(105)第552号特別インタビュー①/大湊柊翔

2025.12.27

 今回は明大スポーツ第552号で扱った選手や指導陣の、掲載し切れなかったインタビューをお届けします。

 第1回は大湊柊翔(情コミ3=学法石川)のインタビューです。(この取材は12月5日に行われたものです)

――現在のコンディションはいかがですか。
 「MARCH対抗戦が終わってから体調も問題なく、練習も消化できているので、状態はいいと思います」

――MARCH対抗戦の後からはどのような練習をされてきましたか。
 「基本的なジョグやロングランは増えましたが、ポイントの強度としてはMARCH対抗戦前から強度は落とさずにやっています。1人でポイント練習をやることは多くなったのですが、それでも問題なく継続できています」

――新体制はいつ頃から始まっていますか。
 「部の仕組みとして機能してきたのは12月が始まってからです。移行自体は箱根予選(箱根駅伝予選会)の1~2週間後くらいからです。3年生の中でも長距離主将やその他の役割をそこで話し合っていました」

――『長距離主将をやりたい』と考え始めたのはいつ頃ですか。
 「3年生になるタイミングで、長距離主将を見据えて学年リーダーを務めることを決めました。なので3年目に入る頃からです」

――長距離主将をやりたいと思った理由を教えてください。
 「自分の中での主将像、リーダー像が『結果を出すことで背中で引っ張り、後輩たちが(自分の)言動を受け取ってくれる』というものだと考えていて、自分がそういう像になりたいと思いました」

――チームへの意識はこの3年間で変わってきましたか。
 「今の3、4年生は監督が3回変わっていて〝色〟が全く違う3人の監督だったので、戸惑いもありました。一からつくってまたゼロになって、一からつくって、の繰り返しだったので、何かを積み上げてきたというよりは、日々変えてきた感覚ではあります。大志田さん(秀次駅伝監督)が来てくださってからは、私生活・競技面ともに、一つ一つ積み上げていく状態になれたと思います」

――『長距離主将をやりたい』と伝えた時に、大志田駅伝監督と射場雄太朗長距離コーチからはどのような言葉がありましたか。
 「大志田さんとは箱根予選の帰り道に話をして『自分(大湊)しかいない』と言っていただきました。射場さんは役職を決めるにあたって『話がまとまらないようなら俺が入って、ということもできるから。大湊がまずはしっかりまとめて核を作ろう』と声を掛けていただきました」

――3年生からはどのような言葉がありましたか。
 「ミーティングをした時に自分が『主将をやりたい』と改めて伝えて、みんなが『いいんじゃないか』と背中を押してくれたので、ありがたいなと感じました」

――鬼塚選手(大翔・政経3=学法石川)が長距離主務を務められることも発表されました。
 「今までの長距離主務や他大学を見ても分かる通り、競技ができないくらい忙しい役職ではあります。ただ、自分たちは『みんなで最後まで走りたい』という気持ちもあります。なので今回の長距離主務はなるべく負担を減らして、鬼塚も完全に走らない形はとりません。少なからず外部との連携は任せることにはなりますが、他の部分で補えるものは補っていきます。長距離主務がなかなか決まらない中で立候補してくれたことは本当にありがたいと感じていますし、自分は鬼塚と高校から一緒で、いる期間も(3年生の中で)一番長いので、ものすごく信頼して、安心して任せられています」

――綾選手(一輝・理工3=八千代松陰)が副主将を務められることも、立候補で決まりましたか。
 「石堂(壮真・政経3=世羅)も副主将をやりたいと言っていて、ミーティングの時に綾と石堂から決意やどうやっていきたいか、という話を聞いて、話し合って決まりました。もちろんどちらが副主将になってもしっかりとやっていけますし、石堂にもそうですが、綾にはチームとしてより求めるものが大きいので、そういった部分ではいい形なのではないかと思っています」

――3年生の中で『こういうチームにしていこう』という話はされていますか。
 「今年度は本当に白田さん(藤子主務)が全部やってくださっていたので、その負担を分散しなければいけません。『一人一人が『誰かがやってくれればいい』という気持ちでいるのは、もう今年度はできない』ということは自分からも伝えました。みんなも最高学年になるにつれて自覚なども芽生えてくれているのはありがたいですし、チームとしてもいいのではないかと思っています。自分たちの学年は一人一人がカバーしていこう、という話をしています」

――次年度のチーム状況について、現在はどのように考えていますか。
 「結果でしか、自分たちは周りに示すことができないと思っています。もちろん寮運営もそうですが、試合の結果が大事なので〝勝ちを意識する集団〟である必要があると思っています。スピードや持ちタイム、他大との合計タイム差を意識するというよりは、狙った試合、勝たなきゃいけない試合でしっかりとパフォーマンスを発揮することが、来年度のチームにはすごく重要になってくると思います」

――新体制に移行するにあたって、4年生からはどのようなお話がありますか。
 「『早く新体制になるのは申し訳ない、大変になる』と伝えてくださりました。自分たち(大湊)の代で箱根駅伝(箱根)に復活することは大事になる、再来年度のチームを考えるとそれは絶対条件になってくる、というようないい意味でプレッシャーもかけていただきました(笑)。でも一番は『申し訳ない』という言葉をいただいて、役割の移行などをしっかりサポートしてくださっています」

――この1年間で何が変わったと感じていますか。
 「やはり私生活はガラリと変わりました。私生活を正す部分もそうですが、自分たちが競技により打ち込める環境にすごく変わったと感じています。私生活は『当たり前のことを当たり前にやる』ことは、当たり前のこととして常々自分は意識していたので、特に変わったことはないと思っています。実際に大志田さんもメディアなどで『キツいことをするのではなくて、ただ戻す』と言っていますし、そういった意味で変化を感じている部分は、競技に打ち込める環境です。日曜日の夜と月曜日は寮のご飯が出ないのですが『しっかりとご飯を食べる』ということで毎週お弁当を用意してくださって、月曜日の朝夜もしっかりと食べられるようにしていただきました。トレーニング器具やケアも充実しましたし、競技に打ち込める環境は大志田さんが来てくださったことで、より充実したと思います」

――『勝ちを意識できるチーム』を目指す上で、具体的にどのように後輩に働きかけていこうと考えていますか。
 「常日頃から大会後の分析という面で『自分の走りはどうだったか、次はどうしなきゃいけないか』ということを口頭で聞くことがあります。また月に1回の目標シートなども、今まではあやふやになっていたのでそのフィードバックもやっていきます。明確な目標を立てることが、同じ失敗を繰り返さないことにもつながってくると思います。自分が今何をしなきゃいけないか、今の自分の行動がどこにつながってくるかを明確にすることは、勝ちを意識していく中で大切になってきます。そういう仕組み作りや声掛けを行っています」

――個人としてもラストイヤーとなりますが、記録などは狙っていこうと考えていますか。
 「27分台も明確に見えてきたとは思いますが、タイムだけ持っていても意味がないとも考えています。個人として3年間、春のトラックシーズンはあまり良くなくて、関カレ(関東学生対校選手権)も出たことがありません。主要な大会、チームとして狙っていかなければいけない大会で、しっかり結果もタイムも出していきたいです」

――長距離主将とエースの両方を担うことになりますが、プレッシャーなどは感じていますか。
 「なくはないです。それでも他の3年生が新体制になって本当に頼もしくなって、みんなでやろうって意識が芽生えてくれたので、同期が自分の負担をカバーしてくれると思えています。プレッシャーを背負わなければいけない部分は自分でしっかり背負って、それ以外の場面ではみんなにカバーしてもらう。弱音を吐ける場面は吐いていこうかな、という感じです(笑)」

――学連で走ることによって、チームにどのような効果をもたらしたいと考えていますか。
 「箱根を走ったことがあるのは綾と自分しかいないので、みんな箱根に対していい意味で遠い場所だと思ってしまっていると感じています。自分が走った区間の中で結果を出すことで、みんなに『自分たちも戦える場所』だと思ってほしいです。基本的にはみんな自分と同じ練習をしているということも踏まえて、自信につなげてほしいです」

――個人として箱根を走るのは2回目となりますが、そのような感覚はありますか。
 「2回目というよりは『当たり前ではない場所』という感覚が強いです。出る形も過ごし方も、1年目と全く違うので、2回目の意識は全くないです。本当に全く新しい、初めて箱根に臨むくらいの気持ちでいます。また箱根という自分が追いかけてきた夢の舞台は、1回走ったからといって変わる場所ではないなと感じています。昨年度(明大として)落ちて、今年度は学連(関東学生連合チーム)でチャンスをもらえるかもしれない。そう考えると、他大にとっては年間のスケジュールに組み込まれている大会ですが、自分たちからしたら当たり前の場所じゃないということを痛感しています」

――長距離主将としての意気込みを教えてください。
 「全日本大学駅伝、箱根の出場を必ず達成するために、1年間やっていきます。まず自分が長距離主将として先頭に立って結果を出すことで、後輩は自分の言動を汲み取って、後輩自身の競技や私生活への意識を変えてくれる、より納得感を持って動いてくれると信じています。自分の私生活もそうですが、まずは自分がしたいこと、やり遂げたいことを体現して、勝てるように。〝明治の勝てる象徴〟になれたらいいなと思います」

――学連で走ることについての意気込みを教えてください。
 「今年度は出走することにも意味はありますが、それだけではなく、任された区間でどの位置で渡されても自分の走りを貫いて、その区間の中で上位に食い込んでいきたいです」

――ありがとうございました。

[春田麻衣]