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(8)シーズン直前インタビュー 堀義正

フィギュアスケート 2021.10.01

 昨シーズンは新型コロナウイルスの影響で大会が中止や無観客開催になるなど、異例のシーズンとなった。なおも続く厳しい状況の中、新たなシーズン開幕を迎える選手たちの思いに迫る。

(この取材は9月21日に行われたものです)

 

 第4回は堀義正(商2=新渡戸文化)のインタビューです。

 

――スケートから離れているときはどのように過ごされていますか。

 「犬と従兄弟と過ごしていました。従兄弟は今2歳とかなんですけど結構僕の部屋に遊びにきてくれていて、一緒にお散歩に行ったりお買い物をしたりしています。本当にやることが無くなったらネットサーフィンとかもしますが、基本的には従兄弟と体操やダンスをしたりランニングをして、一応自分スポーツ選手なので体の動かし方を教えています(仲が良いんですね)従兄弟に一番好きなの誰?って聞いたら『よしくん』って言われて、もうめっちゃ嬉しくて毎日照れています」


――昨シーズンを振り返って感想をお願いします。

 「昨シーズンは大学に入って一年目ということで結構気合は入っていたシーズンだったのですが、ケガが重なったり、コーチが変わった時にジャンプの跳び方とかが全部一からになったりなど環境の変化というのがあって。その変化に動じないだろうなとどこかで思っている自分がいたのですが、結構それが影響したのか昨シーズンは自分が思い描いていたようなシーズンにはならなかったです。コロナ禍で大学の大会や試合が全部中止になったのは、不幸中の幸いと言っていいのかわからないですけど。明治大学に貢献するために頑張ってきたのですが、自分の中でジャンプとかが全部崩れてしまったのでどうしようかな、と思っている矢先に中止と聞いてほっとした部分はありました。今シーズンはそういうことがないようにもっと気合を入れて頑張りたいなと思っています」

 

――ジャンプの跳び方が一から変わるって大変なことじゃないですか。

 「僕は昔からジャンプの回転の軸というよりかは高さがあるということで評価を頂いていたのですが、今は高さを出さずにいかにスピードに乗って流れで跳べるかというジャンプに変えているので、ジャンプの基礎そのものが変わって人一倍大変なのかなと自分の中では思っています」

 

――実際今までとは別の系統のジャンプの感覚はいかがですか。

 「ケガをしにくいジャンプだなと思います。前のジャンプが別にケガをしやすいジャンプだったわけではないのですが、自分に合った跳び方というのをもう一種類見つけられた感じです。(新しい方のジャンプは)跳びにくいわけでもないので、むしろジャンプがすんなり回転してくれるので、前のジャンプは高さだったのですが今のジャンプは回転がかかりやすいということで、どっちも良いジャンプです」

 

――今までのジャンプの完成度を100として、現在はどの程度まで新しいジャンプを仕上げられていますか。

 「今まで僕は一応三回転のジャンプは六種類全て跳べていたのですが、今は三種類しか跳べない、戻っていないというか作れていないので、その面で言うと50%くらいなのですが、ジャンプの質の面で言うと昔より良いジャンプになっているかなという実感があって。もちろん昔のジャンプの方が見栄えがいいジャンプもあるのですが、エッジ系と言ってトゥを着かないジャンプに関しては昔ははっきり言ってすごく下手だったのですが、今はエッジ系のジャンプに自信が持てているので、前より上手いジャンプを跳べているのかなという印象はあります」

 

――昨シーズンはケガが多かったとのことですが、それにはなにか原因があったのでしょうか。

 「性格だと思うのですが、良い意味でいえば熱が入りやすい。悪い意味でいえばすぐキレるという、練習に打ち込めば打ち込むほどに自分のジャンプに苛立ちが出てきてしまうというのもあって、一個失敗すると十回やり直さないと気が済まない。十回良いジャンプを跳ばないと気が済まなくなってしまって、結果やりすぎで疲労骨折やリスフラン関節炎というバレリーナがなるような少し複雑なケガを沢山してしまい、医師に練習のやりすぎと毎回のように言われていました。その熱が入りやすいところがケガに繋がっていたのかなと思います」

 

――それは今シーズン改善できそうですか?

 「先ほどジャンプを一から組み直したとお話しましたが、その過程で『こうすれば失敗が減るんだろうな』『こうすればまともに跳べるんだろうな』というジャンプの構造を全部自分の中で理解することができているので、今までは何となく跳んで何となく下りていたのがちゃんと段階を踏んで自分の中で成功に導けるようになった。それを今は沢山練習しているので疲労はあまり溜まらないです。失敗したら基礎ばかり練習してその日は練習終わりとかやっているので、ケガは今はほぼないです」

 

――最近意識して練習していることはありますか。

 「熱を入れすぎないこととか(笑)先ほども言った通り、僕すぐに熱が入ってしまってカーッとなるタイプなのでそれを抑える、というのともう一つ意識していることがあって。ジャンプを跳ぶ前にジャンプのイメージを一度作ってから跳ぶようにしています。一回一回ではなく、例えば一本目にトゥループを跳ぶ前にこうやって跳ぶ、というイメージを作ってからトゥループをグルグル跳んだり、サルコウの一本目を跳ぶ前にイメージを作ってから跳ぶ、のようにジャンプの前にイメージを作ることを心がけています」

 

――それは新しい跳び方になって、ジャンプの仕組みがわかるようになったことの副産物のようなものなのでしょうか。

 「そんな感じです。他にも、ビデオを沢山撮るようになりました。今までの自分のジャンプのビデオはあまり撮らないで、自分が跳んでいる感覚だけでジャンプを作っていたのですが、今は一本一本ジャンプを跳んで、失敗しても成功してもどこが悪かったとか一々観るようにしたら中々良いです。それを始めてからあまり失敗しないですね。自分の跳んでいる感覚が良くても見栄えがすごく斜めになっていたら、自分の感覚が間違っているとわかるので。フィギュアスケートっていうのは見栄え重視だと思うので、ビデオを撮るようにしています」

 

――今シーズンはどのようなプログラムで挑みますか

 「SP(ショートプログラム)もFS(フリースケーティング)も今までに挑戦したことのないジャンルです。FSは昨シーズンに一年を通して演技をしているのですが、コロナ禍ということもあり、レッスンの時間もあまり取れず昨年は未完成の状態で、コーチには『まだ2%だよ』と言われました(笑)その状態で試合にも出ていたのですが、今シーズンは結構仕上がっています。SPは新しいジャンルの、フラメンコではないのですが、『大人の男!』みたいなのをイメージした曲と、FSは美女と野獣のミュージカル風の曲です。今まで僕はオーケストラとかポップな曲とか、定番といえば定番な曲を使っていたのですが、美女と野獣も定番ではあるのですが少し思い入れがあって。美女と野獣のあまり聴いたことのないようなパートを自分で編集して曲を作ったんですよ。曲名は知っているけど定番ではない、みたいな曲なのですが、自分で編集したので少し自信作ですね」

 

――どうしてその選曲に?

 「理由は前々から好きだったというのが一番なのですが、強いて言うなら自分が今までやったことがない曲で滑りたいなというのがあって。この曲を作ったのが昨年なので、大学入学と同時に新しいジャンルに挑戦してみようと思い作ったのがきっかけです。フラメンコの方は今習っているコーチに振り付けをしてもらったのですが、最初『義正これどう?』と言われて聴いてみて『ちょっと僕には難しいかもしれません…やめたいです』と言ったのですが、3日後には『じゃあこれで振り付けするよー』とレッスンが始まっちゃって、半強制というか『義正これでやりなよー』とすごく粘られたので、僕も3日後に『やります』と答えました。振り付けをしていたら面白いな、となって今では気に入っています(笑)今シーズンはSPもFSも今まで挑戦したことがないジャンルなのでどうなるか、点数にどう響くのか楽しみです」

 

――今シーズンのプログラムの完成度はどのくらいですか。

 「20%とか…?振り付けに飲まれなくなりました。昨シーズンは身体を動かしているだけみたいな感じだったのですが、今は曲に乗って踊れているという実感はあるので、昨年は2%と考えたら60、70%くらいはできているのかもしれないです。ジャンプとかがちゃんと入ってくれば8割9割になると思うのですが、まだジャンプはあまりはまらないので、今のところは6割7割で(SPの方はいかがですか)8、9割いっていると思います、踊りとかに関しては。ジャンプもSPは三種類でいいので、今跳べている三種類でなんとかシニアらしい踊りはできているんじゃないかなと思います」

 

――今シーズンの目標をお願いします。

 「全日本選手権に出場することです。去年やり切れなかった分も含めて着実にやっていきたいです。また、インカレの代表選考にも選ばれて、今年こそ明治に貢献したいと思います!」

 

――ありがとうございました。

 

[向井瑠風]


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