『言の葉(2)』東龍輝「自分に回ってきたら、勝ちます」

相撲
2018.07.11

 無名の選手から、明治の大将になった男がいる。今年6月に行われた東日本学生選手権で、優秀8校入りの立役者となった東龍輝(政経3=文徳)。団体戦の最後のとりでとして活躍を続けているが、初めは「何で俺なんだろう」と、大将をこなせるか不安があった。
 初めて大将となったのは、昨年夏の全日本大学選抜金沢大会。当時の大将が大会直前に負傷し、出場が決まった。すると予選リーグの日体大戦。2―2で東に回ってきた。いきなりの負けられない場面でも、必死に食らいつき、寄り倒し。大金星を挙げた。この勝利で勢いづき、明治は決勝トーナメント進出。チームに大きく貢献したが、それでも「たまたま勝っただけ」と自分を信じ切れずにいた。
 高校時代は無名だった東。「体も大きくないし、下がってばかりだった」。入学後も同じ。いくら練習しても、気持ちの弱さという一番の敵を破れなかった。転機は昨年9月。「大将は龍輝じゃないと駄目だ」。1部昇格を懸けた入替戦の前日。守重佳昭監督がそう言った。初めて自分が信頼されていることに気付き、込み上げるものがあった。師の一言で、迷いが消えた。
 「自分に回ってきたら勝ちます」。大将の役割も板についてきた。勝ち得た信頼と、つかみ取ったいくつもの金星。自信がなかった自分には、別れを告げた。「チームに安心感を与えられる選手になりたい」。チームをインカレ団体優勝に導くまで、挑戦は続く。【髙橋昇吾】