(84)秋季リーグ戦後インタビュー 久野悠斗投手
(この取材は10月30日に行われました)
久野悠斗投手(商4=報徳学園)
――秋を振り返っていかがでしたか。
「3試合しか投げていなかったので、個人的にはなんとも言えないところではありますが、無失点で投げ切れたというのは良かったと思います。法政戦は特に、ヒヤッとする場面もありましたし、負けている展開でもあったので、自分の投球で流れを多少は変えられたのかなというところは良かったと思います」
――法大2回戦の3回無失点の投球が印象的でした。
「小島(大河捕手・政経4=東海大相模)の配球を信じるだけというのと、本調子じゃないというのはやっぱり今もまだ変わってないのですが、本当に調子じゃないなりにどう投げるかというのを常に考えているので、なんとか抑えられたのかなと思います」
――奪三振よりも打者を打たせて取る投球スタイルだったと思いますが、ご自身はどういうふうに感じましたか。
「そうですね。夏のオープン戦から厳しく行きすぎて、フォアボールで崩れることが本当に多くて、そこの安定感がなかったのがずっと引っかかっていました。三振を元々欲しがるタイプではなかったのですが、そこよりも丁寧に変化球を低めに集めるとか、落ち着く時はちゃんと落ち着けるようにというのは、怪我前よりも意識はしたのかなと思います」
――球速はケガ前と比べると戻りきれなかったのですが、少しずつ戻ってきています。
「1キロずつ上げていくというところは、確かにやってきましたし、2、3試合で1キロずつ上がってきたので、そこは収穫だったと思います。本当に焦っても仕方ないので、いきなりあげてもそれは負担にもなるので、無理してあげようとしないというのはありました。ただ、今後また上がってくるかと言われたら、これから寒い時期に入ってくるので、そこはちょっとどうなるか分からないですね。術後1年半なので、2年くらいでピークまで持っていければなと思います」
――ドラフトは残念な結果になりましたが、振り返っていかがでしたか。
「正直かかるとは思っていなかったので、そういう覚悟はありましたね。気にしていないと言えば嘘になりますが、この経験によって自分の現状を知る意味も多少ありましたし、これが自分の精神的な起爆剤になれたら、このドラフトも無駄じゃなかったというふうに思います。まだ2年後もあるので、これからもできることをやっていこうと思います」
――当日はどういう心境でしたか。
「毎回球団名が言われるんじゃないですか。その球団名が出た瞬間に、カメラマンがみんなカメラをこっちに向けるのが申し訳ないなと、髙須(大雅投手・法4=静岡)と2人で話していましたね。自分の人生のことなので、それはもう当然、確かに自分の好きにすればいいよと、いろんな人が言ってくれていますし、自分も自分のことだからと思って(志望届)を出すと決めていました。ただそれでも、やっぱりあの場に来てくれた同期のみんなとか、報道の方とかには、期待させて裏切った的な気持ち、そういう申し訳なさというのはありましたね。終わってからの振る舞いに関しては、そこまで落ち込んでいなかったように見せたのですが、やっぱ落ち込んでいるところを見せるのも申し訳ないし、変に気を遣わせるのも違うなと思いました」
――前向きな姿勢を貫いていますね。
「そうですね。菱川(一輝投手・文4=花巻東)とかも終わってすぐ声をかけてくれましたし、全部が終わったというわけでもなく、2年後もありますからね。もちろん、社会人に行くのがダメなのかと言われたらそうでもないし、社会人には社会人の魅力がある、良さがあるので、まず野球ができる環境があるというところは本当に幸せなことだと思います」
――通算成績4勝0敗、防御率0.76でリーグ戦を終えました。
「本当に神宮でちゃんと投げられたなという実感はありますし、いい収穫になりました。自分の心情的には勝たせるピッチャーというよりは、負けないピッチャーなので、とにかく0を積み重ねることが本当に重要だと思いますし、それをこれからもできるように頑張ります」
――今後に向けての課題はありますか。
「いろいろありますね。もちろん出力もそうですし、その出力を出し続けるスタミナがないといけないので、多分そういうところは今のままじゃ全然ないというか、まだ足りていないと思います。変化球に関しても、ちょっとスピードが上がってきて、またちょっと良くなると思いますが、まだキレの面とか、スピードというのが、変化球においてちょっとまだ足りていないと思います。コントロールもそうです。投げたいところを狙って、9割が狙ったところへ行くように、自分の中で持っていきたいので、まだ現状は全然です。まだまだやることが多いなと思います」
――まだ明治神宮大会が控えていますが、ご自身の大学生活を一言で表してください。
「じゃあ、かっこよくいきますか(笑)。『苦難の道』ですね。本当にいいこともありましたが、基本的には苦しいことばっかりでした。ケガも多かったし、トミージョン手術以外もケガすることがあって、結果が出ない時期も長かったです。全然うまく行かなかった苦しい4年間だったのですが、それが失敗だったかと言われると、そうでもないし、まだまだこれから答えが出るでしょう。今はそんなに焦らないというか、野球を続ける限り希望はあります」
――明治神宮大会は4年生投手陣で迎える最後の戦いとなります。
「割と仲良くやってきたはずなので、自分たちがずっと言っているのは、7人全員でベンチに入りたいということです。それが叶わなくても、せめて髙須が神宮大会で戻ってきてくれれば、1イニングでもいいから投げてほしいなと思います。せっかくチャンスをもらったので、最後は5人で、できれば7人で笑顔で終われるように、4年生全員含めてみんなで優勝できるように頑張りたいです」
――2年前の全日本大学選手権大会で好投されました。全国大会の雰囲気というのはいかがでしょうか。
「懐かしいですね。あの時は高須と2人でベンチに入って、髙須は最終的に一回も投げていなかったのですが、ベンチでずっと『こんなところで投げたくないわ。怖いわ』と言っていました。その髙須が今はもう投げたくてしょうがない、必死にやっているところを見ていると、『みんな大人になったんだな』と思いました(笑)。最後は毛利(海大投手・情コミ4=福岡大大濠)が先発して、自分と髙須がつないで、菱川と慈英(大川投手・国際4=常総学院)が締める。そういう流れが作れれば、それができるように頑張りたいと思います」
――ありがとうございました。
[李翔恩]

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