
(198)箱根駅伝事後インタビュー⑨/下條乃將
〝返り咲け明治〟。復活を誓うスローガンを胸に挑んだ箱根路。10区間中2区間で区間賞を獲得するなど紫紺の戦士たちが躍動するも、結果は総合12位。3度目の正直とはならなかった。今回はレース後の選手たちの声をお届けする。
9区を走った下條乃將(情コミ4=東京実)のインタビューです。
9区 下條乃將 区間17位 1時間10分52秒
――走り終えての今の気持ちをお願いします。
「2年続けて僕が悪い走りをして、今回に至っては本当に流れを切ってしまいました。前を走ってくれた選手がすごくいい走りで『行けるぞ!』という感じで襷を持ってきてくれましたが、力を発揮できませんでした。1年間、児玉(真輝・文3=鎌倉学園)といろいろ頑張ってやってきて、児玉の分までしっかり僕が走って今年度やってきたことが間違っていなかったと証明したかったです。それもできなくて、応援してくれた人もサポートしてくれたメンバーにも本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」
――腕に『児玉』と書かれていたのも思いの表れですか。
「やはり児玉本人はそんなに落ち込んでいるのは見せませんでしたが、本人も走りたくて悔しかったと思います。僕自身も児玉からパワーをもらおうと、ここに『児玉』と書いておけばそこに児玉がいる気がして、頑張りましたが、全然駄目でした」
――ご自身の走りを振り返ってみていかがですか。
「僕としては1週間前くらいから調子が上がってきて、自信を持ってスタートしました。走っている時も感覚としては良い時と大差なく走っていました。後半、平地に入ってからは、これくらいで走っているだろうという自分の感覚よりペースが落ちていたことに驚きもありました。今すぐに反省点をぱっと上げろと言われても、もちろん後半垂れたことは駄目でしたが、やることはちゃんとやって準備してきたので、今はなんで走れなかったのかという点がすごく大きくあります」
――1カ月前の取材ではあまり調子が良くないという話でしたが、直前に調子が上がってきましたか。
「僕自身あまり常に調子がいいタイプではなくて、波がはっきりと分かれているので、12月の最初は多少仕方ないと思っていました。昨年度は11月後半から少しずつ(調子が)落ちていった感覚がありました。今年度は逆に少しずつ上がってきている感覚だったので、調整で間違っていなかったというのはあります」
――往路の結果を見て、どのような心境で挑みましたか。
「往路が終わった時点ではシード圏外で、差が2分あるから一人30秒ずつ詰めれば漆畑にシード圏内で渡せるという思いでいました。『一人で稼ぐ必要はない』と富田(峻平・営4=八千代松陰)や小澤(大輝主将・政経4=韮山)にも前日に言われていました。あまり一人で背負わないで全員でやればいけると思っていました」
――往路が終わってから富田選手や小澤選手と話されたのですか。
「富田は帰ってきたタイミングでばったり会ってお疲れ様と話して『下條頼むぞ』という感じで言われていました。小澤も『下條がしっかり走ってくれよ』と言ってくれて、頼られているのでしっかりやらなければいけないなという気持ちは強かったです」
――給水は富田選手が行いました。
「僕自身2年前に富田の給水を9区でして、(その時は)富田が思ったよりも後半伸び切らなくて悔しい思いをしました。その時給水させてもらった恩返しも含めて、4年間富田がいて救われたことが何度もあったので、そういった面でもやはり給水を富田にしてもらいたいと思い、やってもらいました」
――今回で明大の選手として走るのは最後でした。
「本当に4年間いろいろあって、きついことばかりでしたが、特に最後の一年は走らせていただけること、競技を続けられることへの感謝をすごく実感しました。4年間最後まで頑張れたのは良かったのですが、結果として残せなかったのは、後輩たちに申し訳ないです。途中までが駄目でも最後に結果が良ければすべてよしではないですけど、そうなれれば、4年間充実して終われたと思います。そこができなくて本当に悔しいし申し訳ないなということしか出てこないです」
――今まで一緒に過ごしてきた4年生に向けてメッセージをお願いします。
「本当に僕は、いろいろと言葉の言い方が悪かったり、4年生の和を乱すではないですけど、はっきり言ってチームに迷惑を掛けたり、最後も4年生に迷惑ばかりを掛けて、本当に申し訳ないです。最初から最後まで迷惑しか掛けていなくてごめんなという思いしかないですね。僕のせいで学年の雰囲気が悪くなったことも何回もありました。そのたびに小澤や富田が気を遣ってくれて、本当に4年生にいろいろな部分で救われたので感謝してもし切れないです」
――最後にファンの方へもメッセージがあればお願いします。
「本当に4年間たくさん応援していただいて、いろいろなところで、きつい時もファンの皆さんの応援に救われた部分がありました。4年間応援していただいてありがとうございました。来年度は絶対にもう一度みんながシード権を獲得してくれると思います。僕自身、まだ競技を続けさせていただけるので、社会人になってから結果で後輩たちに流れをつくって、もう一度頑張っていきたいです」
――ありがとうございました。
[出口千乃]
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