(55)〜The road to Recapture〜 仲間航太「同期に支えられたのは大きかった」
「最後の1分1秒までスキを見せず、全力を尽くす」。平翔太主将(商4=東福岡)がスローガンである『完遂』に込めた意味だ。関東大学対抗戦(対抗戦)全国大学選手権(選手権)制覇の渇望を胸にラグビーに向き合ってきた4年生は明大での日々を振り返って何を語るのか。4年間の総括とラストシーズンの意気込みを伺った。11月7日より連載していく。
第13回は仲間航太(文4=常翔学園)のインタビューをお送りします。(この取材は11月5日に行われたものです)
——4年間を振り返っていかがですか。
「いろいろ含めて楽しかった、来て良かったというのが一番ですね」
——セブンズに専念されることが多かったと思いますが、印象に残っている試合を教えてください。
「おっしゃっていた通りセブンズの試合でチームが離れることが多かったんですけど、僕が3年生の春に1回だけ10番を着て試合に出たことがあって、その時は3年目にしてやっと自分が着たかったジャージーで試合に出られたというワクワクとうれしさとともに、今までの先輩たちが着てきた明治の10番のジャージーを着る重みを感じた試合でした」
——7人制と15人制の調整はどうやってされていたんでしょうか。
「基本、セブンズに行っている間は、基本セブンズが1週間だったら1週間オフもらって、また1週間行くみたいな感じでした。あの期間、試合に出ることはなかなかなかったんですけど、体重の上げ下げもそうですし、ナレッジの部分でも戦術が全然違ったり、いろいろなポジションをやらせてもらったっていうのもあるんですけど、セブンズから帰ってきて15人制にシフトチェンジして練習するのは大変でした。でも今はセブンズが休み期間なので15人制で試合に出ることを目標に頑張っています。やはり根本のラグビーっていう部分、アタックのスキルとかは変わらないので、全く違うっていう感じではなかったんで、なんとかやれたかなと思っています」
——大学4年間で変わったことや成長したことを教えてください。
「プレー面で言うとディフェンスでコンタクトをする回数が増えたなと思っています。ディフェンスを頑張らないとチームには貢献できないような環境だったので、そこがまだできていない部分は多いんですけど、高校と比べてディフェンスの回数、タックルの精度の部分は上がったかなと思います。人としてというか、私生活の面では先輩や後輩、セブンズの海外の選手とかいろいろな人と出会って、たくさんの経験を経て今は一歩引いた視点で見れるようになりました。今まではその時その時で自分の意見しかなかったし、自分が今見えている景色でしか喋れてなかったけど、それを一歩引いた視点で見れて、それを発言できるっていう部分では、成長したかなと思います」
——寮生活で良かったことを教えてください。
「最初は不安で嫌だったんですけど、人と喋ることが僕は大好きなので、どこかに隣の部屋や食堂に、誰か友達がいて喋れる人がいるっていう安心感っていうのはすごく感じています。1、2年生の頃は2、3日オフがあればすぐ大阪に帰るみたいな感覚だったのが、もう今はもう帰りたくないなって思うようになりましたね。逆に帰っちゃうと、暇な時に誰もいなくて寂しいです。もうあと2ヶ月で終わるんですけどそれが寂しいです」
——思い出の部屋を教えてください。
「1年生の後期の部屋が(当時)4年生が葛西拓斗さん(令5商卒)で3年生が森山雄太さん(令6政経卒・現NECグリーンロケッツ東葛)、2年生が田島貫太郎さん(令7政経卒・現埼玉ワイルドナイツ)だったんですけどすごく楽しかったです。いまだに4人で集まったりします」
——4年間ここまで続けてこられた原動力を教えてください。
「僕はもうやめたいって思ったことがなくて、ラグビーが好きってことが一番大事だとこの4年間で思いましたね。どれだけ成果が実らなくても、好きだから続けているしラグビーが楽しいからやっていけているだけなので、そこが変わったことはないから、辞めたいって思ったことはないです」
——4年間でのターニングポイントを教えてください。
「3年の春です。3年生の春、10番で出られたのは2年生の後半に自分がAチームに絡めないってなったときにいろいろ努力をして、一発目から試合に出られるような準備をしました。そのおかげもあって、セブンズの方でも学生選手権でフランスに行って世界3位になれたり、そのおかげで日本代表になれたこともあったので、3年生の春は、自分の今後のラグビー人生においても一番のターニングポイントなんじゃないかなって、今はそう思っています」
——上級生として意識していたことはありますか。
「後輩とのコミュニケーションを一番意識しましたね。ある程度の上下関係は大事だとは思うんですけど、チーム内で気まずい人がいたり怖い人がいるところで後輩たちはのびのびとラグビーはできないので、4年生だけでチームは組めないし下の力を借りないといけない時もありますし。仲の良さとか発揮するっていう部分で、4年生から多分先輩から後輩に関わっていかないと、後輩たちは先輩のことを知れないと思うので、僕は後輩とのコミュニケーションの部分では誰よりもやっていたと思います」
——同期の存在はいかがですか。
「本当に大好きでみんな面白くていい人ばっかりで、自分が入学した時、関西の子たちが多くて特に大阪出身が6人ぐらいいるなかで、最初は関東圏の子もいたので、それに引いていたと思うんですけど、でもそれが今はみんながついてこれる面白さになりました。15人制で明治に来て、明治でラグビーをするって言って(明治に)来たのにチームから離れてセブンズに行っていいものかどうかっていうのもめっちゃ悩みました。けど同期に話したら、『そんな素晴らしいことはないから、行ってこいよ。同期から出るのはうれしいし、違うところでも明治として頑張っているなら、それでいいよ』って言ってくれて、気持ち良く行けたので、同期に支えられたのは自分の中ではとても大きかったです」
——仲間選手にとって改めて『完遂』はどのような意味を持ちますか。
「『完遂』にやり遂げるという意味が込められている中で、ラグビーだけではなくて、自分たちはどちらかというとラグビーじゃない部分のことだと思っていると思います。寮則を守ったり、内側から応援されたりするチームが、強いチームと言われると思うので、基礎の部分をしっかりやり遂げることで、大きなことを達成できると思います。『完遂』という部分ではそういう小さな事でもしっかりやり遂げることが大事だと話し合った結果、自分の中で解釈しているのはそこかなって思っています。いろいろうまくいかなくて、『完遂』じゃないじゃんって言われたら、確かにそうかもしれないですけど、僕の中でじゃあそれで終わりなのかって言われるとそうではなくて、そういうことがあったからこそ、そこで諦めるのではなく逆にもっとしっかりして最後までやり遂げる、どんな状況になってもしっかりやり遂げるっていうことが、学生スポーツなので僕は大事なんじゃないかなって思いました。4年生で喋った時にもそう言いましたね」
——ありがとうございました。
[木曽琴乃]
◆仲間 航太(なかま・こうた)文4、常翔学園高。164センチ・76キロ
卒論で明大ラグビー部の歴史について調べている最中だそうで「前監督に取材するんですけどアポ取るのも緊張します(笑)」。幣部記者は同じ取材する側として共感いたしました!
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