(7)全日本大学選手権(インカレ)事前インタビュー/針間大知「悔いなくやり切ることが一番」
全日本大学選手権(インカレ)がついに開幕する。今年度は、春に関東大学選手権で3位、秋季リーグ戦でシード権内の7位と飛躍を遂げた明大。今回は秋季リーグ戦の振り返りと、インカレに挑む選手たちの意気込みを伺った。
第7回は針間大知(情コミ4=福岡大大濠)のインタビューです。(この取材は11月27日に電話にて行われたものです)
――現在のチームの雰囲気を教えてください。
「リーグ戦7位という結果で、シードを取るという目標が達成できました。初戦を勝てば我々の今シーズンの目標を達成できる中で、そこからベスト4も狙える位置に入れていると思っています。まずは初戦にフォーカスしてやるということをみんなで話して、先を見すぎずやっていくことが一番大事になってくるかなと思っています」
――初戦の相手は明大戦が連戦となりますが、明大はシードのため初戦となります。初戦の入り方など、どのようなことを意識して臨みたいですか。
「インカレは一発勝負で、どこまで強度を上げられるかにかかっていると思います。その中でも入りの部分、初戦第1Qがどれだけ強度高く入れるかがインカレ通しての入りにもなります。本当にどれだけ高くできるかというところだと思います」
――関東大学選手権で3位、秋季リーグ戦(リーグ戦)で7位、近年と比べてここまで好成績を残しています。
「スプリング(関東大学選手権)は少しできすぎた結果にはなったので、リーグ戦は少し浮き足立ったりするかもという不安な面もありました。でも全員そこは『春は春』というふうにしっかり切り替えてリーグ戦に臨めました。当初の目標通りの結果も達成できたので、そこは本当に良かったなと思います」
――リーグ戦では、針間選手はチームトップの244点を記録してリーグ全体で16位の好スタッツでした。その分、スコアラーとして相手チームからのマークは厳しいものがあったと思いますが、そこはどのように意識されていましたか。
「逆にリーグの序盤の方が自分的には思ったようにできないシーンが多かったなと思っています。相手からのプレッシャーというよりも、自分自身の疲労の問題だとかが多かったですが、リーグの途中でトレーニングのやり方も工夫しました。連戦がある中でも最後までやり切ることにシフトしました。マークに関しては、実際対策されていても決め切る力が自分自身にあると思っているので、そこはあまり相手のマークとかは気にしていないですね」
――話の中でありました「トレーニングの工夫」とは具体的にどのようなものか教えてください。
「下半身のメニューを取り入れました。足が持たないというのが明確にあったので」
――現在のコンディションはいかがでしょうか。
「リーグ戦が終わってまだ1カ月も経っていないぐらいで、疲労が全てとれているわけではないですが、その中でもキレなどはすごく仕上がっていると思っています」
――今年度、印象的な試合を挙げるならどの試合になりますか。
「リーグの試合の中で一番楽しかった試合は、2巡目の早大戦ですね。ダブルオーバータイムというのもありますが、うちのチームはあまりスコアできない印象が、どこが見てもあると思っていて。守り合いのバスケをするチームなんですけど。あの時は殴り合いして、点を取って取られてというバスケで、自分たちのチームのコンセプトには合っていない部分もあったかもしれないんですけど、すごく楽しかった試合ではありますね」
――チームとしては早大が印象的とのことですが、個人としては印象的な選手はおられましたか。
「個人としては1on1でやられた選手になると、それも早大ですね(笑)。MVPを取った三浦健一選手だったり、岩屋頼選手がシンプルにバスケットがうまいなと感じましたね」
――明大の戦い方はディフェンスで耐えてロースコアに持ち込んで勝つ、という展開だと思います。ディフェンスに関してはチームとして自信がついてきていますか。
「インカレ前も2試合ほど練習試合した中でもしっかりディフェンスで相手を抑えるというのはできているので、そこは自信を持っています」
――リーグ戦では早大が頭一つ抜けていましたが、全体としてかなり混戦でした。例年とは少し違ったリーグ戦だったと思いますが、いかがでしたか。
「明大は上位に対しても倒せるポテンシャルはあるのと同時に、下位のチームにも簡単に負けてしまったなという試合もありました。波が激しいチームだなとすごく感じていて。スプリングでも3位になる力もあるわけですし、インカレでどれだけ戦えるかですね」
――神大は最終順位こそ明大より下位でしたが、リーグ戦では2連敗を喫しました。苦手意識などはあるのでしょうか。
「スプリングではベスト8をかけて戦って勝ってはいるんですけど、リーグの2試合は負けてしまいました。リーグ戦のような長く試合期間が続く試合の中で、神大は本当にムラがなく常にアグレッシブに、ハードにバスケットをしてくるチームですね。そういうチームとやった時に、その強度の高さにやられてしまったなと感じています」
――留学生がいるチームに対しては、フィジカルの差を感じさせないような戦いぶりが目立ちました。留学生がいるチームに対しての戦い方はいかがでしたか。
「去年までは留学生のいるチームとの試合で、インサイドでボールを持たれた時にダブルチームでというプランでやっていて、今年もそういう練習を少しは入れてはいたんですけど、鬼澤(伸太朗・国際3=福岡大大濠)や山岸(優介・政経4=洛南)が1人で留学生を守れます。どうしても1人に対して2人いってしまうと、外が頑張らないといけずやられてしまうことが今まですごく多かったです。今年は守り切れていて、インサイド陣が留学生を守れるようになったことが大きいなと思います」
――連敗中もチームの雰囲気が明るく保たれているように見えました。
「今までほど崩れることはないなという印象はあります。それでも連敗が続くと下向いてきてしまったりすることもありました」
――明るさの中心には誰がいるのでしょうか。
「やはり4年生ですかね。リーグ戦では1巡目最後の神大戦、大東大戦とあまり良くない終わり方をしていました。その中で、1巡目最後の試合が終わった後に4年生でミーティングをして『しっかり4年生が声を出してチームを盛り上げる、試合に出るだけではなくて』というところを大事にしていこうと話をしました。2巡目の頭も負けて4連敗はしたんですけど、しっかりその間も4年生が盛り上げ続けたことが、引きずらなかった要因かなと思っています」
――ここからは4年間を振り返っていただきます。最後のインカレを迎える今の気持ちを聞かせてください。
「4年間の集大成で、あまり最後という感じはしません。でも4年生とも話す中で、楽しんでやりたいなっていうのは一番にありました」
――入替戦も経験し、苦しい時期も多く経験したと思います。今年度はどんなチーム作りをしてきましたか。
「ここが一番4年生で話し合ったことで、練習から強度を上げて、できない選手は出すくらいの厳しさをチームの中につくってきました。選手たちもプライドはありますし、簡単に聞いてくれないというのもあります。その中でどれだけ楽しくやれるかも意識してきました」
――4年間で印象的だったシーンを教えてください。
「個人的には2年生の時のリーグ戦の1試合目です。早大との試合で、試合している中で『すごく楽しいな』と感じました。その試合の第3Q、第4Qあたり、本当に楽しくて『プロでやっていこう』と思いました。自分のキャリアを決めたという意味で、その試合っていうのはすごい印象に残っています」
――「楽しい」というのはどういう楽しさでしょうか。
「なんて言うんですかね(笑)。バスケじゃないと感じられない、ひりついた感覚ですかね。『それがないと生きていけないな』って」
――昨年度卒業されました伊東治輝さん(令7政経卒・現FE名古屋)や平松克樹さん(令7情コミ卒・現FE名古屋)とはプロの世界についてお話を聞いたりされますか。
「この間もバイウィークで克樹さんも治輝さんも(東京に)来ていて、ご飯に行って話をしましたね」
――プロの世界の話をされましたか。
「そうですね。どの選手がすごいかとか、あとはプロに行ってやらなければいけない最低限のこと。こういうことできたらいいよねという話はしてもらいました」
――少し話はそれますが、リーグ戦最終節には越田大翔さん(令7政経卒)や小河原幹太さん(令7営卒)、結城智史さん(令6営卒)などOBの方も応援に来ておられました。何かお話はされましたか。
「越田、小河原とは将来どうするの、とか(笑)。そんな話をして。智史とはよく遊びに行ったりもします。智史が見に来た試合は全部負けているので、今日も負けたねみたいな話もします(笑)」
――高校時代は福岡大大濠高校で全国優勝も経験されました。高校時代のインタビューでは「自分の仕事は3Pシュート」だとおっしゃっていて、そこだけは誰にも負けないという強い意思を持っている印象がありました。この4年間を振り返って、大学でのご自身のプレースタイルに変化などありましたか。
「自分の方向性がこの4年間で明確になりました。高校の頃は片峯先生にもスコアラーという役割を与えていただいて、どんなに泥くさくてもいいから点を取ることにこだわれと言っていただいて。スコアラーという面を伸ばしていったんですけど、大学に入って1、2年生の頃はディフェンスでチームに貢献していきたいなというのが自分の中でありました。ディフェンスを磨いて、それだけは負けないというレベルまで上げました。ディフェンスもやるし、オフェンスもすることをツーウェイプレーヤーと言うんですけど、これをハイレベルでこなすプレーヤーを大学で目指してきました。高校時代のスコアラーだけでなく、ディフェンスも、というのが大学に入って変わったことですね」
――大学卒業後、プロでのプレーを想定すると、どんなプレーヤーになっていきたいですか。
「プロに行ったらまずはコンボガード。それこそ克樹さんとも少し話はして、最初は本当にディフェンスをどれだけできるか。なのでオフェンスよりも、まずはディフェンスで価値を証明していく必要があるなというのは自分自身でも思っています」
――最後にインカレについて改めてお伺いしたいと思います。改めて、どのように臨みたいですか。
「4年間の集大成で、この戦いはやはり来年度以降にも必ずつながってくると思っていて。ずっとベスト16や32で終わってしまっていたので、やっぱベスト8に入ることでインカレで優勝するということが一気に現実的になってきます。今年勝つことは非常に重要だと思っています。そういった意味でも最後のインカレ、絶対に勝ちたいなと思っています」
――「来年以降」という言葉が出ましたが、特に期待している選手はいますか。
「下級生の頃から試合に出てる選手が多くて。高校の後輩でもある湧川(裕斗・政経1=福岡大大濠)はすごく期待していますね」
――高校の後輩ということで、福岡大大濠高校の出身者も年々増えていますね。
「大濠のメンバーで出たりすると意図が明確に伝わりますね。意図が分かった上でバスケットをできてるなという感じはあります」
――高校時代、福岡大大濠高の片峯先生からの言葉で印象に残っているものはありますか。
「一番残ってることは『主張と尊重』という言葉です。主張と尊重のバランスは難しいんですけど、チームのために自分の役割を考えた上で、どこまで主張していくのか。それと、どこまで相手の要求を尊重してできるかという、このバランスを大学に入ってからも考えながらやってきましたね。(現在も高校時代の縁は続いていますか。)自分たちの学年は本当に同期が仲良くてすごく会う機会も多いです」
――明大の得点源は針間選手、塚田大聖選手(政経3=土浦日大)になると思います。どのように勝ち進みますか。
「ディフェンスがまず勝負になってくると思います。関東のチームは何回も試合しているので守り方や攻め方もある程度は分かるんですけど、関西地区のチームであったり東海地区のチームなど、普段やっていない選手やチームに対してもどこまでできるかですね。そこの難しさはあると思うんですけど、ディフェンスで守ることに関しては関係なくできることだと思うので。そういう意味でも、ディフェンスをチーム全体で遂行できるようにしていきたいと思います」
――インカレでのチームの目標と個人の目標を教えてください。
「当初話したチームの目標はベスト8。これは必ず達成して、ベスト8のその先は行けるとこまで行こうと話しています。その先は名学大や天理大が有力だと思いますが、国士大もいて。国士大は入替戦で筑波大を倒していて、准平(岩下)たちを倒しているので、上がって戦いたいです」
――今年度の入替戦は激しい戦いが多かったと思います。ご覧になっていかがでしたか。
「入替戦の3試合とも全部見に行きました。明大も昨年度出ていて、難しさはすごい分かっていて、やはり独特な空気感があります」
――筑波大にも高校時代の同期の選手がいらっしゃいます。
「『プロの舞台に先に行っているから』みたいなことを言われました」
――最後になりますが、インカレに向けての意気込みをお願いします。
「4年生は集大成になります。本当に悔いなくやり切ることが一番です。悔いなく楽しくやって、それにいい結果がついてくればいいなと思っています」
――ありがとうございました。
[橋本太陽]
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