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春季オープン戦事前インタビュー(前編)/櫻井亮監督

アメリカンフットボール 2023.04.19

 チームをけん引してきた強力なエースが抜けた今シーズン。指導体制を一新し、新生〝ALL GRIFFINS〟で4月23日に開幕する春季オープン戦に挑む。

 

前編は櫻井亮監督(平23商卒)のインタビューです。(この取材は4月16日に行われたものです)

 

――監督就任の経緯を教えてください。

 「私は弊部OBとなりますが、岩崎恭之前監督の下、4年次は主務として、卒業後はコーチとして11年間、主に運営面等を間近で学び、対応しながら苦楽を共にしてきました。その中で、岩崎前監督の意向やOBの先輩方と調整していくうちに『悲願の学生日本一、甲子園ボウル優勝を達成できる組織をつくる』ことが必要であると考え、監督を拝命させていただきました」

 

――監督就任時の課題というのはどういったものがありましたか。

 「ありきたりですが、ここ数年間はコロナ禍での活動ということもあり、学生とコーチ間での意思疎通がうまくいかないことが主な課題でした。LINEが主な連絡手段となっていますが、手軽で便利な一方で、文字だけのためニュアンスが若干変わったり、ボタンの掛け違いがあったりということです。そのため、LINEだけでなく、電話やzoomで顔を見ながら、そして対面でのコミュニケーションを積極的に取る体制作りをしました。私自身も、現役時は野崎和夫元総監督と毎日5時間程度電話でグリフィンズの考え方や心構えを指導していただいていたのでコミュニケーションは必須であると考えています」

 

――今季の新しい取り組みというのはありますか。

 「今のところ、2点新しい取り組みを行っています。1点目はチームに関わる人間で共通した考え・方針を持つためにチーム理念を設定したこと、2点目は選手の個人能力向上のため、ポジションコーチを増員したことです。特に2点目については、就任時に周囲から外部コーチを招聘(しょうへい)すべきだという意見もありましたが、同期の高橋輝HCと話をし『今一度、Xリーグや社会で活躍していた若手OBに戻ってきてもらい、グリフィンズに還元してもらうのが良いのではないか』ということになり、実際に私たちの後輩8人がコーチとして戻ってきてくれました。引き続き、指導体制強化には力をいれていきたいと思います」

 

――コーチを増やしたことによる変化というのは実感できますか。

 「能力の向上に関しては個人差がありますが、まずは聞ける・学べる体制を整えられ始めていることがチームにとっては大きいです。コーチ間でも、定期的にミーティングを行い、ポジションごとでの課題共有や今後の対策などを話し合うことで常にベクトルを合わせて活動するよう努めています」

 

――先日のオービックシーガルズとの合同練習はいかがでしたか。

 「Xリーグの最上位のチームと同じ時間・空間を共にさせていただくことに意味があると思い、設定していただきました。もちろん第一線の選手たちのプレーや能力を吸収することは大切ですが、練習への取り組む姿勢や時間配分、最後までやり切ることなどは、能力うんぬんではなく、学生個々人が今すぐにでも八幡山で意識してできることだと思うのでそういった点から学ばせていただく貴重な機会となりました」

 

――監督と選手の年齢が近いですが、意識していることはありますか。

 「学生とコミュニケーションを密に取り、学生が考えていること、コーチ陣が考えていることに齟齬(そご)が生じないようチーム運営することを心掛けています。特に、主務の平松大河(情コミ4=日大藤沢)とは毎日頻繁に電話をしており、学生とコミュニケーションは取りやすい体制になっているかなと思います」

 

――今年度の注目の選手を教えてください。 

 「QBの3人になります。昨年度までは、吉田拓郎(令5法卒)がQBとしてオフェンスを率いました。そのため、柏崎倖太(商4=明大中野八王子)、水木亮輔(商2=千葉日大一)、新楽圭冬(商2=都立戸山)の伸びしろがチームの伸びしろだと思うので、切磋琢磨(せっさたくま)して頑張ってほしいなと思います。現状ではどんぐりの背比べなので、これから始まる春季オープン戦の終盤に設定させていただいた早大、立命大との試合を誰に任せられるか、3人で争ってほしいです」

 

――昨年度主力の4年生が抜けた穴というのは大きいですか。

 「要所の選手が抜けてしまったことは事実ですが、そこはコーチ陣も認識しているため危機感をもって指導してくれていたり、低学年からコンスタントに出場しているRBの廣長晃太郎(商3=箕面自由学園)や高橋周平(文2=足立学園)がチームを鼓舞してくれたりしています。また、WRの山口翔(国際4=箕面自由学園)は、昨年度試合に出場していた4年WRたちも彼に頼っていた部分は大きいですが、最終学年でさらに花を咲かせるため、現状に甘んじず、より高みを目指してくれると期待しています」

 

――入ってきた新入生の印象はいかがですか。

 「スポーツ推薦で入学してきた選手は、練習にも慣れて活動してくれています。まだ線が細い部分はありますが、秋季リーグ戦には出場してくる選手は多くいると思います」

 

――大澤舜主将(情コミ4=都立三田)はいかがですか。

 「今年度の4年生は非常に個性豊かで、多様な考えを持っている子たちが多くいます。そのため、一般入部で試合に出ている選手で視野を広く対応してほしいと考え、大澤に主将を依頼しました。ここ数年の大枝弘平(令5政経卒)や村田幹太(令4営卒)などとは、また違ったタイプの主将ですが、主務の平松、副将の今熊力丸(政経4=佼成学園)、山口と共に、日々試行錯誤しながら今年のチームの色を出してくれています」

 

――今年度の意気込みをお願いします。

 「今年度で創部89年目、来年度90周年を迎えます。諸先輩方が築き上げてきてくださった歴史があって今があることを改めて認識し、グラウンドでグリフィンズのフットボールを体現して一戦一戦大切に臨んでいきます。ご声援のほどよろしくお願い致します」

 

――ありがとうございました。

 

[澤尚希]


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