(50)~The road to Recapture~ 佐藤泰顕「毎日楽しく仕事ができました」

2025.11.16

 「最後の1分1秒までスキを見せず、全力を尽くす」。平翔太主将(商4=東福岡)がスローガンである『完遂』に込めた意味だ。関東大学対抗戦(対抗戦)全国大学選手権(選手権)制覇の渇望を胸にラグビーに向き合ってきた4年生は明大での日々を振り返って何を語るのか。4年間の総括とラストシーズンの意気込みを伺った。11月7日より連載していく。

第10回は佐藤泰顕(営4=明大中野)のインタビューをお送りします。(この取材は10月31日に行われたものです)

――4年間を振り返ってみていかがですか。
 「あっという間の4年間でした。学生スタッフの仕事内容は高校時代に選手としての活動内容とは180度違っていて、影で支えている人の辛さや思いを4年間で感じることができました」

――明大ラグビー部に入部したきっかけはなんですか。
 「入部したきっかけは明大ラグビー部の看板が小さい頃からの憧れで、その一員になることでどのような景色が見られるのかとか、優勝した時の達成感を味わいたかったからです」

――入部当初を振り返っていかがですか。
 「先輩たちが怖かったです。1年生で周り大学の2,3、4年生にスタッフとして何かを指示やアドバイスをしなければならないので、入部した当初は自分が教えられるのかという不安でいっぱいでした。怖くて声が出ない、行きたくないが続いていたと思います。加えて同期のS&Cがいなかったので結構寂しかったです」

――仕事をする上で難しかったことは何かありましたか。
 「監督から『作業じゃなくて仕事をしろ』と言われていて、それが一番難しかったです。言われたことを言われた通りにしてしまっていて、それだけだと誰でもできることなので、自分らしさを作業に活かして仕事にすることを意識していました。気をつかって準備をするとか、声をかけるなど日々気を遣うことは難しかったなと思います」

――選手だけでなくコーチ陣とも深く関わりますが、大人と関わる大変さはありましたか。
 「大人と関わるのが一番大変でした。大人がいない方がミスしても怒られないので楽で楽しいです。大人は学生じゃない分話すハードルが高くて、意思疎通でミスが起こることがありました。それ以外は大人として頼もしいし、気にかけてくれるので本当にありがたい存在です」

――S&の仕事の魅力はなんだと思いますか。
 「魅力はグラウンドに立てることです。グラウンドに立って選手を支えるので、選手のいろいろな面を見ることができます。作業などの仕事は辛いこともあるので、仕事とは別で選手のプレーを見て、明治のレベルはすごいなとグラウンドに立つたびに思えることが楽しいです」

――やりがいを感じる瞬間はどういう時ですか。
 「やりがいを感じる瞬間は大人のコーチから『ありがとう』と言われた瞬間です。チームの目標に達した時はもちろんうれしいですけど、僕はそれよりも大人のコーチから言われる『ありがとう』が一番うれしいなと思います。スタッフはたくさん感謝される仕事ではないので大人のコーチから『今日はありがとう。いい準備ができたし、いい練習ができた』と言われると嬉しいし、こちらこそありがとうございましたという気持ちになります」

――S&のコーチの観点から見て、イチオシの選手はいますか。
 「工藤大知(政経1=明大中野)です。同じ明大中野出身として明大に入ってきて、1年生ながら試合で果敢にチャレンジしていく姿勢が認められて、1年生ながらもFWのペガサスにいる工藤にこれから期待してほしいです」

――4年間続ける上で支えとなったものは何かありましたか。
 「試合会場で見るファンの方々です。仕事は辛いことや大変なこともありますが、そういう時にファンの人が応援してくれる姿を見て頑張ろうと思えます。加えて学生スタッフの存在も大きかったです。学生スタッフのわからないことは学生スタッフしかわからないですし、それこそ学生スタッフが誰か一人かけたらどうなるかわからないぐらい一人一人の存在は大きいし、助かっているところがたくさんありました。この二つのおかげで毎日楽しく仕事ができました」

――4年間で成長したなと思えた時はありましたか。
 「練習を任された時です。コーチ陣がいない時にノンメンバーの練習を任された時は成長したなと思いました。今は一緒に試合に行くのでないですけど、2年生の時に大人のコーチが試合で遠方に行っていていないときに寮に残っている60人ぐらいの選手の練習を任された時は、大人の見る目ない中で、責任を任せてくれたことがうれしかったですし、頼られているなと思えました」

――佐藤泰さんにとってスローガンの『完遂』の意味はどのようなものですか。
 
「『完遂』は全部出しきるという意味があると思います。みんな後悔をしたくないから出し切る、つまり今を全力でやりきるという感じです。優勝するのが一番いいですけど、いつ負けるかわからない大会の中で悔いは残したくないし、やっておけばよかったというのが一番後悔することだと思うので、今を全力でやりきるということだと思います。」

――後輩に伝えたいことは何かありますか。
 「仲良く仕事をしていてほしいです。仕事は大変だと思うので、その大変さを仲間にぶつけて発散するのではなくて、お互いに協力して4年間を終えてほしいなと思います。引退してから残るのは結果も大事ですけど、友達同士の選手とかスタッフ同士の思い出は強く残るので、仲良く仕事をしていてほしいと思います」

――残りのシーズンへの意気込みをお願いします。
 
「完遂しきること、後輩に自分が教えられることをできるだけ伝えること、どれだけ自分がこの部活に貢献できるかを考えること、この三つを行動に移したいです」

――ありがとうございました。

[虻川隼人]

◆佐藤 泰顕(さとう・やすあき)営4、明大中野。
趣味は野球観戦。好きな球団である千葉ロッテマリーンズについて尋ねたところ「めちゃくちゃドラフトの結果が良かったので、来年には優勝できると思っています」と来季に期待を寄せていました。