(46)~The road to Recapture~ 亀井晴加「一試合一試合帯同させてもらえることを噛みしめながら」

2025.11.13

 「最後の1分1秒までスキを見せず、全力を尽くす」。平翔太主将(商4=東福岡)がスローガンである『完遂』に込めた意味だ。関東大学対抗戦(対抗戦)全国大学選手権(選手権)制覇の渇望を胸にラグビーに向き合ってきた4年生は明大での日々を振り返って何を語るのか。4年間の総括とラストシーズンの意気込みを伺った。11月7日より連載していく。

 第7回は亀井晴加学生トレーナー(文4=千里)のインタビューをお送りします。(この取材は10月29日に行われたものです)

――トレーナーになろうと思ったきっかけを教えてください。

 「高校の時に元々ラグビー部のマネジャーをやっていて、その時にやっていた仕事と業務内容が似ている部分が多かったから、(その経験を)活かせるんじゃないかなって思ったのがきっかけです。ラグビー部に入ろうと思ったのは私が受験生の時に飯沼蓮(令4営卒・現浦安DーRocks)さんの代の(全国大学)選手権をテレビで観ていて、もし明大に入るならラグビー部がいいなと思っていました。他の大学に進学していたら他の部活も選択肢に入れていたと思います」

――トレーナーの役割を教えてください。

 「普段の練習では給水のサポートやケガ人の対応が練習中の主な仕事です。寮ではテーピングの管理をしたり選手のケアをしたりと選手の近くでサポートをする仕事が多いです」

――高校の時と比べて業務内容に変わった部分はありますか。

 「試合の備品を準備する裏方的な作業はあまりやっていなかったです。グラウンド外での仕事がすごく多くて入った時はびっくりしました」

――4年間で大変だったことはありますか。

 「たくさんあるんですけど、1番はトレーナーの仕事というより選手との付き合い方が悩んだ部分ではあります。90人、100人と部員がいる中で一人一人の性格に合わせて接し方を変えて上手に付き合っていくのが難しかったです」

――ここまで続けてこられた理由は何ですか。

 「やはり楽しかったからだと思います。私は自分が前に出るよりも人をサポートするのが向いているので。大変なことも多かったけれど辞めたいとは一度も思わなかったです。この仕事が好きだったからというのが一番の理由です」

――印象に残った出来事はありますか。

 「2年生の時の和歌山であった同志社大との定期戦です。私が大阪出身なので初めて関西で試合ができて嬉しかったです。しかもそこで初めて私一人で選手に帯同させてもらうことになったので緊張しました。家族も応援に来てくれたり、初めてなことがいっぱいあったのですごく印象に残っています」

――同期はどのような存在ですか。

 「一つの言葉にするのは難しいですが、友達と言われればそうでもないし、仲間が一番近いのかな。例えば私が就活で落ち込んでいる時でも部活で同期と喋ったらその時間だけは嫌なことも忘れられたり、同期の顔を見ると安心できたりしたのである種家族に近い安心感がある、大切な存在です。この代のトレーナーになれて幸せでした」

――明大ラグビー部からどのような経験を得ましたか。

 「色々なスキルを得られたのはもちろん、中でも相手の感情を読み取る力が大きいなと思います。トレーナーは選手のちょっとした表情や仕草の変化を見て、いつもと違うところがないか、ちゃんと100パーセントでプレーできているかを判断することが多いので、選手が何を考えているか、何をしてくれたら嬉しいかというのを常に考えながら動いていました。そういう相手の立場に立って考える力が一番身についたかなと思います」

――学生スタッフを志す未来の明大生に伝えたいことはありますか。

 「ラグビーを知っているか知らないかはあまり関係がなくて、入ってから勉強できるので頑張っている人をサポートしたいと考えている人は誰にでも向いていると思います。私も応募するかギリギリまで迷いましたが、当時の応募ホームページに『勇気を出して応募してください』と書いてあったのを見て応募しました。少しでも迷う気持ちがあるなら応募したほうがいいです」

――亀井さんにとってスローガンである『完遂』の意味はどのようなものですか。

 「最後やり切った時に後悔がなかったって自身を持って言えるのが『完遂』かなと私は思います。最後が見えてきたのでどんなに小さなことでも手を抜かずに一試合一試合帯同させてもらえることを噛みしめながら終わった時に後悔しないようにできたらなと思います」

――後輩へメッセージをお願いします。

 「1番は4年間やり切ることが大事なので、もちろん大変なこともしんどいこともあると思うけれどスタッフ同士でコミュニケーションを取りながら途中で諦めることなく最後までやり切ってほしいです」

――ありがとうございました。

[近藤未怜]

◆亀井 晴加(かめい・はるか)文4、千里高。

同期の中でも特に話しやすいのは山川遥之選手(営4=尾道)だそう。「相談しても何でも聞いてくれて、接しやすい部員の一人です!」