『言の葉(1)』小野雅史「明治が僕の全てです」

サッカー
2018.06.13

 エースナンバー〝10〟を背負うMF小野雅史(政経4=大宮アルディージャユース)。2度の挫折を乗り越え、J2・大宮アルディージャへの加入内定を決めた。
 無力感が成長のカギだった。ユースからプロへの昇格を逃した小野は、1年次から活躍を誓い入学を決意。しかし当時の明治は、現在J1で活躍する和泉竜司選手(平28政経卒・現名古屋グランパス)を筆頭とした黄金期。ベンチにすら入れずレベルの差を痛感した。それからは〝個〟の強化を徹底。左足の精度とゴール前での強さ、弱点である一対一の守備。己と向き合い、試行錯誤を繰り返した。2年次には公式戦17試合に先発出場。リーグ戦、総理大臣杯と2冠に貢献した。その矢先、小野を悲劇が襲う。練習試合で右膝の半月板と前十字靭帯(じんたい)を損傷。プロ断念が頭をよぎるほどの大ケガを負った。そんな時も同期全員がお見舞いに訪れ、栗田大輔監督は「下を向くな」と愛のあるげきを飛ばした。リハビリの末、当初の見込みより早い復帰を果たした。3年次の9月、総理大臣杯にメンバー入り。12月のインカレではスカウトを振り向かせた。
 「明治が僕の全てです」。個性を磨けたのも、絶望の淵で支えてくれたのも明治。さまざまな経験が選手として、人として成長させてくれた。つわものが集うプロの世界。明治の看板を背負い、輝いてみせる。
【浅野拓磨】

◆小野雅史(おの・まさひと)埼玉県出身。ポジションはMF。左利き。2013年、U―17(17歳以下)日本代表選出。172㌢・68㌔