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(2)ゴールボール安室早姫選手にインタビュー!(前編)

明大スポーツ新聞 2020.11.08

 パラリンピックまであと1年。明大スポーツ新聞部は中大スポーツ新聞部と協力し、幅広い視点からパラスポーツを取り上げていく。第1弾となる今回は、明大OGでありゴールボールの世界で活躍する安室早姫選手にお話を伺った。前編、後編の2回に分けて掲載する。

 

(この取材は10月29日に行いました)


ゴールボールとは

視覚に障害がある人を対象に考えられた球技で、目隠しをつけて行う。コート内のプレイヤーは各チーム3人。攻撃側の選手は、鈴の入ったボールを転がすように相手のゴールに投げ込み、守備側は鈴の音を頼りに全身を使って投球を防ぐ。

 

――普段はどのような仕事をされていますか。

 「ヘルスキーパーっていう職種で、社員の方々にマッサージをする仕事です」

 

――ゴールボールは集中力を使いそうですが。

 「普段、仕事もして夜に練習するので、疲れていたりすると集中力がいまいちになって上手くいかないこともありますね。私は元々集中力が比較的ある方だと思うので、あとはゴールボールをしていく中で『このボール取りたい』とか『あそこに投げたい』とか、だんだん夢中になっていくと自然と集中力が上がっていきます」

 

――普段はどのような練習を行っていますか。

 「決めたコースに投げる練習や男子選手に投げてもらって守る練習、ゲーム形式の練習もします。ゴールボールの練習ができる日は限られているので、ジムに行ってトレーニングもします。全身使ってボールを止めますし、投げるためにも肩や手首の力が必要です。それに床を転がすため、踏み込む下半身の強さも必要です。ボールもかなり重たくて、体幹部もしっかりしていないと姿勢が崩れたりするので、本当に全体的に鍛えます」

 ゴールボール練習の様子

――性格としては負けず嫌いな方なのでしょうか。

 「負けず嫌いじゃないアスリートっていないと思うんですよね(笑)。そもそもゴールボールを本格的に始めようと思ったきっかけが、やり始めて間もない頃の大会で、当時一番強かったチームにコールド負けして。それが悔しくて『あのボール全部取りたい』と思ってやり始めているので、そういうところで完全に負けず嫌いですね」

 

――ゴールボールに出会ったきっかけは体育教師に勧められたからと聞きました。それ以前にも競技のことは知っていましたか。

 「中学くらいから体育の授業でやるようになったので、元々存在は知っていました。(先生に勧められた理由は)音を聞いてボールがどこにあるかという私の感覚が良かったからだと思います」

 

――競技だけ知っているという人も多いと思うのですが、ゴールボールの魅力は何ですか。

 「ゴールボール以外にも視覚障害者ができる球技っていくつかあって、それらは視覚障害でも全く見えていない人と少し見えている人が混ざっていて、見えている選手は見えている状態でやっていたり、全く見えていない選手は見えている選手からの指示を受けてプレーしたりすることが多いです。でもゴールボールは全員が目隠しして何も見えない状態でやっています。そういう意味で言うとみんな同じ状況の中でできるというのは面白いところですし、ゲームが続いている間はみんな見えていないので音だけで全てを判断して、お互いにこうじゃないああじゃないと伝えあって状況を把握したり、次どうしようかって考えたりするところが面白いと思います」

 

――これから観戦する人に向けゴールボールのここを知ったら面白くなるところはありますか。

 「ボールは適当に投げているわけではなく、みんな結構考えて投げています。点をとるためにどういう組み立てをしているのか、どうしてあそこに投げているのかなっていうところに注目していただけると面白いかなと思います。例えば、真ん中にいる選手の手を狙うことがあるのですが、何であんなに手を狙っているのかなとか、手を狙っているけど、実は狙っているのは足側だったということもあるので」

 

――大学在学中はどんなことをしていたのですか。

 「大学では特に何もしていないですね(笑)。ただ大学3年の頃にゴールボールのナショナルチームに入ってユースの大会に出たので、その辺りからゴールボールを一生懸命やっていました。1、2年の頃はクラブチームでやっていたり、他にはフロアバレーボールとかグランドソフトボールとか視覚障害者がやる別の球技を社会人チームでやっていたりしました」

 

――現役明大生に向けて、社会人になる前にやっておいた方がいいことはありますか。

 「いろいろな経験していると、いつか絶対何かしらで役に立つと思うので、せっかく同じ授業料払うならいろいろな授業を取って欲しいし、あとはサークル活動でも、ボランティア活動でもいいし。いろいろな経験は大学生のうちが一番できると思います」

 

[下神大生・金井遥香]

 

◆安室 早姫(あむろ・さき)法学部卒、沖縄県出身 パラ水泳選手の秋山里奈さん(法卒)は高校・大学の先輩でもある

 

※写真は日本ゴールボール協会提供、安室早姫選手は背番号4


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