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(4)GOAT Challenge Cup事前インタビュー 井口藍仁×村社海莉×佐藤優×古川逸暉

アイスホッケー 2023.07.01

 アイスホッケー界を盛り上げるため企画されたGOAT Challenge Cup。海外で挑戦を続ける日本人選手オールスターと、日本で活躍を見せる大学生オールスターの戦いが幕を開ける。今回は、埼玉のジュニアチームからチームメートであった井口藍仁(商2=埼玉栄)と村社海莉(文2=埼玉栄)。さらには2人と同じ埼玉のジュニアチームから、海外で挑戦を続ける佐藤優選手(Torpedo Nizhny Novgorod)と古川逸暉選手(Collingwood Blues)にもご参加いただき、今大会への思いを伺った。

 

――皆さんは同じ埼玉のチーム出身ですよね。

佐藤:自分は3歳から小学5年生、11歳まで埼玉のウォリアーズでプレーしていました。

古川:僕は千葉でアイスホッケーを始めて、横浜に行って最後に埼玉で1年くらい、小学6年生と中学1年生の1学期くらいまでやっていました。

 

――一緒にプレーされていた時の村社選手への印象についてお聞かせください。

佐藤:村社くんは福岡で元々やっていて、小1の時に埼玉に移籍してきて。当時のウォリアーズは人が少なくて、小学校低学年の時も5人か6人ぐらいしかいなくて、幼稚園生も大会に出ていました。村社選手は当時そこまでうまいとは思わなかったんですけど、自分が海外から帰ってくるたびにうまくなっているのを感じています。大学に行って代表メンバーに入ったり、昔では想像できないぐらいうまくなっているなと。彼の持ち味は味方を使ったプレーだったりシンプルなホッケーだったり、視野が広いのでそういうところは昔からうまかったです。

古川:海莉は1年しか一緒にやっていなくて、性格は昔からあんまり変わってないんですけど、プレーはどんどんうまくなっているなと感じていて、大学も明治でいい大学に行ったなと思っていました。

 

――一緒にプレーされていた時の井口選手への印象についてお聞かせください。

佐藤:井口くんは小さい頃からすごく知っている選手で、親が同じ高校に通っていたこともあって、ホッケーをやる前から知り合いでした。それでホッケーを始めて一緒のチームになったんですけど、小さい頃からずっとうまい選手でした。特に彼の持ち味のハンドリングは当時一緒にプレーしていた時は、今まで見たことないぐらいのうまさでした。彼がずっと練習していたからっていうのもあると思うんですけど、そこが一番印象的でした。

古川:藍仁は昔から上手ですよね。天才みたいな感じで。たしか小学3年生の頃、ウォリアーズに30対0で負けた試合があって、それを見た時にこいつやばいなと。一緒のチームでやった時もうまいなという印象でした。

佐藤:34対2じゃなかった?

古川:34対2だわ。藍仁と優が15点ずつくらい決めていたんですよ。藍仁と優がきっかけで、ホッケーを本気でやり始めました。

 

――一緒にプレーをされていた時の佐藤選手への印象についてお聞かせください。

古川:ほんとにバケモンだなと。あの時はシュートをまともに打てる子も見たことがなかったので、優はそれこそ年代を引っ張っていく選手という印象がありました。

井口:佐藤選手は一緒にプレーしていた期間が長かったです。1個上だったんですけどすごくて、小さい頃の北海道遠征に行った時の動画とかを見ても1人だけ全く動きが違う人がいるなという感じでした。性格は結構やんちゃだったので、しょっちゅう喧嘩していたんですけど、一緒にいて楽しかった思い出があります。

村社:佐藤さんはすごく上手な印象が強いです。1人で持っていって決めて、1人で全部完結させるので本当に僕たちはチームなのか、俺の存在はこのチームに必要なのかっていう気持ちにさせられるくらいうまい印象です。

 

――一緒にプレーをされていた時の古川選手への印象についてお聞かせください。

佐藤:かぶってないよね、ウォリアーズでは。

古川:そうだよね。たまに優がロシアから帰ってきた時に、助っ人で入って一緒のラインでやったり、帰ってきた時に練習で一緒になったりくらいだよね。

佐藤:昔から古川選手のことは知っていて、違うチームで対戦した時に嫌な選手だなと感じていましたし、この選手うまいなと。彼のいいところはやっぱりガツガツしたプレー、ガッツのあるプレーで、さらにスキルが高い選手なので一緒のラインでプレーできるか分からないですけど7月2日が楽しみです。やっている環境はみんな違うけど小さい頃から一緒にやっていた選手が活躍しているのはすごいなと思っています。

井口:古川選手は1回対戦をしていて、その時には圧勝しちゃったんですけど、その後同じチームに移籍してきて仲は良かったです。でも古川選手とは、同じチームにいても試合中とかしょっちゅう喧嘩をしていました。一緒にアメリカ行った時も違うチームの人にちょっかいかけたりして。プレーだと古川選手もハンドリングがうまくて、さらに今は体もゴツくて体幹も強くて当たり負けないような体になっていて、昔とは結構変わったなって感じがします。

村社:自分は本当に短い期間しか一緒にやっていなくて、昔のイメージなので本当に合っているか分からないですけど、佐藤くんと同じ感じで、本当に1人で持っていくタイプでしたね。それで結構外しているイメージが強かったです(笑)。

古川:ちょっと村社くんこのzoomから外してもらっていいですか(笑)。

村社:今のは冗談で、ここにいる自分以外ハンドリングが日本アイスホッケー界でトップなんですよ。幼少期から自分はこの3人のハンドリングを見てきたので、練習しようかなとは思っていたんですけど、やっぱりしないんですよね(笑)。そしたらどんどん置いていかれていて、でもみんなと一緒にプレーできて楽しかったです。

 

――埼玉を出てからの経歴についてお願いします。

佐藤:自分は小5でロシアのKrylia Sovetovていうジュニアチームのトライアウトに受かって5年間プレーをして、その後にフィンランドの Kiekko-Vantaaというジュニアチームで1年間プレーをしました。その次の年はカナダのCHLっていうジュニアプロのリーグのQuébec Rempartsというケベックのチームで1年間プレーして、次の年にアメリカのLincoln Starsというチームで2年間プレーをしていました。昨シーズンはロシアに戻って、Torpedo Nizhny Novgorodというロシアのプロチームでやっています。

古川:最初はカナダのトロントに行って、有名なNHL選手もプレーをしていたマイナーリーグ、子どものリーグで5年やって、その後移ってその時は榛澤力選手(Sacred Heart University)とも試合をしたりしました。去年はカナダのジュニアAでやってチャンピオンになって、今シーズンはアメリカでやる予定です。

 

――海外に行くことを決めたきっかけはありますか。

佐藤:自分がロシアに行くきっかけとなったのはワシリー・ペルーヒンさんという元日本代表でも監督をされていた方に小学校低学年のころ出会って、その方にチームとかも紹介してもらってロシアに行くことを決めました。あとは父が元々ソ連のホッケーが好きだったというのもありました。自分以外は北米、アメリカとかカナダへ行くと思うんですけど、あんまり他の人がやっていることをやるのが好きじゃないのでロシアに行こうと思ったのもあります。

古川:優と藍仁と、海莉はいたか覚えてないですけど、小学4年生くらいの時に1回トロント遠征に行っているんですよ。その時結構いいメンツで行って、佐々中学人(東洋大)とか、大竹広記(営3=白樺学園)とかうまい人が結構いたんですけど、トロントマルボロスっていうチームに30-0くらいで負けて。

佐藤:そんなに取られたっけ?

古川:たぶんそのくらいだったよ。その経験が衝撃でしたね。それで少しずつカナダに行くようになって、たまたまカナダにホッケー留学をしようとしていたらそのリーグに入れちゃったというか。そのリーグの、さっき言ったトロントマルボロスっていう強くて伝統のあるチームからオファーが来たのでカナダにした感じです。

 

――海外生活で大変だったことや日本との違いはありましたか。

佐藤:自分がロシアに行った当時は、ロシア語も話せなくて言葉の壁っていうのが一番大変でした。あとはプレーに関しても認めてもらうまでが大変で、チームに入ったは入ったんですけど、日本と比べてレベルの高い選手がいっぱいてチーム内の競争が激しかったので、当時は試合に出られるかどうかって感じでしたね。でも慣れてくるにつれて言葉もプレーの方も安定してきて、そこからは楽しかったです。埼玉でやっていた時は練習が週2回しかなかったけど、ロシアでは毎日のように練習をしてすごくいい環境でできたのが幸せでしたし、楽しかったです。

古川:僕は私生活では恵まれた環境でやっていたんですけど、ホッケー面では優と同じような大変さがありました。それこそトロントはカナダの中で一番ホッケー人口が多い都市なので、一緒にプレーをしていたラインメイトは今NHLでやっていたり、ドラフトされたりっていう選手が多かったです。毎年プレーするチームは変わっているんですけど、優と同じでスポットを取るのも大変ですし、ドラフトイヤーがカナダでは一番大事なんですけど、みんなチームメートより自分優先って感じでやっていましたね。あと僕も言語は大変でした。

 

――日本でプレーをしている2人から見た、日本と海外のアイスホッケーの違いについて教えてください。

村社:自分はそこまで海外に行く機会はなかったのですが、日本とはうまい人の数が違って、セットに入るだけでも大変なのですごく刺激を受けています。

井口:環境がまず違うと思います。向こうはスキルの練習も多くて、それに合ったコーチとかもいて、全くシュートを打たない練習とかもあります。あとは周りのレベルもそうじゃないですか。身長とかも全然違うので。

 

――今回、この4人で試合ができると聞いた時はどのように感じましたか。

佐藤:まず、このような形で試合をする機会なんて今までなかったので、素直にうれしい気持ちと、昔チームメートだった3人とまた一緒の舞台でプレーできることを楽しみにしていました。

井口:チームは一緒だったけど、2人とも途中でいなくなってしまって、そこから深い接点がなくてこの4人での対戦はなかったので楽しみです。

 

――海外のお二人はどのように連絡が来たのですか。

佐藤:運営側からこういう試合が行われるって連絡が来て、自分は迷うことなくいいですよと返事をしました。日本でプレーする機会なんかめったにないので、幼なじみの子や家族、親戚となかなか試合を見に来られない人、あとは日本のアイスホッケーファンの方々に見てもらえますし、日本のアイスホッケー界が低迷している中で自分たちがいいプレーをして、日本のアイスホッケー界がもっと盛り上がってくれたらいいなと思っているので、今回の話を聞いて自分はそういう気持ちで受け入れました。

古川:僕はカナダにいた時に主催者の方から連絡が来ました。基本夏は日本に帰っていないけど、たまたま日本に帰る予定があったので、どういう感じなのか分からないんですけど、出てみようかなと。日本であまり試合をしたこともなかったので。

 

――海外のそれぞれのリーグの盛り上がりは日本とは違いますか。

佐藤:日本の試合は見に行ったことがないから分からないですけど、海外はやっぱりファンもいて、自分のチームは3000~3500人くらいのリンクサイズなんですけど、毎試合満員になります。

古川:うちのチームは毎試合2000人くらい入るんですけど、ホームの試合はやっぱりすごく盛り上がりますよね。

 

――明大のお二人は、相手チームで対戦が楽しみな選手はいますか。

井口:自分は同年代の人たちです。相手に3人4人くらいいるので、その人たちと対戦するのが楽しみです。

村社:今いる佐藤さんや古川さんです。昔一緒にやっていた人と試合できるっていうのは自分にとっても楽しみです。2人は自分と試合するために帰ってきているようなもんだと思うので(笑)。これが俺だっていう感じで試合では全部止めます!

 

――同じチームで一緒にプレーをするのが楽しみな選手はいますか。

村社:自分は床さん(法大)が楽しみです。U-20の時は床さんと一緒にやっていたので、もう一回できるって思うとすごくうれしいかなと。井口くんは角丸陸斗選手(中大)って言っていました。角丸くんは自分と一緒に海外に行った仲間なので、久しぶりに一緒にできてうれしいと今おっしゃっています。

井口:はい。そうです。

 

――海外チームのお二人は相手チームや同じチームでプレーするのが楽しみな選手はいますか。

佐藤:みんな知っている選手ばかりですし、誰かピックするのは本当に難しいです。代表で一緒になった選手や、昔一緒のチームでプレーしていた選手ともう一度やるのは楽しみですし、みんなとプレーできるのが楽しみです。

古川:僕は日本代表とかに行ったことがないですが、代表に選ばれている子が多いチームだと感じています。そういう人たちと一緒にプレーするのが楽しみです。

 

――試合展開はどのようになると思いますか。

村社:佐藤さんはトレーニングを毎日のようにやっているらしくて。ただでさえうまいのに、さらにそこからトレーニングしている人と戦ったらぼこぼこにやられる気がします。でもこっちには世界の井口がいるので、そこに期待しています。

佐藤:本当に分かんないな。

村社:絶対そっちが押すでしょ。

佐藤:何対何になるかは来てもらわないと分からないし、予想もできないです。予想するのが難しいくらいいいゲームができたらいいなって。やっぱり自分はガチでやりたいと思っていて、そうしないとせっかく来てもらうお客さんも楽しめないですし、いい大会にして来年もできるようにしたいです。

古川:僕はこっちでもトレーニングをして準備しているので、本気でいこうと思っています。海莉のところだけは3倍くらいガチでいこうかなって(笑)。とりあえず試合展開は分からないですね。カナダはリンクが日本より小さいので、短期戦だったらこっちが有利ですけど長期戦だったら日本の選手のほうが強いんじゃないですかね。まあでも海外組に一票で。

井口:自分たちが勝ちます!

 

――最後に今回の試合への意気込みをお願いします。

佐藤:こんな機会はこれまでなくて、日本のアイスホッケー界のためっていう、それをモットーにこの大会が開かれたと思うので自分たちがいい試合をして盛り上げられればと思っています。初めてアイスホッケー見に来る人もいると思うので、そういう人たちにも興味を持ってもらえればいいなと思います。

古川:脅しじゃないですけど超本気でいきます。当日は僕のゴールたくさん見られると思うので。

村社:いいの?そんなこと言っちゃって。

古川:いやほんとにシーズン中と同じくらい準備して行こうと思っているから。

佐藤:ちなみに何ゴール何アシストを。

古川:そこはちょっとプレッシャーかけすぎなんで(笑)。でも楽しみにしてもらえたらなと思います。

井口:自分は観客がたくさんいるので1点は決めます。ゴールパフォーマンスをしたいので。

村社:自分はフォワードじゃないので、佐藤選手や井口選手みたいに点を決めるかって言われるとそうではないと思っています。でも佐藤選手や海外のうまい選手を止められるように頑張りたいです。日本のディフェンダーがどこまで海外のうまい人を止められるかっていうのをみんなに見せられたらなと思っています。

 

――ありがとうございました。

 

[聞き手・覺前日向子、倉田泰]


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