(35)シーズン後インタビュー 岡部季枝
掲げた目標の達成を目指して、今シーズンをひたむきに戦い抜いた。今年度の日本学生氷上競技選手権では20年ぶりにアベック優勝を果たし、チームとしても目覚ましい結果を残した。その中でも、近い将来を見据えながら歩み続ける選手もいれば、今シーズンでスケート競技から引退した選手もいる。それぞれが感じる思いを、選手の言葉を通じてお届けする。
(この取材は2月22日に行われたものです)
第5回は岡部季枝(法3=新渡戸文化)のインタビューです。
――今シーズンを振り返ってみていかがですか。
「今シーズンはシーズンが始まる前から腰の痛みに苦しんできたなと思います。その中でもできることを見つけて、東京選手権(以下、東京ブロック)ではレベルを落としてうまくまとめることができたかなと思います」
――腰の状態はいかがですか。
「今治療中でしばらく休んでいて、来週あたりから徐々に復帰していく予定です」
――ケガがありながらも1年間頑張ることができた理由はありますか。
「東日本選手権(以下、東日本)にしばらく出場することができていなかったのでそこまで進んだからには出場したいという思いが強かったからです」
――今シーズンはSP(ショートプログラム)のプログラムを変更して臨んだシーズンでしたが、その点に関してはいかがですか。
「このプログラムが気に入っていて、自分なりにうまく表現するように心がけていました。来シーズンは表現力をもっと付けて、いい演技ができるようにしていけたらなと思います」
――ルールの改正によってFS(フリースケーティング)の振り付けを変更しましたが、その点に関してはいかがですか。
「ステップをかなり変更したのですが、最初の頃はステップ自体に慣れていなくて、直前に変更したのでぎこちない部分もあったと思います。ですがだんだん滑っていくうちに自分のものになってきて、少しずつ表現を意識して滑れるようになってきたかなと思います」
――シーズンを通して一番成長を感じた部分はありますか。
「プログラムのレベルを少し落として出場した東京ブロックで、うまくまとめることができたのが自分の中で大きいです。あまり練習できていなかった中でも戦略を練ってなんとか自分の力を引き出せることが分かったのでそこは良かったなと思います」
――今シーズンの中で印象に残っている試合はありますか。
「東京ブロックです。直前はケガで思うように練習ができていなかったのですが、サルコウとトーループに技の難易度を落として試合に臨んで、なんとか東日本に進むことができたので良かったなと思います」
――最上級生として迎える来シーズンはどのような1年にしたいと考えていますか。
「まだ実感がなくて不安なところもあるのですが、ずっと先輩の背中を追ってきたので、自分なりに最高学年としての自覚を持って行動できたらいいなと思います」
――最上級生として来シーズンはどのようなチームをつくっていきたいですか。
「今までつくってきたものを守りつつ、自分は部長をサポートしていきたいです。その上でいい成績を残せたらなと思います」
――来シーズンの目標をお願いします。
「来シーズンはケガをしっかり治して、再発しないようにケアをしながら東日本までいきたいと思います」
――ファンの方へメッセージをお願いします。
「いつも応援ありがとうございます。今シーズンあまりいい成績を残すことができなかったのですが、来シーズン精一杯頑張りますので応援よろしくお願いします」
――ありがとうございました。
[冨川航平]
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