(1)インカレ事後インタビュー 外種子田渓汰主将
全日本学生選手権(インカレ)で、創部87年目にして初の日本一に輝いた明大。今大会は1回戦から決勝まで、どの試合も息をのむような接戦が続いた。インカレ4連覇中の中大には土壇場での逆転勝利、さらに今年の関東学生春季、秋季1部リーグ戦を制した国士大にも終盤に意地を見せて勝利するなど、強豪相手に真っ向から挑み続けた。2年連続で初戦敗退という悔しさを胸に臨んだ今大会で、ついに悲願の頂点へ。今回は歴史的快挙を成し遂げた10人の選手の声をお届けする。
第1回は外種子田渓汰主将(商4=国分)のインタビューをお送りします。
(この取材は11月14日に電話で行われたものです)
――優勝に対して率直な感想を教えてください。
「正直に嬉しいですし、自分のハンドボール人生で日本一というのはなかったので、最後の最後で取れたことは安心感もありますし、本当にうれしいです」
――関東学生秋季1部リーグ戦(秋リーグ)は開幕6連勝しながらも優勝を逃しました。どのような気持ちでインカレに臨みましたか。
「負けた2試合と引き分けの1試合も別に悪い内容ではなかったですし、昨年度と違ってチームとして安定感が出てきていると思っていたので、秋リーグが終わってからの1カ月間で立て直せる自信もありました。雰囲気はそこまで悪くなかったので、そこは追い風になったんじゃないかなと思います」
――組み合わせを見た時の感想はいかがでしたか。
「正直めちゃくちゃきついなと思いましたけど、日本一を目指す以上は関係ないと個人的には思っていたので。チームの中では『うわ最悪だ』みたいな声もたくさんありましたし、その気持ちは多少なりともありましたけど、逆にいい壁が順番にあるので、そこを一個ずつ壊していくこと自体は楽しみではありました」
――2回戦以降、終盤に勝ち切れた要因はありますか。
「ベンチ含め、中大戦も東海大戦も国士大戦も、やっぱり雰囲気はすごく良かったですし、チーム全体を通しても、大会を通じて我慢強くなったところと、誰一人諦めていなかったことが一番の要因かなと思います。みんなが勝ちに対してすごく執着して、それ以外のことを考えずにやっていたので、そこは良かったと思います」
――決勝は終始リードした中で進められました。
「終わってみたら一番楽しい試合だったのかなと思いますね。『中大戦、東海大戦、国士大戦の3試合を乗り越えた僕らを止められるなら止めてみろ』と思うくらいのチームの完成度でしたし、実際それが前半にも現れたと思います」
――優勝が決まった時にはベンチ入りした4年生全員がコートに立っていました。
「苦しい時もみんなで、特別仲がいいわけではなかったですけど、お互いの頑張りとかもすごく分かっていたので。最後僕以外は点を決められていましたし、僕もディフェンスでしっかり貢献できた自負はあるので、最後報われて良かったと思います」
――どの試合が優勝に向けてのターニングポイントになりましたか。
「やはり中大戦だと思いますね。そこを皮切りに3試合連続で逆転勝利で、間違いなく勢いもつきましたし、チームも成長できた試合だったと思うので。振り返ってみれば優勝につながる第一歩だったと思います」
――外種子田選手は元々オフェンスの選手だった中で、チームのことを考えてディフェンスに回っているという話をお聞きしました。
「昨年度まではオフェンスもやっていましたが、今年度は近藤(佑樹・農4=春日丘)も台頭してきて、栃尾(佑・法3=北陸)はじめ、優秀な1年生も入ってきた中で、別に僕がそこまで出しゃばる必要はないなと思いました。今シーズンのチームが始まる時に監督に『僕ディフェンス専で大丈夫です』みたいな感じで、軽い気持ちだったんですけど(言いました)。そう打診した方が僕自身もそこに対して頑張れると思っていたので、そこまで特に意識はしていないですね。攻撃はすごい物を持っている選手たちがいてそこを信頼し切っているので。攻撃もたまにしたくなりますけど、ディフェンス専になってこういう結果が生まれたので、正解だったのかなと思います」
――MVPに外種子田選手の名前を挙げるチームメートが多いですが、自身のプレーを振り返っていかがでしたか。
「日本選手権はありますけど、今シーズンとしては一旦区切りのつく大会だったので、悔いのないようにやろうということは意識しました。ありがたいですけど、みんなが頑張った成果だと思います」
――両親に伝えたいことはありますか。
「僕だけじゃなくて、早大の弟がいるんですけど、私立に2人も送り出してくれて、この4年間僕らに文句を口一つ出さずに好きなようにやらせてくれたので。本当に感謝していますし、そこまで頻繁に連絡する方ではないので、あまりこちらの事情が分からないこともあったと思うんですけど、とりあえず日本一という結果で最低限恩返しできたんじゃないかなと思います」
――大会期間中に、チームの中で面白いエピソードはありましたか。
「面白いかどうか分からないですけど、小嶋は普段からめちゃめちゃ食べるんですよ。ただ珍しく大会中ずっと『もう腹減ってない』みたいに言ってたのは、向谷内(海都・営3=氷見)もそうですし僕も『珍しいねお前』ってなりましたね」
――緊張とかなのですかね。
「それもあるかもしれないですけど、普通に食いすぎたんじゃないですか(笑)」
――インカレを通して成長できた部分はありましたか。
「やはり3試合連続逆転勝利はこのチームにとってすごく大きな財産になると思いますし、チームのみんなにいい形で僕のハンドボール人生を終わらせてもらえるなとすごく感謝もしています。逆に後輩たちは2連覇を目指して頑張ってほしいと思いますし、あえてプレッシャーをかけますけどそのポテンシャルはどこよりもあると思うので、後輩たち、特に3年生は残り1年間悔いのないよう頑張ってほしいと思いますね」
――特に注目している選手はいますか。
「いっぱいいますけど、3年生はみんな期待しています。特に向谷内はチームの大黒柱でもあるので、体力的に一番しんどいポジションですけど、彼が頑張る姿勢を見せれば絶対周りもついてくると思うので、すごく期待しています」
――日本選手権に向けての意気込みをお願いします。
「このチームとして最後になる大会で、リーグH勢ともできる可能性がある貴重な機会なので、このチームで一試合でも多く戦うことを目標にしています。勝利することも大事ですけど、最後なので楽しむことを忘れずにあと1カ月間頑張りたいなと思います」
――ありがとうございました。
[橋場涼斗]
◆外種子田 渓汰(ほかたねだ・けいた)商4、国分高。178センチ、77キロ
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