担当記者イチオシ!2020(4)樋口大介
4月の緊急事態宣言から早3カ月、警戒の姿勢は続くものの、徐々にスポーツ界も活動を再開している。試合や大会の開催が手探りの中、選手たちも前に進み始めた。
今回は〝明スポが今季注目する選手〟として7人をピックアップ。自粛中の思いや現在の調子についてのインタビューをお届けする。(この取材は5月29~31日、7月10、11日の2回分を合わせています。コロナウイルス流行に伴い、掲載が遅れてしまったことについてはご了承ください)
第4回は樋口大介(法4=伊賀白鳳)のインタビューです。
――昨秋の疲労骨折以降、状態はいかがでしたか。
「10月末に疲労骨折して、2カ月で疲労骨折自体は治したんですけど、疲労骨折した期間もあって、走り方がバラバラになっていたというのが僕自身課題としてあるんですけど、それで違うところを痛めたりしてました。結局疲労骨折してから3回ぐらい、走りはじめて故障して、走り始めて故障してというのを繰り返して、結局2月までは思うように走れなかったです」
――駅伝シーズンに合わせられなかった悔しさは今シーズンに生きていますか。
「そうですね、3年は本当に調子良くて、狙えるなって思っていたんです。でも疲労骨折したときは本当に悔しかったです。練習に気持ちが入らないというのもあったんですけど、あと1年しか残されていないので、故障期間にできることをしっかりやろうという考え方にどんどんなっていきました。モチベーションも一時は落としたんですけどま、今はもう状態が上がってきているのでいい感じです」
――故障してから考え方の変化はありましたか。
「故障したことで自分なりに骨にサプリメントを取り入れ始めたりとか、治療院を回ってどのような治療法が骨にいいかとか、酸素カプセル入りに行ったりとか、補強をどの部分中心にやったら良いかとか、考えるようにはなりました」
――チームメートよりも体のことを考えているという気持ちはありますか。
「そうですね、ケアのことに関してはチームでも結構上の方というか(笑)。体について考えて生活できているのかなというふうには思っています」
――この自粛期間に一番意識したことや決めて取り組んだことがあったら教えていただきたいです。
「上半身の柔軟性を出すことに注力しています。僕は上半身に猫背だったり硬さがあって、下半身と連動したフォームじゃないというのが課題としてあるので、ウエートでしっかり筋肉を鍛えて、その筋肉を存分に使える柔軟性というところに注力して取り組んでいます」
――そのために取り組んでいることはありますか。
「週に2回上半身のウエートトレーニングをしています。これまでは毎日風呂上がりに、下半身のストレッチしか取り入れていなかったんですけど、上半身のストレッチを頻繁に行うようにして、だいぶ柔軟性が出てきたかなという感覚はあります」
――いま意識している選手、競い合っていきたい選手はいますか。
「長倉奨美(情コミ4=宮崎日大)ですかね。結構3年生のころから競り合っています。奨美はこの春、ハーフで良い記録出していたり、学内のタイムトライアルでいい記録が出ていて、すごく走れているんですけど、負けたくないなというのをすごい強く思っているので。奨美と競り合ってというか高め合いながら、駅伝も一緒に走れたらいいなと思っています」
――シーズンの前半戦を終えてみて、昨年と一番変わったと思う部分はどこにありますか。
「練習を継続した時間は昨年より今年の方が圧倒的に多くて、昨年は全体の練習に合流できたのが5月ぐらいだったと思うんですけど、今年は3月ぐらいからしっかり練習できていて、夏合宿への土台作りというところは昨年よりしっかりできているので、自信を持っていきたいなと思っています」
――自粛期間がプラスになったこともありましたか。
「僕自身にとってはあまりマイナスになったことはなくて、練習の環境もありがたいことに整っていて、しっかり自分で考えて練習しようとプラスに捉えて練習することができたので、この期間は有意義なものになったかなと思います」
――最後に夏合宿、そして駅伝シーズンに向けて意気込みをお願いいたします。
「夏合宿は絶対故障なく乗り越えます。昨年は乗り越えてから故障ということもあったので、乗り越えてからも油断せず、駅伝で結果を出せるような状態を作り上げて、4年目ラストシーズンを悔いなく終われるように頑張りたいなと思います」
担当記者メモ
昨年度は夏合宿から好調を維持して箱根予選会や全日本のメンバーに選ばれるも、疲労骨折により無念の離脱。ラストシーズンにかける思いは誰よりも強く熱い。最終学年での爆発に期待だ。
[川和健太郎]
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