
(7)シーズン直前インタビュー 佐藤駿
シーズン開幕目前。明大にはシニアデビューの選手がいるが、今季限りで引退という選手もいる。新たなシーズンの始まりを前に何を思うのか。一人一人の声をお届けする。
(このインタビューは9月15日に行われたものです)
第2回は佐藤駿(政経1=埼玉栄)のインタビューです。
――もうすぐ学校が始まりますね。どのような気持ちですか。
「学校に行きたい気持ちはあります。でも秋はシーズンが始まるので、春よりは行けなくなりますね。学校は、授業は大変ですが友達に会うのが楽しいです」
――夏休みは楽しみましたか。
「ずっと合宿続きだったので、楽しいことはなかったかもしれないです。でも今度大学の友人とボウリングに行く約束をしました。夏休み唯一の楽しみですね」
――昨シーズンを振り返っていかがですか。
「シーズン序盤は自分の中でも良いスタートを切れたと思いますが、シーズン後半は、全日本選手権(以下、全日本)でのケガなどもあってどの試合にも出ることができませんでした。とても悔しい思いをしたので、今シーズンは出られる全ての試合に出て、シーズンを通してケガすることなく終えることができたらいいかなと思います」
――初戦を2週間後に控えた今の心境を教えてください。
「正直すごく不安な気持ちはあるのですが、ここまでたくさん合宿などをやってきたので、試合に向けて自分のできることをするだけかなと思っています」
――今シーズンのプログラムを教えてください。
「SP(ショートプログラム)は『キャロル・オブ・ザ・ベル』で、FS(フリースケーティング)は『レッド・バイオリン』です」
――曲を選んだ理由を教えてください。
「SPの曲はユーチューブで探して決めました。FSは、昨シーズンにクラシック曲を使用して、またクラシック曲がいいなと思ったのでこの曲を選びました。クラシックの中でも他の選手が使っていない曲を探しました。また、僕は王道の曲で滑ることが多いので、今シーズンは変えてみたいと思って王道ではない曲にしてみました。(ご自身で選ばれたのですか)そうですね。SPは自分で探しましたが、FSは『この曲いいんじゃない?』と先生が持ってきてくれました」
――プログラムの完成度は何%くらいですか。
「SPはかなり良くなっていて85%ぐらいですが、FSはまだ65%ぐらいです。今週と来週に振り付けというか手直しが入るので、試合までに調整できればと思います」
――プログラムの見せどころはどこですか。
「SPはステップを見てほしいと思っています。FSは後半のジャンプが連続して続くところを見てほしいです。跳んで跳んで、という感じで休憩なしでテンポ速くジャンプを跳びます」
――衣装はどのような感じですか。
「SPは黒地に青色のたすきを掛けたような感じです。好きな色が黒色と青色なので、衣装を作ってくれる方にお願いしてその2色で作ってもらいました。FSはプログラムが『レッド・バイオリン』なので、赤色が良いかなと思い赤っぽい衣装になっています」
――現在の4回転ジャンプの調子はいかがですか。
「ルッツの調子が最近上がってきて、全体的に4回転ジャンプの確率が上がってきています。シーズン初戦の東京選手権に向けてここからもっと調子を上げていきたいです」
――2月に肩の手術をしてから4回転ジャンプの調子を戻せたのは7月と聞きました。ジャンプを戻す際に苦労はありましたか。
「戻すまでにかなり時間がかかったので大変でした。すぐまた跳べるようになるかなと思っていたのですが、3カ月ぐらい跳んでいなかったので戻すのに1カ月以上かかりましたね。(今は手術する前と同じくらい跳べていますか)そうですね。でも手術前に比べたら成功確率は良くないと思います。それでも少しずつ手術前の調子に戻ってきていると思うので、この調子でいければと思います」
――今シーズン特に力を入れたい大会はありますか。
「全日本で表彰台に乗りたいというのはあります。それに加えて、今年から日本学生氷上競技選手権(以下、インカレ)に出ることができるので、そこで明大の優勝に貢献できたらいいなと思っています」
――シーズン初戦にはどのように調子を作っていきますか。
「シーズン初戦は(調子が)良くないことが多いのですが、そこでいい結果が残せればその後の試合は徐々にもっと良いものになると思います。シーズン初戦の試合が一番大事だと思うので、最初の試合できちんと自分の満足のいく演技をしたいなと思います」
――同じ舞台で演技したい選手はいますか。
「以前までは羽生結弦さんの演技を間近で見てみたいと思っていたのですが引退してしまったので、今は同期の鍵山優真(中京大)選手や海外のトップ選手などの演技は見てみたいと思いますね。(グランプリシリーズ(以下、GP)のフィンランド大会でイリア・マリニン選手と同じ試合に出るので注目されそうですね)そうですね。マリニン選手は4回転アクセルをこの前の試合で成功させていたのですごいと思いますが、そのような選手に勝っていかないといけないので、僕も頑張ろうと思います」
――現在4回転ジャンプの種類や本数が重要になっている中、勝つために重要だと考えていることはありますか。
「トップ選手は皆4回転を跳んでいて、今は跳んで当たり前の時代だと思います。その中で、いかにジャンプの質を良くするか、またいかに加点をもらえるかが大事だと考えています。同じ4回転でも他の選手よりもいい4回転が跳べるようにこれから練習していくつもりです。(4回転を4本もプログラムに入れて質も維持するのは大変ではないですか)はい、とても大変です。曲かけ練習でも全く安定していないですし、まだ4本は難しいなと思いますね」
――4回転ジャンプを4本成功する時とそうでない時はどんな違いがありますか。
「僕の場合は気持ち、メンタルの問題かなと思います。4回転1本や2本なら降りられると思いますが、そこから3本4本となると体力や気力、気持ちの面が大きいと思います」
――佐藤選手憧れの羽生結弦さんが8月にユーチューブチャンネルを開設しましたね。『Share Practice』はご覧になりましたか。
「見ました。フィギュアスケート選手にとって、とてもためになります。あれを無料で見られるのは本当にすごいです。なかなか見られないですから。(どんな観点でご覧になりましたか)どういうアップをしているのか、2時間の練習の使い方をどうしているかなどですね。羽生さんの練習を見られる機会がないのですごかったです」
――ファンの方に向けてメッセージをお願いします。
「今シーズンは全日本で表彰台に上がれるように頑張っていきたいと思います。昨シーズンはケガで思うようなシーズンが送れなかったので、今シーズンこそはケガなくシーズンを送れるようにしたいと思っています。応援よろしくお願いします」
――最後に今シーズンの目標を教えてください。
「GP2戦とも表彰台に乗ってグランプリファイナルに行くことと、全日本で表彰台に乗ること、そしてインカレで優勝することです」
――ありがとうございました。
[布袋和音]
(写真は本人提供)
関連記事 RELATED ENTRIES
-
(43)シーズン後インタビュー 佐藤駿
フィギュアスケート 2023.04.03掲げた目標の達成を目指して、今シーズンをひたむきに戦い抜いた。今年度の日本学生氷上競技選手権では20年ぶりにアベック優勝を果たし、チームとしても目覚ましい結果を残した。その中でも、近い将来を見据えながら歩み続ける選手もいれば、今シーズンでスケート競技から引退した選手もいる。それぞれが感じる思いを、選手の言葉を通じてお届けする。 (この取材は3月28日に行われたものです) 第13回は佐藤駿(政経2=埼玉栄)のインタビューです。 ――WBCイタリア戦を観戦したことが一躍話題になりましたがいかがでしたか。 「すごくいい試合でした。先発が大谷翔平選手(エンゼルス)でリリーフがダルビッシュ有選手(パドレス)で神試合でした」 ――プロ野球で応援しているチームや好きな選手はいますか。 「特にはないですが、地元なので東北楽天ゴールデンイーグルスを応援しています。浅村栄斗選手(楽天)が好きですね。でも野球のゲーム(プロスピ)の自分のチームは、ソフトバンクにしています。(理由は何ですか)強いのもそうですし、好きな選手が多いからというのがあります」 ――世界選手権を現地でご覧になった感想をお願いします。 「すごく刺激を受けました。特に男子のFS(フリースケーティング)は神試合で、最終グループとかもうほとんどノーミスみたいな感じで逆にメンタルをえぐられたという感じでした。『みんなすごいな』と。来年度はこの大舞台に立てるようにしたいと思いました」 ――特に印象に残った選手はいますか。 「SP(ショートプログラム)はキーガン・メッシング選手(カナダ)がすごく印象に残っています。FSはかなりみんな印象に残っていますが、ジェイソン・ブラウン選手(米国)とケヴィン・エイモズ選手(フランス)ですかね。個人的にはエイモズ選手がすごく良かったのがうれしかったです」 ――どのような点で印象的でしたか。 「全員そうなのですが、滑りに引き込まれるというか、ジャンプだけではなく見ていてすごいと思える演技でしたし、心に残る演技だったなと思います」 ――今シーズン全体を振り返っていかがですか。 「今シーズンを振り返って、シーズンの最初の方は何もできていなかったのですが、ここまでいい内容のシーズンになると思っていなかったので、個人的には満足している部分はあります。でもまだ改善できる部分が多いと思うので、来シーズンに向けて頑張っていこうかなと思っています」 ――具体的にはどのような点を改善したいですか。 「昨年度はスピンなどのレベルの取りこぼしが多かった印象があるので、今シーズンはそこを改善できたらいいかなと思うのと、演技構成点をもう少し伸ばしていければいいのかなと思っています」 ――今シーズン成長したと思う点はありますか。 「メンタル面で強くなったかなと思いますね。いつもならFSの後半はミスが多くなる傾向にあるのですが、今シーズンは逆にミスをしても引きずらないで演技を終えることができる試合が多かったので、そういった部分で成長できているのかなと思います」 ――全日本選手権(以下、全日本)を振り返っていかがですか。 「悔しい部分もありましたが、今シーズンここまでやれると思っていなかったし、今までの全日本の中でも一番いい順位になることができたので、そういった面では来シーズンに向けてプラスになる演技だったかなと思っています」 ――四大陸選手権を振り返っていかがですか。 「コロラドスプリングスで行われた試合なのですが、標高が高いリンクなので体力面がすごくきついよと前から言われていたので覚悟はしていたのですが、FSの後に体力面がすごくきつかった試合だったなと思いました。途中までは全く問題なかったのですが、最後のステップのあたりになると特にきつかったですね(標高が高いとジャンプが跳び上がりやすいと言いますがいかがでしたか)そう聞いてはいたのですが、実感はあまりなかったです」 ――鬼門としていたSP、チャレンジカップでついにノーミスを達成しましたがその時の心境はいかがでしたか。 「その時はアクシデントなど多かったのでそれどころではなかったです(笑)。シーズン最後の試合でようやくノーミスの演技をすることができたのはすごく良かったかなと思います」 ――今シーズン一番印象に残っている試合はどの試合ですか。 「四大陸選手権ですかね。標高が高くてきつかった中でFSをノーミスできたのは大きかったですし表彰台に乗れたので、昨年度の悔しさを晴らすことができたかなと思っています」 ――チャレンジカップ終了後から現在までどのように過ごしてきましたか。 「一応世界選手権の補欠なので、それまではある程度練習していたのですが、世界選手権のSPが終わってからはオフにして、遊んだりしていました。みんなで遊びに行ったり、ちょうどWBCで盛り上がっていたので、埼玉の男子が多いのもあってみんなで野球しようと言って野球したりしました」 ――ここから本格的にオフシーズンに入っていきますが、やりたいことはありますか。 「特にこれといったことはないですが、振り付けを今やっているので、それをしっかりと覚えて、新しいジャンプに取り掛かれたらいいなと思います。(それは4回転フリップですか)そうですね。フリップや、サルコウも練習して頑張ってみようかなと思っています」 ――明大に入って1年が経ちますが、大学での1年間を振り返っていかがですか。 「春学期はしっかりと授業にも出られて友達も作ることができて、いろいろ助けてもらいながら単位を取ることができましたね。秋学期はなかなか学校に行ける機会はなかったのですが、ある程度単位も取ることができて、今シーズンは大学生活と両立できました」 ――来シーズンのプログラムはどのようなジャンルを考えていますか。 「SPはもうできてはいるのですが、タンゴのような曲がいいかなと思っています。FSはまだ考え中です」 ――来シーズンに向けての抱負をお願いします。 「来シーズンは自分にとってもかなり大事なシーズンになってくると思うので、順位に関して言えば今シーズンよりもいい順位を取って、昨年度できなかった全日本での表彰台を目標として、4回転の種類をもう少し増やしていけたらいいかなと思います」 ――今シーズンお世話になった方、ファンの方へのメッセージをお願いします。 「ケガもありながらここまで来られたのはファンの皆さんや先生方のおかげかなと思っています。これからもケガなく行きたいなと思っているので応援よろしくお願いします」 ――ありがとうございました。 [布袋和音] (写真は本人提供)READ MORE -
(42)シーズン後インタビュー 堀見華那
フィギュアスケート 2023.03.22掲げた目標の達成を目指して、今シーズンをひたむきに戦い抜いた。今年度の日本学生氷上競技選手権では20年ぶりにアベック優勝を果たし、チームとしても目覚ましい結果を残した。その中でも、近い将来を見据えながら歩み続ける選手もいれば、今シーズンでスケート競技から引退した選手もいる。それぞれが感じる思いを、選手の言葉を通じてお届けする。 (この取材は3月15日に行われたものです) 第12回は堀見華那(商2=愛知みずほ大瑞穂)のインタビューです。 ――今シーズンを振り返っていかがですか。 「今シーズンはシーズン序盤から足が痛いこともあり、なかなか調子を合わせることができず、ブロック(東京選手権)が始まる時に全然調子が上がってない状態でシーズンに入ってしまいました。なかなかうまくいかなかったのですが、足が少しずつ治ってきて動けるようになると東日本選手権(以下、東日本)では、少しだけですがブロックよりはいい演技ができました。自分の体の状態がうまくいかないことが多いシーズンだったなと思います」 ――体の状態が悪かった理由はございますか。 「我慢強いというか、少し痛くてもジャンプが跳べたら練習をしてしまっていて、完全に治っていない5月の時点で練習をしていました。その時に休んでもう少しいろいろな治療法をやっていればよかったかなとか思います。休まずにそのままきてしまったのが良くなかったと思います」 ――今の状態はいかがですか。 「シーズンの後半ぐらいからは痛いところもなくやれていて、今も全然痛いところはありません。今シーズンは今まで跳んでいた自分のジャンプの感覚がなくなってしまい、どうやってジャンプを跳んだらいいのか分からなくなってしまっていた時もあったのですが、毎日練習はやめないでやっていて、最近はけっこう良くなってきています。今シーズンの反省を生かして来シーズンに向けてやっているところです」 ――今はどんな練習をしていますか。 「今は前と同じように5種類の3回転ジャンプを跳べるように練習しています。今は3種類くらいが限度なので5種類に戻せるようにジャンプを重点的に練習しています」 ――今シーズンで一番良かった試合はありますか。 「ないですね」 ――こういうシーズンは今までにありましたか。 「うまくいかないことばかりで、すごくできたという試合が今シーズンは特にないです。練習ではできているのに試合ではできないとかではなく、練習でもできていない状態で試合に挑んでいました。これまで練習ではできるけど、試合で緊張してしまってということはあったのですが、練習でもできてないので逆に割り切ってやることを覚えました。東日本のSP(ショートプログラム)で1本目のループが跳べたのですが、試合の4日前ぐらいに少しループが飛べるようになって曲でもあまり入っていなかっのですが、もうここでやるしかないという気持ちでやったら跳べたので、それは良かったところです」 ――今シーズン成長した点を教えてください。 「スケーティングやステップを毎朝やっているのですが、滑りがつなげられるようになったというか、一個一個の動きが途切れずにつながってできるようになりました。あとスケーティングが滑るようになり、スケーティングの面ではけっこう成長したかなと自分で滑っていて思います。(ジャンプができない分スケーティングやったのでしょうか)そうですね、スケーティングにジャンプがついてくると、これまで跳べていた時よりももっといい風になるのではないかと今は前向きな気持ちでやっています」 ――来シーズンへの課題はございますか。 「一番は体が痛くならないようにすることと、ジャンプの確率を上げて自信を持って試合に挑めるようにすることです」 ――来シーズンのプログラムは決まっていますでしょうか。 「SPはそのままでFS(フリースケーティング)は変えます。曲は決まっていますが、振り付けはまだです」 ――SPを変えない理由はございますか。 「今の曲を表現するのが難しくて、動きの緩急が最初は全然うまくいかなくて、先生にもっと真面目に踊るというよりは、少し抜け感がほしいと言われてそこが難しかったです。シーズン後半になって滑り込んでくると、少しうまくなってきたので今シーズンあまり表現できなかった部分を来シーズンもう1回やっていいものにしたいなと思いそのままにしました」 ――FSを変える理由はございますか。 「もう2年やっていて、気が付いたら大学があと2年になっていて、曲を使うのもあと何個なんだろうという風に思って新しいのにしようかなと思いました」 ――明治×法政 ON ICE 2023(以下、明法オンアイス)の運営で大変だったことはありますか。 「まず明法オンアイスを運営したことがなかったし、昨シーズンは右も左も分からないまま出るだけで終わってしまいました。今回はそれを動かす、運営に回るということでどこから手をつけていいのか分かりませんでした。でも法政や明治の先輩が助けてくれて、一応やることができました。一番大変だったこととしてお客さんが入るということがけっこう大きかったです。昨シーズンはお客さんを入れなかったのですが、今シーズンは定員500名というお客さんを入れることになりました。先着順で受け付けて、その500名にメールを送って名簿を作ってスムーズに入場ができるように考えたり、みんなが忙しい中でも1カ月に1、2回とか集まる時間を設けて話し合ったりというのが大変でした。ですが、今思ったらいい経験になったと思うし、なかなかできないことだと思うので、これからにつながるいい経験だったと思います」 ――運営してみていかがでしたか。 「楽しかったです。どうやったらお客さんに楽しんでもらえるか、最後の舞台という人が多い4年生の最後にふさわしい会にどうやったらできるか、ということをすごくたくさん考えて、法政の人ともたくさん話し合ってというのは大変ではあったのですが、とても充実していて楽しかったです」 ――グループナンバーはどこから案がきましたか。 「『やりたいね』という話はしていたのですが、なかなかみんなで集まる時間も取りづらいし、グループナンバーのために集まってくれるかなと思っていました。来てもらう人に『どういうことをやってほしいですか、見たい企画はありますか』というようなアンケートを取りました。すると、グループナンバーや普段では見ることのできないペアの演技、コラボが見たいという声が多かったです。やっぱりそういうのを見たい人がいっぱいいるんだと思い、曲は光翔くん(大島光翔・政経2=立教新座)に相談して、どうしたらいいと思うというのをいろいろな人に相談しました。運営側がやろうという気持ちになってみんなを引っ張ってグループナンバーやりたいって気持ちにさせたら絶対やってくれると思っていました。お客さんに見てもらいたいし、みんな振り付けを覚えるのが早いし『1、2回の練習があればできると思います』と言いました。1回目の練習は夜遅い時間だったのですが、ほぼ全員が参加してくれてみんなで作り上げることができました。明法オンアイスでないと絶対にやらないことだから、個人競技としてはすごくいい時間でした」 ――大学生活を振り返っていかがですか。 「学校生活はすごく充実していました。あっという間に2年生が終わってしまいました。学校に行って友達と普通に授業を受けて、授業を午前と午後で分けていたのでご飯食べることはあまりなかったのですが、授業で会う友達としゃべったり、一緒に帰り道帰ったりすることが1年生の頃よりはたくさんありました。でも学校に行くと疲れてしまうので、学校とスケートをしっかりと両立させるのは難しいなと思いました」 ――一番の思い出を教えてください。 「ゼミ合宿が楽しかったです。ゼミは一般生の子ばかりで、でも英語が堪能な人とかいろいろな人がいて個性あふれるゼミです。その人たちと話すのも楽しいし、ゼミでたくさんプレゼンをするのですが、みんなでプレゼンを作り上げていったり、花火をやったりしたことがすごく楽しかったです」 ――来シーズンの目標を教えてください。 「やはり全日本選手権(以下、全日本)に行きたいという気持ちがあって、行けないと思ってもないので、調子を上げて全日本に行くっていうのが目標です。あと2年しかないので、本当に心を鬼にして自分を追い込んで練習して全日本に行きたいです」 ――ありがとうございました。 [堀純菜] (写真は本人提供)READ MORE -
(41)シーズン後インタビュー 佐藤伊吹
フィギュアスケート 2023.03.22掲げた目標の達成を目指して、今シーズンをひたむきに戦い抜いた。今年度の日本学生氷上競技選手権(以下、インカレ)では20年ぶりにアベック優勝を果たし、チームとしても目覚ましい結果を残した。その中でも、近い将来を見据えながら歩み続ける選手もいれば、今シーズンでスケート競技から引退した選手もいる。それぞれが感じる思いを、選手の言葉を通じてお届けする。 (この取材は3月1日に行われたものです) 第11回は佐藤伊吹(政経4=駒場学園)のインタビューです。 ――競技生活の中で一番いい印象に残っている試合を教えてください。 「大学3年次の全日本選手権(以下、全日本)です。それまでの全日本で思った通りの演技ができていなかった中で、ようやくいい演技がSP(ショートプログラム)とFS(フリースケーティング)そろえられたという意味で力を出し切れた試合だったので一番いい印象に残っている試合です」 ――ノービスの時代を振り返っていかがですか。 「ノービスは全体的にいい印象が私の中には残っていて、花絵先生(横谷花絵コーチ)のもとでジャンプをすごくやっていたから、全日本ノービス選手権でもいい成績が取れたし、単純に楽しく上を目指して頑張っていたので、それはすごくいい印象に残っています」 ――スケートをやってきた中で挫折はありますか。 「ジュニアの2、3シーズン目は全然結果が出なくて今思い返すとよく毎日練習してたなと思います。やめたいなとは思わなかったんですけど、やっていて楽しくないし、何よりけっこう自分の限界というか、試合に出てもこれぐらいだろうなというのがすごく見えて感じてしまっていたことがつらかったかなという記憶です」 ――どうしてやめようとは思わなかったのでしょうか。 「飽きない、飽き性の逆なんですたぶん。スケート以外に関してもけっこうそうで、なんでもずっとできるタイプだから、そこでやめてもまたたぶんどうせやる、というかやりたいなってすぐ思うだろうし、割と頑張ることは好きだったので、試合より練習が好きって感じだったのでなんとか耐えてたかなという感じです」 ――シニアに上がって初めて出場した全日本はいかがですか。 「小さい時から目標の舞台だったから、それだけ大きい試合に出て本当にたくさんの人に見てもらえたということが、そこからの自分のスケートをやっていく上での一番のモチベーションになる試合でもあったので印象に残っています。というのと、自分でそれまですごく頑張ってきて全日本に出られたんですけど、それでも全日本の中ではすごく下の方だったのでまだまだこれからやることはあるし、もっと頑張らなければという意味で悔しさと出られたうれしさというのをどちらも感じた試合でした」 ――そのシーズンを今振り返っていかがですか。 「ジュニアからシニアに上がったシーズンでそれまであまり結果が出なかったけど、シニアに上がったことで割と吹っ切れたというかあまり周りや順位を気にせずにシニアのみんなの中に入っていけたからうまく行った部分はあったかなと思っています。今思い返しても毎試合ミスが少なかったし、いい思い出が多いシーズンだなと思います」 ――大学1年次を振り返っていかがですか。 「毎日学校に行って毎日学校の合間に朝昼夜練習して、何往復もしていて今考えるとよくできたなと思うのと同時に、対面で行けたのがほぼ1年生だけだったのですごくいろいろな人に会えて楽しかったし、充実してたという感じです」 ――2年次を振り返っていかがですか。 「片手で数えられるぐらいでしか学校には行ってないし、スケート場も数カ月閉まっていて、スケート人生で初めてこんなに休んだというぐらい滑ることのできない状況だったから今までにないシーズンというか、そんなに滑らないままシーズンが始まっちゃった感じだったのでそこを調整するのは難しかったと感じました」 ――氷に乗ることができないことへの不安はありましたか。 「ありました。ですが、神宮に関してはみんな同じ状況ではあったし、しょうがない状況だったからその時にできることをとりあえず全てやって、氷に乗った時どうかは分からないけど、今やれることをやるしかないなという感じだったし、割と私はポジティブだったから平気でした」 ――リンクが開いて実際に氷に乗ってみていかがでしたか。 「おもしろい感覚でした(笑)。ああ全然違うなって思ったのと、本当に上達するのはすごく大変だけど下手になるのはめちゃめちゃ早いなって思いました(笑)」 ――大学3年次を振り返っていかがですか。 「3年の夏過ぎぐらいからは就活と共にスケートをやっていた感じなので、就活をしながらスケートをしていた時が人生で1番ぐらい忙しいなって思った期間だったので、すごく大変だったけど結果が出たから本当に良かったっていう印象です」 ――そんな中で結果を出せた理由はありますか。 「それがけっこう私も分からない部分ではあるんですけど、就活をして視野が広がったというか、自分が知らない世界をいろいろ見たことでスケート一点集中っていうこれまでの十何年だったのが、少し感じが変わったような気がします。スケートに集中するのはすごく大事だけど、それだけではないいろいろな新しいことを知ることがまたスケートにプラスになるということを感じました。逆にいいバランスでスケートと違うことをバランスをとりながらできたのが良かった、それまでのシーズンと違ったことだから良かったかなと思います。でも忙し過ぎてかなりつらかったなって記憶もあります(笑)」 ――4年生、今シーズンを振り返っていかがですか。 「考えなくても最後のシーズンだと思ってしまう部分はありました。でも、だからすごく頑張るというよりもこれまでも自分のベストの練習をして本番に臨んできたから同じことをやるだけだなというのと、最後楽しく後悔ないように終わりたかったので、もう十分っていうぐらい練習して試合に臨めたのでそれは後悔なく今終われた結果かなと思います」 ――全日本はいかがでしたか。 「終わって悔しい気持ちは強かったです。けど全日本に行く前の練習では結果が本当にどうなっても後悔しないだろうなと思える練習を自分はできたので、後悔もないし悔しかったけどその結果なら受け止めようとけっこうすぐに思えました」 ――インカレではFSを滑りましたね。 「FSを滑る機会が最後に、なんとかそのシーズンの全日本の前の試合からいろいろ頑張って結果を出したからインカレにも選んでもらえたので、そこは頑張ってきて良かったな、FS滑れて良かったと思います。最後明治に入ったからこそインカレで終われて良かったなと思いました」 ――インカレにはこれまでも出場していますが、思い入れは違いますか。 「違いますね。今シーズンからインカレに出るメンバーが試合ごとにポイントがついてそのポイント順で全日本の結果とかに関係なく出られるとシーズンが始まる前に知った時に、シーズン前の状況を考えたらそのメンバーも含めて考えたら自分は到底インカレにはまだ遠い位置にいると思っていました。シーズン当初から考えたら出られるとは思ってなかった試合にこうやって最後出ることができて引退できたというのが一番うれしかったので、やっぱり諦めないでやってよかったなっていうのを一番感じたのが今シーズンでした」 ――最後全日本とインカレは有観客でしたね。 「うれしかったです。ブロック(東京選手権)とかもまだ無観客なんだって私は思ったんですけど、滑る前の出ていく時の拍手や歓声が一番背中を押してもらえるとこの2、3年で思ったので、それを感じながら最後滑る時にリンクに立てたのは幸せだったと思います」 ――大学に入って一番の思い出を教えてください。 「スケートに限らず言ったら、1年の時に週5回毎日ほぼずっと学校に行っていたことが今考えてもすごいなと思います(笑)。本当に大学生って忙しいんだなと思った記憶が強いです。でも楽しかったです。小中高大の中で大学が一番楽しかったなと思うのは1年生の頃があったからだと思うので、その毎日が楽しかったです」 ――明大に入って過ごした4年間を振り返っていかがですか。 「明治に入ってよかったです。それは二つあって、一つはいろいろな人と会えたことです。明治に入って他のスポーツも強い中で、スケートも勉強もどちらも頑張れる環境にあって4年間やり切ることができました。もう一つはスケート部、フィギュア部門が強い選手の集まりだったことです。その中でいかに結果を出すか、インカレの優勝に向けて自分がどう貢献するか、できるかということで、強い人たちの中でなんとか自分もその力、その人たちに引っ張りあげてもらいながら頑張れました。明治に入ったからこそ『インカレに向けて』とか『みんなで全日本に出る』とかそういったことを目標に頑張り続けられたなと思います。勉強との両立の面と、スケート部がすごく強かったという二つから明治で楽しかったし成長できたかなと思いました」 ――これまで関わった明大の先輩や後輩たちはどんな存在でしたか。 「先輩のスケートのことだけでなく勉強のことも頑張ることとか、スケートも本気で練習するという姿を見て私も明治に入りたいと思ったので、それはすごくお手本になる存在でした。後輩に関しては学部が同じ後輩だったら授業の部分を助け合うこともありましたし、先輩後輩関係なく上手な選手がそろっているのが明治大学だと思っているので、合宿とかも勉強になる点がたくさんあったし、それがすごく良かった4年間だなと思います」 ――フィギュア部門での一番の思い出を教えてください。 「明治合宿のリレーです。明治合宿はトレーニングの後にリレーをするのですが、この前の合宿のOBの方なども入ってやったリレーがすごく楽しかったので思い出に残っています。(みなさん足は速いですか)速いです。負けた方は罰ゲームをするので、それも含めて面白かったです」 ――今もスケートは好きですか。 「好きです。やっぱりおもしろいなと思うし、やることが尽きないなと思います。技術だけでなくて表現も重視する二面あるのがおもしろいし、いいなと思います」 ――ファンの方へのメッセージをお願いします。 「これまで見てくださって、応援してくださって、とても感謝しています。最後の演技を終えた時、17年フィギュアスケートに全てを懸けてきて本当に良かったと思えました。これから別の道でも頑張っていきます。本当にありがとうございました」 ――ありがとうございました。 [堀純菜] (写真は本人提供)READ MORE