを考えています。あとは北米だとアイスホッケーの試合以外にもサブ要素がたくさんあるので、地元のお店と提携するなど輪を広げていきたいとは思います」 ――今後に向けての意気込みをお願いします。 「今回、アイスホッケー界の光を少し見られたのかなと思っていて、もちろん未来のある才能ある選手がいるのはもちろんなんですけど、それを応援してくださる方の多さに驚きました。日本のアイスホッケー界は厳しいことを言われていますが、まだまだ伸びしろがあるというか、まだまだここから巻き返せるなと思ったので、どんどん輪を広げていって全国各地でアイスホッケーを見に行こうという流れをつくっていきたいと思っています。これからもいろいろな人に支えてもらいながら頑張っていきたいなと思います」 ――ありがとうございました。 [倉田泰]※写真はご本人提供READ MORE -
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アイスホッケー 2023.07.12大盛況のうちに幕を閉じたGOAT Challenge Cup。アイスホッケー界では異例の1000人を超える観客が駆け付け、選手と観客が一体となって熱い試合を繰り広げた。今回は一日限りの夢の空間を作り上げた選手、監督、主催者の方へのインタビューをお届けする。 第3回はFW榛澤力(Sacred Heart University)、FW佐藤優(Torpedo Nizhny Novgorod)、FW古川逸暉(Collingwood Blues)、DF村上レイ(Lone Star Brahmas)のインタビューです。 榛澤――出場経緯を教えてください。 「僕らの世代でということだったので若い世代を盛り上げるようなイベントができたらいいなと思っていました。そこで呼んでもらえたので協力できることは協力しようと思いました」 ――試合内容を振り返っていかがでしたか。 「夏のこの時期は日本の大学生が練習していない時期で自分たちもシーズンインまで少し時間があってベストの状態ではありませんでした。その中で緩い試合ではなく、メリハリのある試合になり、見ている人も楽しんでくれたと思うのでよかったです」 ――日本とアメリカのアイスホッケーの違いは何でしょうか。 「アメリカのリンクより日本のリンクの方が横にも縦にも広いため、日本の方がパス回しやスペース使うことが上手だなと感じました。守りも動く距離が長くなるのでリンクを使った特徴的なホッケーに日本は慣れていて、スキルの違いを感じました」 ――印象に残った選手はいらっしゃいますか。 「昔から知っているのですが、井口選手(藍仁・商2=埼玉栄)です。足が速く、スキルもあって良い選手です。見せ場をつくられてしまったので上手だったという印象です」 ――観客の皆さんに一言お願いします。 「暑い中、お忙しい中にも関わらず、お金を払って当日見に来てくださったことに感謝の気持ちでいっぱいです。とても盛り上げてくださって選手一人一人がわくわくできたと思います」 ――ありがとうございました。 佐藤――日本のリンクでプレーしていかがでしたか。 「久しぶりに東伏見の舞台でプレーしたので最初は少し慣れなかったのですが、だんだん感覚もつかめてきて最終的には良いプレーができたので良かったです」 ――印象に残ったプレーや選手はいらっしゃいますか。 「角丸選手(陸斗・中大)のシュートはやはり良いコースに入ったなと思います。序盤であの遠くからのシュートはすごいと思いました。村社君(海莉・文2=埼玉栄)は見るたびに上手になっていて本当にあのディフェンスはすごいと思います。昔は止められなかったのですが、お互いに成長できていると感じました」 ――結果についてはいかがでしたか。 「第3Pはなかなか点が入らず、そこだけ少しマイナスだと思いました。もっと点差が開けばもっと盛り上がったと思います。来年度、また機会があれば参加できたらもっと良い試合を見せられるようにしたいです」 ――試合前にチームで話し合ったことはありますか。 「少しガチでいこうと思ったので自分は相手のチームには話しかけませんでした。ですが、試合が終わった後はナイスゲームと集まって言いました」 ――観客へのメッセージをお願いします。 「こんな暑い中でも会場に来てくださってありがたいです。選手たちも本当に頑張っていましたし、この試合を楽しんでくれたことを願います。こんなにトップ選手が集まる機会なんてないので来年度にまた選手も進化してもっと良い大会にできるよう、アイスホッケー界を盛り上げていけたらと思います」 ――ありがとうございました。古川――試合前はどのような話がありましたか。 「平野さん(平野裕志朗監督・Abbotsford Canucks)から少しアドバイスがあり、それぞれ話し合って楽しもうという雰囲気がありました」 ――日本大学生オールスターと対戦していかがでしたか。 「展開が早く、このリンクをよく練習で利用していると思うのですが、使い方がよく分かっているなと思いました。こちらは慣れていない分、そこは少し弱かったと思います」 ――対戦して印象的な選手はいらっしゃいましたか。 「井口や村社はやはり頑張っていたなと思いますし、みんなそれぞれ良かったと思います」 ――観客の皆さんへ一言お願いします。 「遠くから来てくださり、ありがとうございました。これはまだまだ序章といいますか、これからみんな日本代表の試合に出るようになると思うので、また見に来てほしいです」 ――ありがとうございました。 村上――会場の雰囲気はいかがでしたか。 「最高でした。中学2年生くらいで留学したので、日本でプレーすることがほとんどありませんでした。しかし、会場の雰囲気は本当にアメリカにいる時と同じくらいの歓声で良かったです」 ――同じ中学校でプレーされていた三浦選手(稜介・政経4=駒大苫小牧)についてはいかがでしたか。 「三浦さんは後輩思いの本当にいい先輩です。氷上でも常に全力ですし、毎日高いモチベーションをもって練習されていて、スキルも高い選手なのですごかったです」 ――日本大学生オールスターはいかがでしたか。 「最初にスピードがとても速くて、すばしっこいなと思いました。あとは長い距離のパスをつないでチャンスをつくって、ディフェンスは少し後ろに引いて守らないといけないので、すごくやりづらかったです」 ――今日のご自身の得点を振り返っていかがでしたか。 「パワープレーの5人対3人の状況で、佐藤さんが時間をつくって、自分に良いパスが来ました。スペースができて誰もプレッシャーに来ておらず、打ったら入ったという感じです」 ――今回来ていただいた観客の皆さんに一言お願いします。 「来てくださってありがとうございますという気持ちと、普段は日本のファンの皆さんを前にプレーをできることはないので、本当に良い経験になりました」 ――ありがとうございました。 [覺前日向子、倉田泰、原田青空]READ MORE