齊藤誉哉 才気溢れるプレーで目指すは天下取り

ラグビー
2019.09.19

 爽快なステップで一つ一つの刹那を走破する。スタンドオフ齊藤誉哉(文1=桐生一)は、春シーズンから紫紺に袖を通し、キック、パス、ランの三拍子がそろったプレーで存在感を発揮。いかなる局面でも物怖じしない積極性で、チームに新風を吹かせてみせる。

 

起点

 大型ルーキーの原点は高校時代にさかのぼる。群馬県内でも有望株であった齊藤は県外の強豪校で勝負しようと考えていた。進学に悩んでいた矢先に声を掛けられたのが、後の恩師・桐生一高の霜村誠一監督だった。「一緒に新しい歴史をつくらないか」。霜村監督からの熱い言葉に感銘を受け、桐生一高に入学を決意。一年次から才気溢れるプレーで頭角を現し、すぐさまレギュラーの座を獲得。主軸の一員として〝花園出場〟に向け、チームをけん引していった。

 人間力とラグビーの二兎を追い求めた。「近所の方への挨拶や学校の掃除はもちろん、練習は誰よりも早くグラウンドに集合した」。桐生一高ラグビー部のスタイルは人間としての成長とプレー向上の両立を図るもの。自ら他の部員に行動で示し、チームを束ねていった。そして「当たり前のことを徹底する」という霜村監督の教えの下、桐生一高は見事に県予選を突破。創部初となる花園への切符をつかんだ。

 初戦の米子工高戦「やるべきことをやり、チームから良いプレーを引き出す」と焦点を定めた齊藤は、開始早々から軽快なフットワークを披露した。相手陣営に幾度となく切り込み、味方のトライをアシスト。コンバージョンキックも8本を的確に沈め、110―0と快勝。花園初出場校〝史上初〟となる3桁得点勝利を収めた。2回戦、花園常連の強豪・常翔学園高には苦杯を喫したものの、ひたむきに奮闘し続けた背番号〝10〟は名実ともに全国に轟いた。

  

進歩

 群馬発のホープは新境地でも快進撃を見せる。ルーキーながらフル出場を果たした日大戦では「ゲームコントロールを意識した」。序盤からBK陣をワイドに動かし、トライを演出するなどチームを大いに活気づけた。「練習を積み重ねていきたい。目標は京平さん(山沢京平・政経3=深谷)」。憧れの先輩を目標に日本一の司令塔へ。高校時代に培った精神力とスキルを生かし、大学ラグビーという大海原に挑戦する。 

[内山嶺]

 

◆齊藤 誉哉(さいとう・たかや)文1、桐生一高、180センチ・88キロ。好きな食べ物はいちご、みかん。