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(4)視覚障がい者柔道小川和紗選手にインタビュー!(前編)

明大スポーツ新聞 2020.12.03

 パラリンピックまであと1年。明大スポーツ新聞部は中大スポーツ新聞部と協力し、幅広い視点からパラスポーツを取り上げていく。第2弾となる今回は、視覚障がい者柔道の第一線で活躍する小川和紗選手にお話を伺った。前編、後編の2回に分けて掲載する。

 

(この取材は11月19日に行いました)

 

視覚障がい者柔道とは

視覚に障がいがある人を対象に考えられた柔道。お互いに組んでから始まる点が特徴的だ。組み合った状態から相手をいかに崩すかが勝負のポイントになってくる。

 

――普段はどのように過ごされていますか。

 「柔道とトレーニング。そして、所属会社である㈱オー・エル・エムの社員としてメディア対応もしています」

 

――では、生活の中心は柔道ということですか。

 「そうです。みっちりというほどでもないのですが、3時間から6時間行っています」

 

――コロナ期間で練習は減りましたか。

 「減りましたね。今は、道場の換気と練習前の畳の消毒、検温そして手洗いうがいとアルコール消毒をして、マスクをしながらやっています」

 

――中学時代に陸上から柔道への転向をされていますが、不安などはありませんでしたか。

 「小学校高学年のとき、陸上部で走り幅跳びをやっていました。ただ、踏み切り板が見づらく、ファールを出すことが多くて、なかなか思うようにいかなかったです。両親や友達のお父さんの勧めで、しょうがないなあという感じでやり始めました。でも、逆に柔道部に入ってよかったと思うくらいに、すごく柔道が楽しかったです」

 

――『柔道の相手を大切にするところが好き』とおっしゃっていますが、柔道をやる上での原点なのでしょうか。

 「柔道は相手がいないと成り立たない競技です。嘉納治五郎先生がおっしゃられた、“自他共栄”という言葉があります。相手がいるから試合ができ、勝ち負けもつきます。練習するのも、相手がいてこそです。なので、私も相手を大事にしたいです」

 

――柔道の世界はやはり礼儀を大事にしていますか。

 「そうですね。例えば世界大会では、私が負けても、相手はありがとうと言って握手をしたりします。私も逆に勝ったら、相手にありがとうと握手をし、時にはハグをします。試合のときは本気の勝負です。 でも、畳を降りる前のお礼を、本当に柔道家は大事にしています 。」

 

――それは柔道を始めた時からやっていらっしゃることですか。

 「ハグや握手は世界大会に出るようになってからです。中学からずっとやっていたのは、試合終わってから礼をして、畳を降りるときにありがとうございましたと言うことです」


稽古中の小川選手(写真左)


――理想の柔道選手像はありますか。

 「73キロ級のオリンピック選手、大野将平さんです。大野さんは戦っている畳の上で、ガッツポーズをしないのですが、私もそうありたいです。私が勝った相手もいろんな思いで練習を積んでおり、負けて悔しいし、悲しいしはずです。なので、無表情で畳を降りるというのを続けています。対戦相手を重んじる気持ちを伝えたいからです」

 

――小川選手の持ち味はなんですか。

 「私は海外の選手と比べたら小柄な体格です。でも、小さいからこそできることもあります。それは、相手の下にもぐる担ぎ技を多くできるということです。小柄な体格を活かして、私は動くようにはしています。少しでも隙を作らず、力負けしないように崩していくというのを心掛けています」

 

――視覚障がい者柔道が普通の柔道と比べて難しいと思うところはありますか。

 「私はもともと健常者の中で柔道をやっていました。なので、組んでから始まるところなど、むしろ助かっているところが大きいです。ただ、難しいところを一つ挙げるとしたら、目からの情報が少ないという点です。相手の技を見て参考にすることが難しいところが悔しいです。自分が技をかけたり、受けたりしないと、その情報が自分のものにならないからです。そこは今結構悩んでいるところです」

 

[下神大生]

 

◆小川 和紗(おがわ・かずさ)千葉県出身 ルーティーンとして試合前には猫のぬいぐるみと会話することで集中力を高めている

 

※写真は本人提供

 


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