太田龍之介 世界へ羽ばたく紫紺の“龍”

サッカー
2020.10.12

 超新星が現れた。太田龍之介(政経1=ファジアーノ岡山U―18)は、前期リーグ戦8試合に出場し4ゴールを挙げ、1年生ながらチームを牽引している。185センチの体躯が生みだすポストプレーが持ち味だ。大学では得点力も開花させている。

 

躍動する西の龍

 PA外正面、鋭いターンでDFをかわし左足一閃。ボールはゴール右下へと突き刺さった。前期リーグ第2節立正大戦で「動きもしなやかで、これからが楽しみ」と栗田大輔監督も期待を寄せるルーキー・太田がその名を関東に知らしめた。前期リーグ戦は主にスーパーサブとして出場。1年生ながら得点ランキングでは6位に位置し下馬評以上の活躍を見せた。

 

苦難続きの過去

 「小学校時代がピークだった」。全国大会出場にナショナルトレセン選出。将来に期待された逸材は中学進学とともに雲隠れした。セレッソ大阪U―15へ加入早々の足首のけがに始まる7度の故障。満足にプレーできない日々は、サッカーを続ける意味を見失わせた。そんな太田をつなぎとめたのは「親の支え」だった。未経験者ながらもサッカーを勉強し息子の練習や通院に付き添い続けた父は「自分にとっていちばんのコーチ」。家族の応援に応えプロになるため、テストを経てファジアーノ岡山U―18に入団する。最後のプリンスリーグ中国では8ゴールをマークした。しかしプロ契約への試金石となった大会では「情けないほど何もできなかった」。ノーゴールに終わりプロ契約は勝ち取れず。大学は「父の住む関東で、いちばん強い明治」。親孝行のためプロに、という強い思いを胸に明大での挑戦を始めた。

 

目指す先は世界

 苦境が新たな武器を与えた。フィジカルで負け歯が立たなかった、明大への入部当初。自粛期間を活用し課題だったインナーマッスルを鍛えた。「相手のパワーを吸収して、当たり負けない」。しなやかな体の使い方が太田をトップチームに押し上げ、ルーキー初得点を生み出した。

 野望は大学から世界へのさらなる飛躍。名門インテルの伝説的な選手である大先輩・長友佑都選手(平17政経卒・現マルセイユ)は超えるべき目標だ。目指す先はまだまだ遠い。それでも「明治で培う〝人間力〟にサッカーがついてくる」。悔しさを糧に紫紺の龍は世界へ羽ばたく。

 

[土屋秋喜]

 

◆太田 龍之介(おおた・りゅうのすけ)政経1、ファジアーノ岡山U―18。憧れは大迫勇也選手とロベルト・レヴァンドフスキ選手。185センチ・72キロ。