(165)【特別企画】学校法人石川高・松田和宏監督、小指卓也選手インタビュー

2022.12.19

 主力として4年間チームを引っ張ってきた櫛田佳希(政経4=学校法人石川)。今回は、高校時代に櫛田を指導した学校法人石川高の松田和宏監督、高校時代の同期で現在は早大競走部所属の小指卓也選手にお話を伺った。(この取材は12月8日に電話、文面で行われたものです)

 

松田監督

――高校に入学してからの印象はいかがですか。

 「うちは陸上部員だけで当時80人近くいて、櫛田が入ってきた当時はそれほど目立つ方ではなかったです。いきなりがつんと伸びたわけではなく、夏合宿を過ぎて秋ぐらいから頭角を現すようになってきました。彼のいいところは『絶対にここで強くなるんだ』という気持ちを全面に出して走っていたので、ぜひこの子を使いたいという気持ちにはなりました。彼の場合、身体的な能力よりもメンタル面や気持ちの強さが際立つ選手だと思います。能力がある選手はもっといたのですが、気持ちの強さが非常に目立っていたと思います」

 

――競技面ではどのような特徴を持った選手でしょうか。

 「彼はオールラウンダーで長い距離もいけますし、スピード系の練習も非常に強かったので、いろいろなレースにも対応できました。高校3年間は安定的な成績を残してくれました」

 

――同じく学校法人石川高出身の阿部弘輝選手(令2政経卒・現住友電工)のお話は櫛田選手から伺っていますか。

 「目標としていた選手だったので、そういうこともあり明治大学を選びました。大学1年次に同部屋で、そこでいろいろなことを吸収した報告は受けています。阿部は人間的にもすごくいいやつなので、後輩の面倒見も良いです。櫛田はいろいろなことを教わったと思います」

 

――今でも櫛田選手とは連絡を取っていますか。

 「必ず大きな駅伝の前は電話をくれます。前回の箱根駅伝(以下、箱根)の時もくれましたし、この間の全日本大学駅伝の時も連絡をもらいました。向こうからこの区間を走ることを報告して、頑張ってこいという感じの軽い会話ですね。そういった律儀な一面もあります」

 

――高校3年次に全国高校駅伝で1区を走った理由はありますか。

 「高校駅伝の1区は非常にプレッシャーのかかる区間で、1区で出遅れたら致命的です。それも生徒らは分かっていて、いかに1区が重要かも分かっているのでみんないきたがらないです。その中でも櫛田は自分からいきますと立候補でいったので、気持ちはすごく強いと思います。プラス思考でプラスのことしか考えていないです」

 

――学校法人石川高の強みは何でしょうか。

 「2つ特徴があって、1つは学法石川といえばスピードのイメージが全国的にあり、スピードに特化した練習を主に行っています。櫛田からも分かるようにスピードをメインにやっていて、その中で切磋琢磨(せっさたくま)してやっていく形です。2つ目は私の指導の特徴として、ケガをさせないような練習を心掛けています。なるべくケガをさせない観点から練習もめりはりをつけています。あとは休養や食事面も教えながら練習を継続させていく指導をしています。その2つが特徴的だと思います」

 

――松田監督が生徒を指導するにあたって大事にしていることはありますか。

 「よく櫛田にも言っていたのですが、己に克つと書いて克己心という言葉があります。長距離は自分に勝つレースをしないと相手にも勝てないです。苦しくなった時とか弱気になった時に自分に負けないようにする。そういったところを普段の練習から強化するようにはしていました。強い気持ちで臨むことによって、結果が良くなってくるので『自分が一番強いんだ』という気持ちでレースに臨みなさいと言っていました」

 

――最後に櫛田選手にエールをお願いします。

 「今の言葉でもありますが、克己心で走ってほしい思いはあります。いろいろな強い選手がいると思いますが、結局は自分自身に勝てないと周りにも勝てないです。自分自身に負けないで、最後の箱根を頑張ってほしいと思います」

 

――ありがとうございました。

 

小指

――高校時代の櫛田選手はどのような印象を受けましたか。

 「フォームが独特なので最初はこんな走りで大丈夫なのかと思っていました。1年生の頃から練習がものすごい強く、学年が上がるにつれて本番でも安定したパフォーマンスを発揮することのできる頼もしい存在となっていました」

 

――櫛田選手の強みを教えていただきたいです。

 「一目見れば分かる筋肉量の多さを生かした力強い走りが彼の強みだと思います」

 

――櫛田選手とは現在でも交流はありますか。

 「櫛田とは早大競技会や合宿、対校戦などで会って話す機会が多いです。ほとんど陸上の話をしていると思います」

 

――櫛田選手へのエール、小指選手の箱根への意気込みをそれぞれお願いいたします。

 「他にも学石同期や後輩たちも出走すると思われるので、負けないような走りができるようにお互い頑張ろう!大学ラストレースも櫛田らしい走りを期待しています!僕も君より存在感を出せるように頑張ります!」

 

――ありがとうございました。

 

[桑原涼也]

松田 和宏(まつだ・かずひろ)中大出身。2009年より学校法人石川高の陸上競技部監督を務める。2018年には同校を全国高校駅伝3位入賞へ導いた。教え子に櫛田、小指のほか、相澤晃(旭化成)、遠藤日向(住友電工)ら数多くの選手がいる

 

小指 卓也(こざす・たくや)早大スポーツ科学部4年、学校法人石川高、173センチ、58キロ。高3次の全国高校駅伝では櫛田からの襷リレーを受け2区を走り、区間賞を獲得した。


第99回箱根駅伝まであと14日。

 

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