(8)インカレ事後インタビュー 青砥直輝
全日本学生選手権(インカレ)で、創部87年目にして初の日本一に輝いた明大。今大会は1回戦から決勝まで、どの試合も息をのむような接戦が続いた。インカレ4連覇中の中大には土壇場での逆転勝利、さらに今年の関東学生春季、秋季1部リーグ戦を制した国士大にも終盤に意地を見せて勝利するなど、強豪相手に真っ向から挑み続けた。2年連続で初戦敗退という悔しさを胸に臨んだ今大会で、ついに悲願の頂点へ。今回は歴史的快挙を成し遂げた10人の選手の声をお届けする。
第8回は青砥直輝(商1=駿台甲府)のインタビューをお送りします。
(この取材は11月14日に行われたものです)
――まずはインカレで優勝した率直な気持ちを教えてください。
「1年生の間からこんなに出られるとは思っていなかったので、自分でながらも優勝までいけたというのは素直にうれしかったです」
――決勝戦はどんな気持ちで臨みましたか。
「相手はすごくインパクトのある選手はいなかったんですけど、それでも決勝まで来ているということはすごいチーム力があるんだろうなと思うので、集中して臨まないといけないなと思っていました」
――優勝が決まった瞬間の気持ちを教えてください。
「うれしかったんですけど、実感が湧いてなかったです。高校で優勝することができて、大学でもこんなにすぐ日本一を取れるとは思っていなかったので」
――インカレを通して5試合戦った形にはなると思いますが、個人的にどの試合が一番シビアだったのでしょうか。
「国士大戦もシビアだったんですけど、まずは2回戦の中大戦かなと思っています。やっぱりチームでその試合に向けてずっと準備してきたので、そこを乗り越えられたのが、良かったかなと思います」
――後半、試合終了間際で同点の場面に7メートルスロー(7メートル)をもらって、勝利を決定づけるシュートがあったと思います。終盤のあの場面で、打つ前はどんな心境でしたか。
「『この1球を外したら4年生を引退させてしまうかもしれない』というくらいの気持ちで考えていました。その中で、とにかく〝打つべきところで、ちゃんとしたシュートを打ち切る〟ということを意識して臨みました」
――リーグ戦では崎前選手(風諒・政経3=北陸)が7メートルを打つ機会が多かったと思いますが、インカレでは青砥選手が任されていました。7メートルを任された経緯があれば教えてください。
「そうですね。1週間前に日本選手権の関東予選(日本選手権関東ブロック予選)があって、その試合ではずっと自分が任されていました。ここ最近、7メートルの成功率が自分の方が良かったということで、インカレでも任せてもらっていました」
――関東学生秋季1部リーグ戦(秋リーグ)は途中出場が多かった中で、インカレまでの1カ月をどのような意識で過ごしていたか教えてください。
「秋リーグでは春季リーグ戦に比べてプレータイムが少なかったので、もっとチームに貢献したいという気持ちで1カ月間頑張っていました。インカレでも決勝以外は途中出場ではあったんですけど、しっかりチームに貢献できたので良かったかなと思います」
――秋リーグでは国士大に1点差で負けていて、ある種の因縁もある相手だったと思います。どのような気持ちで臨みましたか。
「秋リーグで負けているということもあって、あと国士舘は春秋も優勝していて、インカレでも優勝されたら完全制覇されてしまうので、絶対に優勝させたくないという気持ちが強かったです。秋リーグで負けた分、しっかりやり返したいという思いもあって、かなり気合を入れて臨むことができました」
――自分の中で『この試合が一番ベストパフォーマンスだった』と思う試合はありますか。
「中大戦ですかね」
――具体的にどのような部分が良かったと思いますか。
「後半ずっとリードされる展開が多くて、攻撃が詰まりそうだなと思っていたんですけど、自分はあまり詰まらず、苦しい時間帯でもディフェンスを崩したり、自分で決め切ったりできました。しんどい時にしっかり決め切れたのが、中大戦の一番良かったところだと思います」
――向谷内選手(海都・営3=氷見)が『青砥はオフェンスだけじゃなくディフェンスもすごい』と言っていました。ディフェンスで意識していることがあれば教えてください。
「え、ディフェンスすごいなんて言ってました?(笑)。意識していることは、低く構えると隣に影響を与えてしまうので、隣の向谷内さんとかに負担がかからないよう、できるだけ高く出て当たりにいくことを意識しています」
――インカレを通して、いろんな選手が 『4年生のために』 と話していましたが、青砥選手にとって4年生の4人はどんな存在でしたか。
「自分は春リーグから結構出させてもらっていて、思い切ったプレーをしてミスもあったんですけど、4年生は誰ひとり文句を言わず、いつも励ましてくれました。下級生がやりやすい環境をつくってくれて、本当に優しいというか、チームを思ってくれる先輩たちでした」
――インカレでは同期の坂本選手(京介・営1=洛北)や熊谷(継・農1=藤代紫水)選手の活躍もありましたが、横で見ていてどのように感じましたか。
「秋リーグでは熊谷の方がたくさん試合に出ていて、自分も負けたくないしもっと出たいという気持ちになって、モチベーションになりました。刺激を受けられるありがたい存在で、いい同期だなと思います」
――今年度のキャプテンはどのような存在でしたか。
「練習が緩い空気になってしまう時もあるんですけど、そういうときにしっかり締めてくれたり、下級生がプレーしやすいように声を掛けてくれたりしました。キャプテンのおかげで自分たちもプレーできていたと思います」
――今年度のチームの良さはどんなところにあると思いますか。
「まず全学年の仲が良くて、コミュニケーションが取りやすいところです。あとは試合に出ているメンバーに限らず、どのポジションにも替えの選手がいるという層の厚さが一番の強さだと思います」
――同じポジションだと4年生の近藤選手(佑樹・農4=春日丘)もいましたが、青砥選手から見て近藤選手のすごさはどのようなところですか。
「やっぱりシュート力がえぐいです。自分では打てないようなところから打てますし、〝そこで打つ!?〟みたいな場面でも決め切ります。筋力もすごくて、シュート力は本当に尊敬しています」
――最後になりますが、来年度はインカレ優勝校としてリーグ戦やインカレに臨むことになります。その点について思うことがあれば教えてください。
「インカレで優勝して“追われる立場”になるというか、相手はチャレンジャーとしてすごい勢いで来ると思います。その中で受け身にならず、来年もしっかり勝ち切れるように頑張りたいです」
――ありがとうございました。
[堀口心遥]
◆青砥 直輝(あおと・なおき)商1、駿台甲府高。177センチ、74キロ
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