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攻めの卓球貫き世界へ 宇田幸也

卓球 2020.09.21

 今年1月、全日本選手権(以下、全日本)で頂点に君臨した宇田幸矢(商1= 大原学園)。決勝では世界ランキング4位(9月20日現在)・張本智和(木下グループ)を激闘の末に打ち破った。その背景にはたゆまぬ努力と父・直充氏の支えがあった。世界一を目指し、新たな舞台でさらなる進化を遂げる。


日本一に

 全日本決勝の相手は優勝候補大本命・ 張本。「この時点で宇田の勝利を読んだ人はいない」(兒玉圭司総監督)。しかし、宇田は恐れずに持ち味の強打で立ち向かう。「ここまで激しい全日本の試合は過去にない」(直充氏)。両者一歩も譲ることなく、ゲームカウント3―3までもつれる大接戦に。すると最後は打点の速いサービスで連続失点を誘い、ついに決着。悲願の天皇杯をつかみ取った。

  手にしてきたのは銀メダルばかりだった。最後の全国中学生大会は2位、全日本ジュニアの部でも2度優勝を逃した。常に意識していたのは〝世界〟。今のままではいけない。この気持ちが宇田に火を付けた。「1年間で変わった」(直充氏)。まずは世界選手権出場の条件を逆算して身近な目標を設定。おのずと必要な技術、練習が見えてきた。見つけた課題はすぐに克服し、練習内容も自分で考えるように。「2位の悔しさがあったからこそできた」。向上心と悔しさが導いた日本一。ひたむきな努力が実を結んだ瞬間だった。

  「楽しんでやってこい」。大会中、父が掛け続けたこの言葉が宇田の背中を押した。ラケットを手にした時から、コーチは直充氏。技術面から戦術に至るまで、持てる全てを授かった。大舞台で実力を発揮できずにいた息子。その姿を傍らで見守ってきた父の言葉は温かく、勇気をくれるものだった。「父の助言で力まずに戦えた」。幾度も局面を乗り越え、最高の結果を手中に収めた。「次は世界で勝ちたい」(直充氏)。親子の二人三脚は続く。


世界一へ

 宇田にとって、全日本制覇は通過点にすぎない。「目標は世界選手権で優勝、五輪で金」。練習場が近所で、幼い頃から交流があった明大卓球部。水谷隼選手(平24政経卒・現木下グループ)や丹羽孝希選手(平29政経卒・現スヴェンソン)など、世界最高峰の舞台で活躍する 選手を輩出する強豪校だ。自身も世界のトップに立つため、その門をたたいた。 目前の目標は、4年後のパリ五輪。在学中に必ずその切符を手にしてみせる。唯一無二の攻めの卓球で世界一へ。偉大な先輩もいまだ成し得ない夢に向かい、歩み続ける。


【波木井里紗】


◆宇田幸矢(うだ・ゆきや)東京都出身。熱しやすい。家族に優しく、姉・衣里那さんと仲が良い。171㌢・65㌔


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