明スポ独占 フランス杯事後インタビュー 住吉りをん
住吉りをん(商1=駒場学園)は今月4日から3日間にわたって行われたグランプリシリーズ(以下、GP)第3戦フランス杯に出場した。初日のSP(ショートプログラム)では5位発進となったが、FS(フリースケーティング)で巻き返し見事総合3位で表彰台にのぼった。GP初出場にして銅メダルを獲得し、世界の注目を浴びた。
帰国後、明スポ独占でインタビューを行った様子をお届けします。
(この取材は11月9日に行われたものです)
――フランスで何かおいしいものは食べましたか。
「パンがどれを食べてもおいしくて、フランスパンとマドレーヌが特においしかったです」
――きれいな景色などは見ることができましたか。
「セーヌ川をバスで通りました。エッフェル塔はバスから見えそうな方角ではあったのですが結局見ることができませんでした。あと会場がアンジェという街で、アンジェ城というのがあったのでそこに行きました」
――フランスで一番思い出に残っていることはありますか。
「一緒に行った2人が1個下で年が近くてずっと3人で楽しめたのが良かったです」
――お二人とはずっと一緒にいましたか。
「河辺さん(河辺愛菜選手・中京大中京高)とはグループが同じだったのでほとんど一緒にいました」
――海外の選手との交流はありましたか。
「優勝したルナ・ヘンドリックス選手と初めて話せました。本当に緊張してしまってまともな会話はしていないのですが、インスタグラムとかもつながれたので良かったです。自分と同い年で初出場だった(マイア・)マザラ選手とも少し話しました」
――海外の選手と話すときは通訳の方を介して話しているのですか。
「英語で話します」
――G P初出場で初の表彰台、率直な感想をお願いします。
「表彰台を狙っていたわけではないので、結果的には非常にうれしいですし少し驚いている部分もあるのですが、自分の演技内容で言ったら満足できるものではないので、うれしい部分と悔しい部分が半分ずつという感じです」
――今大会の目標を教えてください。
「メンタルの部分が合わせられないだろうなという予想があったので、自分に過度な期待はしていなかったのですが、こうやってあまり緊張し過ぎずに自分の演技ができたという部分では満足しています。4回転を降りようという目標はあったのでそこは達成できなかったという感じです」
――調子はいかがでしたか。
「調子はかなり良かったです。気持ちの面で東京選手権から試合になると不安になるというのがずっとありましたが、今回試合を楽しめたのでもしかしたら課題になっていたのが良くなったのかなと思いました」
――演技中に笑顔も見られましたが、気持ちに余裕ができてきたということですか。
「海外の試合の雰囲気というか、観客の皆さんの雰囲気が非常に温かくて、それに後押ししてもらって楽しくなったというのもありますし、自分でも意識的に笑顔は作っていました」
――選手紹介から雰囲気が違かったと思いますが、いかがでしたか。
「あの雰囲気がとても好きでして(笑)。全日本選手権とかではここまで光がないのでかっこよかったです」
――会場のリンクは滑りやすかったですか。
「かなり滑る氷で、自分で制御をかけないと持っていかれてしまう感じで、アクセルとフリップまではうまくかかっていたのですが、少し集中が切れたのかその後のルッツで失敗してしまいました」
――スピンやステップはいかがでしたか。
「1個ミスをしてしまいレベル3でしたが、その他は全部レベル4を取れたので良かったです」
――S Pの演技を振り返っていかがですか。
「氷に足を滑らせる速度が滑りやすい氷だと違くて練習では気をつけて跳んでいたのですが、(本番で)少し気の緩みが出てしまったと思います。今まではジャンプを失敗すると全て引っ張ってしまっていたのですが、今回ステップはそのミスを引きずらずにできました。ただルッツだけが悔しくてもう1回やりたいくらいです。そこ以外が良かっただけにルッツが本当に悔しいです」
――普段と違う調整などはしましたか。
「現地に行ってからの練習を少し抑え気味にしたことは今までとは違いました。やりすぎて疲れないようにすることを意識していて、観光も疲れすぎないようにみたいな感じでしたね」
――F Sの演技を振り返っていかがですか。
「後半に疲れがあったのと、直前に足の甲のケガをしてしまいフリップの練習がほとんどできていなかったので不安にはなってしまいました。ただ後半のジャンプがギリギリできたという点では4位と僅差だったというのもあって良かったなと思います。2位とも僅差だったので悔しさもありますが表彰台に乗れるのとそうでないのとでは全く違うと思うので良かったです」
――4回転トーループについてはいかがですか。
「空中ではいけたと思いました。降りたって思ったのがいけなかったのかな(笑)。少しアドレナリンが出過ぎたというか、いつもより速くて高くてという感じで回りすぎました。ですがすぐに落ち着いてループにいけたのは良かったです。トーループができないと他のジャンプができなかった場合、点数がとんでいってしまうので結構緊張しました。ただトーループでどんな方向に転んだとしても曲かけの練習の際は続けなくてはならないので、すぐに切り替えてループは必ず跳ぶという練習はたくさん積み重ねてきています。逆にトーループが飛べた時に、今まで何度も試合でトーループ転んでというのをやってきているので、ループからやって大丈夫かなという気持ちになってしまうかもしれません」
――F Sの演技は自己ベストでしたがその要因はありますか。
「4回転を(プログラムに)入れるようになってから、4回転を含めてそれ以外もまとめるというのがなかなかできていなかったので、今回ほとんどまとめることができたということと、海外の試合の方が点数が出やすいということもあると思います」
――メダルの感触はいかがでしたか。
「上が銅で下半分が透明みたいな感じですごくおしゃれでうれしいです」
――大会全体を振り返って良かった点と悔しかった点をお願いします。
「メンタル的な部分で成長を感じることができたのが良かったなと思います。試合を楽しむということを目標にして、実際に楽しんで滑ることができたし、変に気持ちに左右されて失敗するということもなかったです。悪かった点はS Pで集中が続かなかった点、F Sの4回転に関しては調整不足で、次は降りることができるのではないかという感触があるのでそこは今回悪かったというよりも次につながるなという感じです」
――ジュニアの国際大会との違いはありましたか。
「会場の規模が違いますし選手紹介の演出みたいなものもないのでやっぱりすごかったです。ジュニアの時も1度3位で表彰式に出ることができてうれしかったのですが、その規模もまた違ってシニアってこんなに違うのかと思いました」
――N H K杯に向けて調整していきたい部分はありますか。
「時間もないので、どこかを良くするというのは難しいと思いますが、今大会は、4回転はアドレナリンが出過ぎてしまったのと、ルッツはその前が良すぎて気持ちが入りすぎてしまったのもあります。今まではびくびくしすぎてしまうという感じだったのですが、楽しくて舞い上がってしまったので、もちろん楽しんでやらなくてはいけないけど、自分のことに集中して調整して本番でそれができるように、1週間落ち着いて練習しようと思います」
――N H K杯に向けての意気込みをお願いします。
「順位に関してはメンバーが豪華すぎるので狙ってはいきません。むしろ狙ってはいけないと思っています。順位とかの目標はなしにして、S Pでミスのない演技をすること、F Sで4回転を決めることの二本柱で挑みたいです」
――自信としてはどのくらいですか。
「できないことをやろうとしているのではなく、当たり前にできることをやるだけなので100と言っておきたいです」
――ありがとうございました。
[冨川航平]
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