(44)インカレ直前インタビュー/池田頼人学生審判

2025.12.05

 12月6日より全日本選手権大会(インカレ)がついに幕を開ける。今季ここまで無冠と苦しむ明大にとってタイトル奪取のラストチャンス。初戦から北海道学生リーグ無敗優勝を果たした札幌大とのマッチアップとなっており、熱戦が予想される。今季初となる全国の舞台で〝貫徹〟を胸に頂に向けた挑戦が今、始まる。

 今回は池田頼人学生審判(文4=啓明学園)のインタビューをお届けします。

――この4年間を振り返っていかがでしたか。
 「自分自身の考え方や人間性の部分はとても変化したと思います。サッカーを通して人間性を育んでいただいたなと感じていて、1年生の頃は何をすればいいのかわからない状況だったのですが、学年が上がっていくごとに何のためにやっているのかなど発言の裏をくみ取って相手が伝えたいことや物事の本質を捉えられるようになったと思っています」

――学生審判の役割や、やりがいについて教えてください。
 「学生審判は練習試合やリーグ戦の仕事の割り振りがあり、そこで審判や副審をやらせていただきました。やりがいについては、僕自身4年間でいろいろなリーグ戦の試合やアミノもやらせていただいて、たくさんの他大学の人と知り合うことができたのは大きな財産だなと思っています。4年生になるといろいろなチームの方々に名前などを覚えていただいて、僕のことも気にかけてくださったり『明治って良いよね』と言っていただけることも多々あり、やりがいでもありますが今までの先輩方が築いてきた何事に対しても全力で取り組むというのが今の自分に響いているなと思います」

――将来、社会科の教員になると部員ブログに書いていましたがなりたいと思ったきっかけを教えてください。
 「僕はサッカーがとても好きで幼稚園の時からやっていて今は審判をやっていますが、結局サッカーの審判だけでは現実的に見て生活していけないなと思いました。それで今高校の方でサッカーの指導者をしているのですが、そういう風にサッカーに携わっていくにはどうしたらいいかなと模索した結果、教員をやりながらサッカーに携わっていきたいと思いが強くなり教員になることを決めました」

――部活と教職との両立はいかがでしたか。
 「僕はリーグ戦中の5、6月に教育実習に行きました。(明大サッカー部は)ホームゲームに力を入れている中で、自分がいなくて穴を開けてしまったなという思いはあったのですが、監督さんの方からも『自分の夢があるなら、そこに対してすごい頑張ってほしい』とお声がけをいただきまして気にすることなくできたなと思います。教職の授業があるために科目数が増えたり実習に行かなければならないことが多かったので部活動との両立が大変だなと感じることはありましたが、そこをうまく両立できるようになれば、人としてもっと成長できるなと考え方を変えていきました。それから次第にすごくやりがいのある教職課程と部活動の両立ができたと思っています」

――指導者の方々への思いを教えてください。
 「栗田前監督、池上監督ともに僕たちのことをとても気にかけてくださって練習試合やインディペンデンスリーグで審判を務めた時には試合後にアドバイスしてくださることもありました。試合中は監督が熱くなることもあるのですが、試合が終わったら切り替えて親身に話してくださりました。特に栗田監督は様々な経験をお持ちの方ですし、池上監督や榎本コーチ、小川コーチはプロの舞台で活躍された方なので、自分たちの経験を交えて話をしてくださり考え方の幅が広がったなと感じています。自分は審判なので審判同士の仲はすごくいいのですが、選手からの意見を聞くことがあんまりないので選手側からの考え方は新しい視点を得られますし指導者の方々には感謝しかないです」

――明大では唯一の学生審判ですが、どなたと取り組むことが多くありましたか。
 「そうですね、例えばホームゲームの運営を一緒にやっています。先日行われた西が丘(味の素フィールド西が丘)の試合では、大型のモニタービジョンの操作など審判だけではなく競技運営の部分で携わることが多くなっています。そこでマネジャーや選手と一緒に取り組むことも多くあり4年生になってからはコミュニケーションを取ることを意識していて、相手にどう簡潔に伝えるかや、僕は怒れないタイプの人間なので誰かがミスをした時に親身に寄り添いながらコミュニケーションを取っていました。ホームゲームであれば、来ていただいたお客さんに満足して帰ってほしいなと思っているので、今日来て良かったと思っていただくためにどう取り組むかは日々の課題で全員がチーム一丸となって取り組む必要があったので自分は人一倍の熱量を持ってやってきました」

――後輩のマネジャーや選手に向けての思いを教えてください。
 「今年もたくさんの企画をやりましたが、筑波大学さんや流通経済大学さんにはまだまだ力及ばないなと思いました。八幡山をどのように盛り上げるか、大学サッカーや大学スポーツそのものの魅力になれるような企画をやってほしいですし、試行錯誤しながら競技の面白さだけではなく、いつ来ても楽しい試合をつくってほしいなと思っています」

――先輩方への思いを教えてください。
 「選手やマネージャーの先輩方からチーム愛や何事に対しても全力で取り組む姿勢を勉強させてもらいました。みんな明治やサッカーが好きで先輩方から熱量は1年生から3年生までの間ですごく得ることができたので、その得たものを自分の中でうまくかみ砕いて4年生での活動にうまく落とし込めました」

――同期への思いを教えてください。
 「僕の同期は個性的な人が多くて、例えば高橋楓(政経4=鹿島アントラーズUー18)は誰に対しても親しくコミュニケーションを取ることができたり、主将の島野(怜・法4=仙台育英)も試合では真面目だしストイックですが、オフの時はすごく面白い人間です。同期のみんなに一番は、ありがとうと伝えたいです。マネージャーでも選手でもなく審判というどういうことをしているのか分かりにくい役割人も受け入れてみんなの輪の中に入れてくれたので本当に感謝しています」

――特に仲のいい同期の方はいらっしゃいますか。
 「高橋楓や小林亮太(文4=ジュビロ磐田U―18)とはよく直接話したりLINEでやり取りします。オフの時は、学年会をやって、みんなの仲を深めたりしているのですごく仲良くやらせてもらっています」

――インカレで期待をしている選手はいますか。 
 「僕が期待してる選手は芝田玲選手(文2=青森山田)です。芝田は僕と同じアジア史専攻でしてゼミの先生から普段の様子はうかがったりしていました。このつながりもあって、芝田とはすごく仲良くさせてもらっているのでそこを含めて期待しています。また、同期で言えば林晴己(政経4=高川学園)、真鍋隼虎(政経4=名古屋グランパスUー18)には特に期待しています。彼らの持ち前のドリブルや得点力はチームに不可欠ですし、インカレ勝ち進むのが難しいのでチームを引っ張っていってほしいです。4年生にとっては最後の大会なので、すごく頑張ってほしいなと思いますし、後輩たちにとっては1年間の集大成で池上監督との1シーズンが終わるので、そこへの情熱や応援を含めて全力でやってほしいなと思います」

――芝田選手は今季後半から活躍が目立ちますが、変化したなと思う部分はありますか。
 「芝田は最初の頃、人間性の部分で少し難しいなと思う部分があったのですが、そこを自分なり改善したり、先輩からのアドバイスを受けて頑張っています。練習試合でも結果を出していてサッカーへの情熱や勝利へのこだわりは多分2年生の中では人一倍強いと思いますしそこが池上さんにも伝わってスタメン起用につながっていると思います」

――サッカーを続けてられた原動力は何だと思いますか。
 「僕の原動力はサッカーが好きという思いです。高校時代はあんまり試合出れていなかった時期があったのですが、それでも普段の練習やサッカーを見ることは好きですしサッカーは面白いなと思っていました。僕の人生の大半はサッカーをやっていたので、そこに対して中途半端に終わるのが嫌な性格なのでやるならとことんやろうと思ってきたのが今までのそして、今も僕の原動力になっています」

――明大を進学先に選んだのもサッカーがあったからですか。
 「僕は自己推薦で明治に入ったのですが、高校での部活を引退してから何かしらの形でサッカーに携わりたいなと思っていました。それで大学サッカーが強いというのと、自分は歴史を勉強したいと思っていたのでそこを加味したら明治が自分に合った大学だなと思いました。2021年のインカレは1試合だけ見に行っていてすごく面白いなと思いましたし、その時応援はなかったのですが、情熱のあるプレーをしている選手がたくさんいて明治にしようという一つの決め手になりました」

――明大サッカー部に入部してみて、入部前とのギャップはありましたか。
 「みんなプロになるためにサッカーをやっていると最初は思っていたのですが、実際に入部してみるとプロの育成の場所ではなく人間形成の場であると栗田さんは何度もおっしゃっていましたし、先輩方からも教わってきたのでみんなプロを目指しているのではなくいい人間になることがサッカー選手への第一歩だなと感じました。ただサッカーをしているだけではないことにすごく驚きましたし入部するまでの自分とは考え方が全く違ったので、ギャップでもありますし、この場にいることができてとても良かったなと思います」

――インカレではどのようにチームに貢献していきたいですか。
 「僕は応援という立場でチームを支えることになるので、チーム愛は誰よりも強いと思うので、誰よりも声を出して熱いチーム愛で大学サッカー日本一に導いていきたいです」

[早坂春佑]

池田 頼人(いけだ・らいと)文4、啓明学園高