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名門支えた努力の天才 櫛田佳希

競走 2019.04.01

 陸上界に巻き起こる〝学石旋風〟。学校法人石川高は、全国高校駅伝で同校歴代最高となる3位に入る快挙を果たした。エース・櫛田佳希(政経1=学校法人石川)は先輩の背中を追い、明治の門をたたく。

積み重ねた強さ
 長距離と出会ったのは中学1年次。当時は女子よりも遅く「陸上が全く楽しくなかった」。そんな櫛田を支えたのは当時顧問だった阿部寬先生。一からメニューを考え、自分を陸上につなぎ留めてくれた。諦めなかったからこそ知れた〝結果が出てからが陸上は面白い〟は、今陸上を続けている原点でもある。
 「もっと強くなりたい」。阿部弘輝駅伝主将(政経4=学校法人石川)や相澤晃(東洋大)ら最強世代に憧れて進んだ高校。しかし主力選手との差は歴然、得意のスピード練習でも全く歯が立たなかった。それでも、基礎の60分ジョギングから練習を見直し、記録を伸ばす同期に負けじと着実に力を付けていった。迎えた高校3年次の国体。チームが不調に苦しむ中、主将・横田俊吾(青学大)から言われた「お前が入賞すればチームの流れが変わる」。この言葉を胸に見事5000㍍で5位入賞。チームに勢いをもたらした。そして、集大成の全国高校駅伝では県高校記録を更新し、憧れの最強世代超えを果たした。もう弱いとは言わせない。腐ることなく常に上を目指す〝努力の天才〟がそこにはいた。

未知数の可能性
 最強ルーキーにおごりはない。高校、大学と阿部の背中を目指してきた。同じチームで走るこの1年で、憧れの先輩から「一つでも多くのことを吸収したい」。大学1年次から箱根路を走りたい。1万㍍も28分台を出したい。でもまずは「ケガをしないよう練習に慣れる」。結果を出しても環境が変わっても、その堅実さは健在だ。〝学石出身〟の肩書を胸に明治での飛躍を誓う。

【仁科せい】

◆櫛田佳希(くしだ・よしき)福島県出身。寮では大先輩・阿部と同室。165㌢54㌔


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