

堀颯介 仲間と共にさらなる高みへ
紫紺の未来を明るく照らす期待のルーキー・堀颯介(商1=仙台育英)。全国高校駅伝(以下、都大路)優勝回数8回を誇る名門・仙台育英の主将を務め、チームをけん引。その活躍には、大きな目標であるライバルの存在が大きかった。大学でも誰にも負けない努力で、明大競走部を勢いづける。
競技人生の始まり
「練習に付いていけなかった」。陸上を始めたのは高校から。中学までサッカー部に所属していたが学校代表として駅伝を走った際、その才能を仙台育英高の監督から見いだされ高校では陸上部を選んだ。しかし「他の人より距離を減らして練習していた」と入部していきなり、周囲と大きな壁を痛感する。その年に仙台育英は都大路で優勝。とりわけ、優勝メンバーに1年生で唯一入っていた吉居駿恭(中大)の存在は、陸上を始めたばかりの堀に大きな衝撃を与えた。全国の舞台で活躍する吉居の姿に「自分も来年は都大路に出たい」と練習の質を意識し、人一倍走る量を増やした。その地道な努力が実を結び2年次には調子を上げ、都大路に出場。6区で見事区間賞を獲得した。
転機となるレース
ひたむきな努力が評価され、高校3年次には主将に選ばれる。「走りは(吉居)駿恭が引っ張ってくれた。自分にはできないことだから感謝している」。競技の面は吉居が率い、主将として日常生活で常に見本でいようと心がけた。しかし、吉居に頼ってしまったことで「自分の走りに自信が持てなかった」と調整に苦しみ、余裕のない日々が続く。だがその中で出場した5000メートルの記録会。「駿恭に勝てるかもしれない」と最後まで激しく競り合う。結果としては負けてしまったが目標だった13分台に到達。なにより、吉居と張り合えたことは大きな自信につながった。
新たな仲間と共に
明大進学後に出場したU20日本選手権。本調子で臨めず、レースで再会した吉居に離され、後悔の残る結果に。それでも「タイムで駿恭に負けているけれど大学4年間をかけて追い付きたい」とさらなる成長を誓う。
「誰にも負けたくない」。明大に進学し、森下(翔太・政経1=世羅)を筆頭に切磋琢磨(せっさたくま)できる仲間と出会った。仲間と夢である三大駅伝出走に向かって、堀は後ろを振り返らずまっすぐ、颯爽と駆け抜けていく。
[原田青空]
◆堀 颯介(ほり・そうすけ)商1、仙台育英。靴ひもは、必ず左から結ぶというジンクスがある。172センチ・52キロ
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