(22)第554号拡大版 佐藤駿選手 独占インタビュー②

 明大スポーツ第554号裏面では、ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪(ミラノ五輪)で個人銅メダル、団体銀メダルを獲得した佐藤駿選手(令8スケート部卒)を掲載した。本記事では、紙面に載せ切れなかったインタビューを拡大版として掲載する。

(この取材は3月4日に行われたものです)

――個人FS(フリースケーティング)での調子は、団体戦と比べていかがでしたか。
 「良かったかなと思います。調子自体もすごくいい状態でその期間いたので。調子自体の不安は全くなかったです」

――FSの内容を振り返っていかがでしょうか。
 「内容自体もものすごく良かったかなというふうに思いますし、特にトーループのコンビネーションの部分で、今までで一番いい4T(トーループ)3T(トーループ)のコンビネーションができたのではないのかなと思っています。SPの失敗を引きずらずにできたというのが一番うれしかったなというふうに思っています」

――演技終了時点で満足感はありましたか。
 「達成感というのもすごくありましたし、自分の目標としていたノーミスの演技というのが最後の(3回転ルッツの)ミスはあったんですけど、全体的にプログラムも良かったかなと思うので、そこら辺のうれしさというのはありました」

――その後の演技をリンクサイドで見られていましたが、順位が決まっていく中で、どのような心境で他の方の演技を見ていましたか。
 「正直終わった瞬間はメダルを取れると思っていなくて、8位以内に入ったら賞状がもらえるというふうに言われたので『賞状が欲しいな』というくらいしか思っていなかったんですけど。実際長らくリーダーズチェアにいて、本当に自分でも驚きましたし、完全に次の試合の方向に気持ちが向いていたので、本当にその時は全くメダルなんて考えていなかったです」

――次の試合というのは世界選手権のことを考えていたのでしょうか。
 「世界選手権にどういった構成で臨もうかなと、そういったことを考えていました」

――最終グループの中で印象的な演技はありますか。
 「やはりシャイドロフ選手(ミハイル・カザフスタン)のあの演技はすごかったです。まず冒頭の誰もやってないコンビネーションのトリプルアクセル、オイラー、4回転サルコー。きれいに決まった瞬間から『これはいくな』という感じはありました。あとは流れるような(4回転)フリップ。あれはすごく驚きましたし、あれだけ4回転を簡単に跳べるというのは本当にものすごいなというふうに改めて思ったので、自分もあれくらい軽く簡単に4回転が跳べるようになりたいなと思って見ていました」

――いつメダルを獲得したと気づきましたか。
 「全然点数が見えなくて。モニターはあるんですけど、そこの画面には点数がなくて。遠くの方は(点数が)出るは出るんですけど、少し遅くて。奥の方のモニターが一番早いんですけど、ちょうど場所的に見えなくて。優真(鍵山・オリエンタルバイオ)のところからは見えたんですけど、それで優真から『メダルだよ!』というふうに言われて、そこで初めて気づきました」

――『メダルだよ』と言われた時の気持ちはどうでしたか。
 「うれしさというよりも困惑というか。自分でも全く思ってもいなかったので。ただ優真がものすごく喜んでくれていたのがすごくうれしかったですし、自分もここに来る目標としてメダルを取りたいというふうに思っていたので、取れたということに関しては本当にうれしさがありました」

――日下匡力先生から何か言葉はかけられましたか。
 「その後なかなか会えなかったので、表彰式の後の写真撮影の時に会って『おめでとう』というふうにものすごく喜んでくれて。まずこのオリンピックの舞台に連れてくるということが第1目標で、その後にメダルを取るというのが最終目標だったので、二つとも日下コーチとともに達成できたことはすごくうれしかったですし、ここまでたくさん支えてくださったので、その恩を返すことができたかなというふうに思いました」

――五輪前に自己ベストを更新してメダルを獲得することを目標とおっしゃっていましたが、その目標についてはいかがでしょうか。
 「メダルを取るという目標を達成することできたので、そこに関してはすごくうれしさはあるんですけど、やはりSPの失敗やもう少しSP、FS通して伸ばせる部分が課題というのもたくさんあったので、そこに関しては世界選手権に持ち越して、世界選手権で自己ベストをSP、FSともに出して、まずはSPで100点を目標として頑張りたいかなというふうに思っています」

――三浦璃来選手と木原龍一選手のりくりゅうペアをはじめとしてフィギュアスケートが盛り上がっていると思いますが、佐藤選手は反響を感じますか。
 「向こうにいる時はそういった日本の状況は全く把握できてなかったので、こちらに来てから本当に反響をものすごく感じましたし、まずは本当にフィギュア全体を通して過去最大のメダル数を獲得できたというのは本当にすごいことだなというふうに感じています。りくりゅうペアの金メダルもこれからのスケート界にものすごく影響力を与えるものだなと思っています」

――反響の大きさを感じることはありますか。
 「ご飯に行った時も結構声を掛けられる場面が多いです。帰ってきてからすぐのファミレスやコンビニでも、店員さんから写真をお願いされたりとか『銅メダルおめでとう』というふうに言ってくださったりして、そこで改めて反響の大きさを感じました」

――五輪でメダルを取るという大きな目標を達成した今、次の目標はありますか。
 「来シーズンはどういった曲にするかとか、まだ決まってはいないんですけど。新しいジャンプ、4回転アクセルを練習したいなというふうに思っているので、まだ一度も練習したことがないので、それを取り組みたいなと思っています」

――4回転アクセルを跳びたいと思う理由はありますか。
 「ずっと跳びたいというふうに思っていたのもあるんですけど、やはり日本で初めて跳びたいなというふうな気持ちもありますし、自分の中で4回転アクセルはジャンプの中でゴールになるのかなと思うので。やはり跳びたいという気持ちはすごく強いです」

――4回転アクセルと5回転ジャンプはどちらが難しいと思いますか。
 「多分人によって違うと思うので、得意不得意があると思いますし。個人的には優真とか佳生(三浦・政経3=目黒日大)なら5回転はあるんじゃないかなと思います。『4回転アクセルよりは5回転の方がいけそう』というふうな話をしていたので。やるかは知らないですけど(笑)。(佐藤選手は5回転ジャンプに挑戦しないのでしょうか。)やらないです(笑)」

――4回転ジャンプを全種類制覇したいという気持ちはありますか。
 「制覇したいなという思いはあります」

――4回転アクセルをプログラムに入れるのでしょうか。
 「プログラムに入れるかまではわからないですけど、入れたいなと思いも同時にありますし、どんなものかわからないのでまずは挑戦するとこからかなと思います」

――次の五輪について考えていますか。
 「この4年をどう過ごすかはまだ決めていないんですけど。まずは来年と再来年やろうかなと思っているので、そこからもう2年やるかどうか決めたいかなと思っています」

――五輪は楽しかったですか。
 「楽しかったんですけど、やはり重圧だったり、4年に一回しかないという緊張感はものすごく感じましたし、あと4年間やるという難しさは同時に感じたので、どうするかは本当に全然決めてないんですけど。でもまた出たいなという気持ちはもちろんあります」

――今シーズンの活躍の要因はどういうところにあると思いますか。
 「やはりケガをした時にたくさんの人に支えていただいたので、そういった人の支えのおかげで今回、今シーズン活躍することができたんだなというふうに改めて感じていますし、本当にあの時の経験はある意味挫折ではあるんですけど。その経験がすごく良かったっていうのもおかしいですけど、今に生きているのかなとは感じています」

――4年前に肩をケガをされていますが、心境としてはどちらの方が辛かったでしょうか。
 「でも前回大会の方が全日本(選手権)でケガをしてしまったので、その悔しさはすごくありました。今回はまだ大事な時期にケガをしてしまったというのはあるんですけど、でもお医者さんの方からもシーズンには間に合うというふうに言ってくださったので、今回よりは前回大会の方が苦しかったかなと思います」

――この4年間はどんな4年間でしたか。
 「本当に一年一年しっかりと積み重ねることができたなと。自分のやるべきことをしっかりとやれた4年間だったなというふうに思っていますし、一年一年段階を踏んで成長することができたなというふうに感じています。結果自体も徐々に伸びてきていたので、その成果をこの4年の最後のオリンピックという舞台で発揮することができたというのがすごくうれしく思います」

――オリンピック期間で一番楽しかったことはありますか。
 「みんなでジェラートとか。(試合が)終わった後に練習拠点に戻ったんですけど、その時に3人でピザを買って部屋で食べてたりとか、のんびり過ごしている時が一番楽しかったかなと思います」

――三浦選手とはお話をされましたか。
 「一緒にゲームしたり、ご飯も食べたりとかして、結構ずっと一緒にいたので。すごく楽しく過ごせていました」

――何のゲームを一番やりましたか。
 「『Among Us』というゲームなんですけど。人狼みたいなやつで。それを日本にいる佳生の友達のスケートの人たちとか、あと明治のスピード(スケート)の佐々木翔夢(政経3=小海)という子と一緒にやったりして遊んでいました」

――佐々木選手とは面識はありましたか。
 「そこまでは面識はなかったんですけど、オリンピック期間で話したりして、そこから結構仲良くなってという感じです」

――佐々木選手はどんな方ですか。
 「すごく面白い選手というか、ノリがいいなって。佳生とずっと喋っているので、すごく仲がいいなと感じました。そういった他競技の選手と交流している姿もいいなと思いましたし、同じ明治としてすごく誇りに思いました」

――大学ではどのような友達が多いですか。
 「基本スポーツ推薦の人が多かったんですけど、1年生の時は一般の子たちとかと朝までボウリングとかしていてすごくエンジョイしました」

――クラスの方でしょうか。
 「そうですね。自分はケガをしていてスケートもできていなかったので、そういったクラス会にも参加できて、今となってはその時の思い出はすごく貴重だったなと改めて感じています。スケートができなかった期間で、しっかりと大学の授業とかに取り組むことができたので、1年生はフル単取ることができて本当になんだかんだすごく楽しかったです」

――大学生活で一番楽しかったことはありますか。
 「みんなでレポートを共有し合って参考にしたり、単位をどうやって取るかみたいなことを頑張って勉強したりしている時が一番楽しかったかなと思います。あとはサウナに行ったり、結構そういったことをしていたので、その時が本当に一番楽しかったなと思います」

――スポーツ推薦以外の方々とも仲が良かったんですね。
 「そうですね。他のクラスはどうかわからないですけど、自分たちのクラスはみんな仲良く過ごしていたかなって。後半は学校にあまり行けていないんですけど(笑)」

――新入生にアドバイスをお願いします。
 「大学は本当に改めて助け合いだなというふうに思いました。1年生の時に一般生や同じスポーツ推薦の友達と助け合いながら単位を取っていたので、改めて感謝したいなと思っていますし、必修の授業もそのおかげで取れたので。本当に新入生の人たちにはそういう助け合いなので、たくさん友達をつくってエンジョイしてほしいなというふうに思っています」

――ありがとうございました。

[杉山瑞稀、野原千聖]