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(番外編)瀬古利彦氏インタビュー

競走 2018.12.29

今月19日に発行しました『明大スポーツ 箱根駅伝特別号』で瀬古利彦氏の談話を載せましたが、紙面の都合で入り切らないコメントが多くありました。ぜひたくさんの人に読んでいただきたい旨を伝えたところ、瀬古氏からご快諾いただけたので、ここに掲載致します。

 

――早大時代の箱根を振り返っていかがですか。

「当時から、私はオリンピックが目標でした。オリンピックを狙っている選手が学生なんかに負けるわけない、と自負していました。区間新記録出して当たり前だと思って走っていたので、びびることはありませんでした。各チームのエースたちには箱根駅伝ではなくて、その先を目標にしてもらいたいと思います。ここが目標だと寂しいよ。『山の神になりたい』とかは私から言わせてもらうとナンセンスで、オリンピックの神様になってほしいと思います。神様は1人じゃないといけないので、そう何回も乱発してはいけないね(笑)。阿部選手(弘輝・政経3=学校法人石川)はもっと先を見ていると信じていますよ」

 

――明大のイメージはどのようなものですか。

「早明戦とか見ると、ライバル校に対してはものすごく貪欲に挑むチームなのに、ライバルではないところにはツメが甘いような気がします。勝てる試合で油断してしまうイメージがあるね。例えば、ラグビーの関東対抗戦で帝京大には勝つけど格下のはずであった慶大に負けてしまうとかね。だから強いチームでも弱いチームでも絶対に油断してはいけませんね」

 

――明大は2年ぶりに箱根に出場します。予選会から這(は)い上がったチームの強みは何でしょうか。

「強みなんかないと思いますよ。予選会に出たら練習スケジュールや調整で大変なんだから。シードから落ちないことが重要です。最近で言えば 2013 年に日体大が予選会から優勝しているけど、そういうケースは稀です。予選会に落ちること自体がチーム力がないということになるから、まず予選会にいかないことだね。それを何年も続けることが、箱根での連勝につながると思います」

 

――それでも選手らの反骨精神は相当なものだったと思います。

 「それはめちゃくちゃ悔しかったでしょう?『そんなはずない』と思っていてもそれが現実だからね。やっぱりどこかに油断があったというか、『予選会は通って当たり前』みたいな部分があったと思います。箱根駅伝というのは決して油断してはいけないし、何があるかわかりません。私が早大でコーチを務めていたときには大会2週間前から『生ものを絶対に食うな』と選手たちに言っていました。下痢でも起したらもう終わりです。食事への配慮、うがい手洗いとかは徹底していました。そこで1人でも油断があったら全部帳消しになってしまいます。全員がそういう気持ちにならなくてはいけないし、誰ひとり人頼りになってはいけません」


 

――毎年、明治は上位 10 人の1万メートルの平均タイムで、上の方に位置しているにも関わらず、駅伝で勝ち切れない要因は何でしょうか。

 「おそらく勝ち慣れていないのでしょうね。記録会ではなく、試合というプレッシャーがある中で走って、場数を踏まなければなりません。勝負するレースで記録を出したら、本物だと思うよ。関東インカレ、日本選手権、箱根予選会、全日本大学駅伝などで常に上位に食い込んでいる阿部選手はその点で良いと思います」

 

――シード権や上位に食い込むためには何が必要ですか。

 「1区2区の出だしが第1条件です。エース級がそこで出てきますからね。序盤で流れを作って、山登りで3番くらいに入りたいよね。1万メートルでそれだけの記録を持ってる選手がたくさんいるんだから青学大や他の大学も焦ると思いますよ」

 

――選手に向けて、激励の言葉をお願いします。

 「明大は名門中の名門。選手諸君、正月に美味しいお酒を先輩たちに飲ませてあげてください。結果が残念だと、せっかくのお酒も苦いお酒になるので(笑)。今年度の早大は残念ながら、明大の後ろを走る可能性があるので、その分頑張ってください」

 

――ありがとうございました。

 

[綾部禎、島田雄貴]

 

◆瀬古利彦(せこ・としひこ)

早大出身。1980 年代に日本長距離界をリードし、マラソンでロサンゼルス、ソウルオリンピックに出場。第 69 回箱根駅伝ではコーチとして母校を総合優勝に導いた。現在は横浜DeNAランニングクラブ総監督、また、日本陸上競技連盟のマラソン強化戦略プロジェクトリーダーとして東京五輪、その先の大会に向けて、マラソンランナーの育成に尽力している。


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