(88)秋季リーグ戦後インタビュー 木本圭一主将

2025.11.14

(この取材は10月31日に行われました)

木本圭一主将(政経4=桐蔭学院)
――29年ぶりの完全無敗優勝となりました。
 「10連勝して勝つというのはずっとチームで考えてやってきたことなので、1個も落とさずに優勝できたのは、気持ちの疲れなどもあまりなく、いいシーズンだったなと思います。日程的にも3つのカードが連続がしていて、なるべく2戦で終わらせたいところが多かったので、その面も含めてかなり楽だったかなと思います」

――優勝が決定した10月19日の決勝打のシーンを振り返っていかがですか。
 「バッターボックスに入るときは『決めたい』と、いつも思っているんですが、それだけで打席立ちました。打てたらいいなという気持ちです」

――初球、内角の変化球をフルスイングで空振りました。気持ちが全面に出ていたワンシーンだと思いましたが、いかがですか。
 「初球から振りたい気持ちはもちろんあったので、まず振れたのは良かったですね。髙橋煌稀(早大)もかなりボールが良かったので、入ってきた球を見逃すよりも振っていかないと損というか。やはり勝負をかけていかないといけないなという思いだったので、初球が(ゾーンに)入ってきたら振ろうと思っていました」

――『勝負強さ』というものをずっと掲げられてきました。今回の適時二塁打を振り返っていかがですか。
 「チャンスで一本というのは大学に入ってからずっと考えてやってきたことなので、あの場面でしっかり打つことできて良かったです。春の早稲田の時も全く打てなくてチャンスを生かせなかったので、今回はちゃんと生かせて良かったなという感じです」

――これまで主将という肩書きの重みに対して、苦しい気持ちもあったと思います
 「3年までは割と(結果が)良かったので、やはり『自分の力を出さなくてはいけない』という気持ちが空回りしていた、結果ばかり求めてしまいました」

――優勝決定時のマウンドから見た景色は、それだけ感慨深いものがあったのではないかと思います。
 「そうですね。なんとも言えない感じです。もう『うれしい』しか出てこないんですが、他では味わえない感じでした。9回の守備に就いている感じも、1対0というのがあったからかもしれませんが、不思議な感じでしたね。(優勝決定時は)やはりみんなが笑顔でマウンドに向かってきていたので、優勝できて良かったという気持ちと、最後に成立してスタンドに挨拶するときは、ファンの人も拍手して喜んでくださっていたので。時間は掛かりましたが、やっと優勝できて良かったなという気持ちになりました」

――「1年生の頃は試合に出られるとも思ってなかった」と仰っていましたが、大学1年生の自分がいたらどんな言葉を掛けたいですか。
 「そうですね。チャンスをもらったときに生かせるようにというのは言いたいです。(2年春のリーグデビュー戦で)3打席立って2本打てたんですが、3の0だったらもうそのあとがあったかも分からないので」

――当時の抜てきの理由としては、どのような点が評価いただけたと感じていますか。
 「いや、右(打者)がたまたまいなかったんです。右の代打がいなくて、1年生の頃はなんの取り柄もない感じだったんですけど、2個上の学生コーチ(熱田泰祐学生コーチ・令5営卒=明大中野八王子)に『右の代打で使いたい』という話をいただいて。そこからですね。『ちょっとチャンスは来るかもしれないな』とは思っていたんですが、もう真に受けることもなく(笑)、そんなことあるかなと思うくらいで(笑)。感謝していますね」

――チーム防御率を振り返れば0.70、「負けない明治(春前インタビュー)」を表す数字だと思います。
 「ピッチャーがすごいですね。(シート打撃などを重ねれば、自チームの投手であれば2、3割は打てるようになるものなのでしょうか)いや、菱川(一輝投手・文4=花巻東)と大川(慈英投手・国際4=常総学院)は厳しいですね(笑)。なので試合でも『そんな打たれないでしょ』とは感じます。打席に立って、自分も『いいな』と感じますし、試合では大体1イニングしか投げないので『それは無理だよね』という感じです(笑)。相性はあると思いますが、菱川、大川は本物だと思いますね」

――大川投手は球質も素晴らしいと聞きます。
 「いやもう打ちに行こうと思ったら詰まっているみたいな感じですかね。早く振ろうとするじゃないですか。でも振り出したらもう(バットの)根っこみたいな。ピストルみたいな感じです。刺されている、相手じゃなくて良かったなと思います(笑)」

――チーム打率では立大戦で多少上がった印象はありますが、早大戦で優勝が決まるまでを振り返っていかがでしたか。
 「相手の一番自信のあるボールをしっかりと打ち崩せていたので、早く先発ピッチャーを下げて中継ぎ陣と対戦するという流れに持ってこられたので、それが数字に現れているかなと思います」

――元々バットの根っこに当たって凡打になることが多いとおっしゃっていましたが、多少フォームを変えられたのでしょうか。
 「そうですね。2番(打者)だったので、最初は右に打つ意識が多かったのかなとは思います。途中から8番になって『好きに』じゃないですが、3年の時みたいにちょっと振り回そうかな、そういう気持ちになっていたのが、良かったのかなと思います」

――秋リーグ開幕前はプロ志望といったご様子でしたが、社会人に進まれるということで、どのような心境の変化があったのでしょうか。
 「プロで活躍できるかどうかがまず判断基準だと思っていて、今の能力だったらプロに入って活躍するっていうのは無理だなと思ったので。(社会人という中でも進路先を)迷っていたんですが、チーム力で戦うというチームで自分はこれまでやってきたので、そうではなくて、自分の力を伸ばせるというか、自分に足りていない部分を吸収できるかなと思って選びました。練習の参加もできて、それに行くか行かないかはもう自分次第なので、他の社会人野球チームにも行ったんですが、参加してみていいなと思ったので選びました。(進路先は)上下関係が厳しくなくて、一番は明るい雰囲気でした。自分は楽しくやるほうが合っていると思うので、そこもいいなと思いました」

――桐蔭学園の先輩では、森敬斗(横浜DeNAベイスターズ)などが挙げられます。
 「(高校時代の寮では)同じ部屋だったので、10連勝して優勝した時も『おめでとう』とメッセージが来て。ちょっとびっくりしましたね(笑)。これまで急に連絡来たりはしていたんですが、夜8時に『今から飲み行こうぜ』みたいなのが来るので。『遅いです』という感じで(笑)。社会人になって時間ができたら楽しみです」

――明治神宮大会では3連勝で優勝、決勝戦では明大vs青学大という構図も予想されます。
 「リーグ戦の継続で失点を少なく、守り勝つ野球というのを戸塚さん(俊美監督)も言っているので。まずはその前に負けないようにしなきゃいけないんですが、2つしっかりと勝って。(青学大)強いと言われていますし、東都に負けられないという気持ちはやっぱりあるので。ちゃんと勝ち切りたいなと思います。(今季の明大の成績では勝機も十分にあると考えます)自信をもって全国大会、戦っていきたいです」

――ありがとうございました

[松下日軌]