(7)インカレ事後インタビュー 向谷内海都

2025.12.02

 全日本学生選手権(インカレ)で、創部87年目にして初の日本一に輝いた明大。今大会は1回戦から決勝まで、どの試合も息をのむような接戦が続いた。インカレ4連覇中の中大には土壇場での逆転勝利、さらに今年の関東学生春季、秋季1部リーグ戦を制した国士大にも終盤に意地を見せて勝利するなど、強豪相手に真っ向から挑み続けた。2年連続で初戦敗退という悔しさを胸に臨んだ今大会で、ついに悲願の頂点へ。今回は歴史的快挙を成し遂げた10人の選手の声をお届けする。

第7回は向谷内海都(営3=氷見)をのインタビューをお送りします。

(この取材は11月12日に行われたものです)

――創部史上初という歴史に名を刻んだ形になると思いますが、自分が現役の立場で達成できた点に関してはいかがですか。
 「うれしいです。いや、うれしいです。何も思いつきません」

――昨年度、一昨年度と1回戦敗退していた中での今年度だったと思いますが、その中で5試合を戦って優勝できたことについて、1試合重ねるごとにどのような心境でしたか。
 「インカレは僕が入学してからは初戦敗退しかしていなかったので、想像よりも1試合1試合きつくて。思っていたよりもきつく、やはりチーム力といいますか、1年生が頑張ってくれた感じです」

――決勝戦、振り返ってどんな気持ちで臨みましたか。
 「やはり緊張はしていましたが、前の試合が接戦で、中大と国士大を倒したということが自信になっていました。緊張はしていましたが、いいプレーができたなと思います」

――決勝戦は序盤から点を重ねて、前半だけ見たら9連続得点もあったと思いますが、振り返っていかがですか。
 「9連続得点できたのも、正直、試合内容だけで見たらそこまで離れていなくてもおかしくなかったのですが、前の試合の接戦を勝ち抜いた自信があったことと、大会を通してチームが成長していたので、それができたのかなと思います」

――決勝戦はオフェンスが苦しい時間帯でもディフェンスが光っていた印象でした。ディフェンス面は振り返ってどうですか。
 「外種子田主将(渓汰・商4=国分)を中心に、前の試合でも守り抜けたことが自信につながっていました。前日に確認したことがしっかりできていて、作戦がはまったことも大きかったです」

――どのような作戦でしたか。
 「まずは逆サイドから勝負することでした。右利きの逆サイドを勝負にすることと、背の高い左利きのバックプレーヤーにはしっかりと当たることで、他の選手はある程度なら打たせてもいいという感じでした。良かったのは、決勝で4番の選手(倉本悠汰・関西学大)の調子が前日に話していたよりも良く、そこをすぐ打たせないよう、試合中に修正できたことです」

――国士大戦は最後までリードされていましたが、どういうイメージで臨んでいましたか。
 「国士大は立体の1―5ディフェンスなので、違った攻め方を確認していました。リーグ戦ではシュートミスが多く、GKの松下幸佑(国士大)に止められることが多かったので、しっかりシュートを打ち切ることと、(相手の)オフェンスがバックプレーヤー3人の右利きで全員打てるので、そこに対応する感じでした」

――大会を通してポストを使う場面が少なかった印象でしたが、戦略ですか、それともマークが厳しかったのですか。
 
「単純に守られていただけです。相手ディフェンスの会話が聞こえて『栃尾(佑・法3=北陸)からポストのパス警戒』というようなことを言っていて、佑からのパスはどのチームも警戒している感じでした。僕にマークを集めて、空いたところから青砥(直輝・商1=駿台甲府)やバックプレーヤーが決めてくれていたので、無理にポストを使わなくても点を取れていました」

――外種子田主将はどんな存在でしたか。
 「すごく頼りになる人で、あまり気持ちを前に出すタイプではないですが、熱いものを持っている人です。チームの前に立つ人はこういう人なんだなと思いました」

――チームの雰囲気も変わった印象でしたが、実際いかがですか。
 「一番変わったのは負けている時の雰囲気です。これまでの明治なら負けている時はシーンとなって盛り上がれなかったのですが、今年は負けていても雰囲気が良かったのが違いです」

――新戦力の1年生たちの存在は刺激になりましたか。
 「いい刺激をくれました。1年生に負けていられないなと思っていました」

――それぞれの凄さを教えてください。
 「青砥は見た通り、オフェンスがすごいのですが、ディフェンスでも気が利いていて、カバーや裏のポストのケアといった目立たないところも頑張っています。坂本(京介・営1=洛北)は試合中によく話しますが、ディフェンスと連携してキーピングしてくれて、試合中にディフェンスを修正できるようになったのもGKとの会話のおかげです。熊谷(継・農1=藤代紫水)はうまいのですが、ルーズボールにも飛び込み、しっかり戻って、走ってくれます。最後までサボらないで、ちゃんとしています。川原(温想・法1=愛知)は僕と交代で出て、急な出場が多い中で成果を残してくれたので安心してベンチから見ていられました」

――4年生はどんな存在でしたか。
 「試合に出場する時間が少ない中でも僕らを信用してベンチで応援してくれて、4年生がいるのにふがいない試合はできないなと思いました。3年間一緒にプレーして仲良くしてもらっていたので、こういうところで恩返ししないとなと思っていました」

――来年度は最高学年、昨年度優勝校として臨むシーズンになりますが、どのような思いがありますか。
 「まずは調子に乗らないことが一番だと思います。今までは追う立場でしたが、これからは追われる側なので、ほんとに頑張らなければいけないです。4年生が残してきたものを消したくない思いで頑張ります」

――ありがとうございました。

[堀口心遥]

◆向谷内 海都(むこやち・かいと)営3、氷見高。187センチ、92キロ