(59)〜The road to Recapture〜 山村和也「このまま終わりたくないという気持ちが一番の原動力」
「最後の1分1秒までスキを見せず、全力を尽くす」。平翔太主将(商4=東福岡)がスローガンである『完遂』に込めた意味だ。関東大学対抗戦(対抗戦)、全国大学選手権(選手権)制覇の渇望を胸に、ラグビーに向き合ってきた4年生は明大での日々を振り返って何を語るのか。4年間の総括とラストシーズンの意気込みを伺った。11月7日より連載していく。
第17回は山村和也(商4=報徳学園)のインタビューをお送りします。(この取材は10月30日に行われたものです)
――明大ラグビー部に入部した理由を教えてください。
「一つはお兄ちゃんが明大ラグビー部だったことです。中学生くらいから試合を見に行ったりしていて、いつかここでやりたいなという思いがあり、声を掛けてもらった時にすぐ決めました」
――明大ラグビーを選んで良かったことを教えてください。
「僕はケガばかりで2、3、4年はあまり(試合に)出られなかったんですけど、1年生の時からチャンスをもらえることが多くて、その部分においては明治に入って良かったなと思います。あとは、同期と出会えたこととか一番ですね」
――4年間で一番印象に残っている試合を教えてください。
「1年時の選手権で早稲田に負けた試合です。僕の部屋の先輩が(当時主将だった)石田吉平さん(令5文卒・現横浜キヤノンイーグルス)だったんですけど、吉平さんが毎日努力していることを知っていたし、それでもこんなにあっさり終わるんだと。吉平さんや4年生が泣いている姿は今でも覚えています」
――4年間でうれしかったことを教えてください。
「仲のいい同期と4年生になって一緒に紫紺を着られたのはうれしかったです。やはり全員が試合に出られるわけじゃないし、その中で仲いいメンバーと紫紺を着て試合に出るのは特別です」
――4年間でつらかった時期や苦しかったことを教えてください。
「今ですね。2年生の時も脳震とうであまり試合に出られていなかったし、3年生も肉離れをして試合に出てなかったんですけど、4年生になって試合に出るために頑張ろうとリハビリを乗り越えられました。4年生になってたくさん試合に出させてもらいましたが、今シーズンに間に合うかどうかわからないような大ケガをしてしまったことは結構つらいですね。今、試合を見ていてそういう思いはあります」
――現在のリハビリに励むモチベーションや原動力を教えてください。
「僕は社会人になってもラグビーをするのでそれに向けてと、間に合うか分からないですけど、出られなかったとしても、ちょっとでもみんなと最後にラグビーをすることに意味は絶対にあるし、このまま終わりたくないという気持ちが一番の原動力です」
――4年間でご自身の中の変化や成長した部分を教えてください。
「いろいろな人と関わった方がいいということを学びました。明治に入る前は仲のいい人としか喋ってきませんでしたが、大学に入ってからは寮生活をしているし大人数の部活動なので、いろいろ人と関わりを持っていくことが自分のラグビー人生も充実できるし、いい影響をもらえるなと気づきました」
――特にお世話になった先輩と期待を寄せている後輩を教えてください。
「吉田輝雅さん(令7政経卒・現九州電力キューデンヴォルテクス)と、安田昂平さん(令7商卒・現東京サントリーサンゴリアス)です。輝雅さんは僕が3年生時の部屋長でした。昂平さんは隣の隣の部屋で、よく部屋に来て一緒にドラマ見たりとかしていて、今でもご飯連れて行ってくれたりします。(期待を寄せる後輩は)海老澤(琥珀・情コミ3=報徳学園)くんです。僕が2年生になったタイミングで部屋っ子になり、2年半同部屋でした。一番可愛がっている後輩でもあるし、1年からスタメンでバンバン出ていて、今はいい選手がいっぱいいるので、試合に出られたり出られなかったりという期間で色々悩んでいると思うので、それを乗り越えて頑張ってほしいなと思います」
――後輩の皆さんに伝えたいことを教えてください。
「ケガをしないように気をつけて、したとしても逃げずに頑張れって伝えたいです」
――山村選手にとってラグビーはどのような存在ですか。
「メンタルも体も人間関係とかいろいろな面で、自分の全部を成長させてくれる存在です」
――今年のスローガンである『完遂』はどのようなものですか。
「スローガンを掲げた時は全勝とか生活においてもミスしないとか、そういう思いで掲げたと思うんですけど、対抗戦の初戦で負けたり、私生活でも大きいミスを犯してしまったり、結果で見たら全然完遂ではないと思うんですけど、ミスをしても最後までやり遂げるのが『完遂』という意味ではないかなと今は思っています。負けても修正して強くなればそれは成功だし、最終的に選手権で優勝することが何よりも大切だし、生活でも小さいミスを繰り返しても、それを一回一回みんなで言い合ってなくしていけば、それは『完遂』につながると思うので、最後の引退まで『完遂』するという気持ちを持ち続けることが、最初に掲げたスローガンにできるだけ近づく方法ではないかなと思います」
――残りのシーズンに向けて、目標を教えてください。
「試合に間に合うか分からないんですけど、最後まで諦めずにやって、あとはどんな形であれチームに関わって目標の達成に向けて少しでも力になれればなと思います」
――ありがとうございました。
[岩本文乃]
◆山村 和也(やまむら・かずや)商4、報徳学園高。182センチ・83キロ
最近はほぼ毎日スタバに通うおしゃれな山村選手。注文はドリップコーヒー一択だそう。「東(海隼・情コミ4=光泉カトリック)くんとスタバで勉強しているふうを装っています(笑)」
関連記事
RELATED ENTRIES

