(35)伝統ある慶明主将対談 〜今野椋平×平翔太〜 前編/慶明戦100戦目記念  慶應スポーツ新聞会コラボ企画

2025.10.31

 高校時代から共に日の丸を背負った経験のある今野椋平(慶大)と平翔太(明大・商4=東福岡)。11月2日、ラグビーの聖地・秩父宮ラグビー場で行われる慶明戦100戦目試合を前に、同じセンターというポジションから各部を先頭で率いる二人の主将対談が実現。共闘した当時のエピソードから大学4年目の覚悟まで、2人の全てに迫った。

*今回は慶應スポーツ新聞会とのコラボ企画となっております。後編は慶應スポーツ新聞会のWEBサイトに11月1日掲載予定ですので、併せてご覧ください!

――他己紹介をお願いします。
今野(今):(平のことは)中学3年くらいのときから知っていて、自分の印象的にはバカでかい体して、めちゃくちゃ有名な選手だと聞いていて。東福岡高1年の時からリザーブとかスタメンで試合に出ていて、名前は知っているような有名な選手でした。U―20で一緒のチームでやって、話すようになった感じです。見ての通りシャイな感じで、(大学で)キャプテンをするとは思ってなかったです(笑)。あと、筋トレ好き!筋トレをめちゃくちゃして、ラグビー部内でも体がおかしいくらい大きいです(笑)。
平:高1の時に存在を知って、桐蔭学園高でスタメンやリザーブにずっと入っていて。正確なプレーが印象に残っています。椋平もちょっとシャイな部分があって、自分のことかっこいいと思っているところがあると思います(笑)。今:全然うれしくない(笑)。

――お互いの知られざる一面があれば教えてください。
平:あんま無くない?(笑)
今:それでいうと、(平は)筋トレ好きすぎて寮から出てこないです(笑)。だからプライベートでのエピソードを作るまでに至らない(笑)。フットワークが重すぎて、ジムまでしか移動できないですね。

――平選手はそれを自覚されていますか。
平:そうですね。遊ぶ時間があれば、やっぱりラグビーに費やしたい気持ちが大きいです。逆に(今野は)僕と違ってフットワークが軽くて、どこにでも遊びに行く印象はあります。
今:フットワークの軽さというところで、筋トレももちろん大事ですけど、オンオフの切り替えはトランジションの切り替えに関わってくると思っていて、そこを意識しています(笑)。

――お互い尊敬しているところはありますか。
今:ストイックなところです。筋トレが好きすぎて、BKの中でも日本一デカいんじゃないかくらい、上質な筋肉を持っています。あとシンプルにプレーが上手くて、自分でも走れるし、キックできるしパスもできるし。すごい良いプレーヤーだと思います。
平:正確なパスやキックを持っていることは感じていて、ちょっと細身ではあるんですけど、力強いキャリーをするので、いい選手だなと思います。

――二人で対面で初めて話したのはいつ頃ですか。
今:喋ったのは(2021年度)高校代表の時で、試合で対戦したのは高1の時ですかね。

――そのときの第一印象を教えてください。
今:まじで覚えてないね(笑)。でも高校代表で同じポジションで、僕ばかり試合に出ていたのであんまり当時のことを振り返らない方がいいかなと思うんですけど(笑)。高校代表でめっちゃ話すような雰囲気ではなかったですね。
平:(高校日本代表の活動期間が)4日間くらいしかなかったからね。ちゃんと二人で話すようになったのはやっぱりU―20の時かなと思います。(プレー面に関して)僕は高校の時、一か八かの雑なプレーとかが多かったんですけど、椋平は正確なパスやキックがいいなと思った記憶があります。
今:(平は)すごい選手だし、(高校日本代表エキシビションマッチでは)「僕はリザーブかな」と思ってたくらいでした。結局僕が出場したけど、チームの方針に合っていただけで、実際キックも外してしまったし(笑)。「(試合に出るのが)僕でいいんですか」くらいに思っていました。

――Uー20でのお二人の関係はいかがでしたか。
今:グループが結構分かれていたのでめちゃくちゃ喋ったかと言ったらそうでもないですけど、ここまでちょけれるくらいの仲にはなりました(笑)。

ーー当時お互いの中で印象に残ったエピソードがあれば教えてください。
今:個人的なエピソードでいうと、みんなにはバレてないけどちゃっかり財布を落としてマジでお金がなくなって焦った記憶がある(笑)。
平:そうなの?!
今:恥ずかしすぎて言えなかったけど。現金だけ入れてる方の財布を落として、結構危なかったです。
平:僕は「海外って恐ろしいな」と思ったことがたくさんありました。携帯やパスポートを盗られてしまう選手がいたり、色々な出来事がありました。

――第一印象からの変化はありましたか。
今:めちゃくちゃシャイで無口だと思っていたけど、意外とおしゃべりキャラで、多分人見知りなんだなと思いました。あと、他の人には「可愛い可愛い翔ちゃん」とか言われていじられているので、ギャップ萌えが狙えるんじゃないかと思っています。
平:ものすごく真面目かなと思っていたんですけど、やっぱりフットワークの軽さだったり(笑)、たくさんふざけられる印象に変わりました。

――なぜ慶大/明大に進学を決めたのか教えてください。
今:僕はずっと早慶に憧れていて早慶戦を見てきた中で、だんだん慶應に入りたいと思うようになりました。桐蔭学園高のような常勝チームでやるというよりは、少し下から上のチームを喰っていくことに魅力を感じて、そういうところにチャレンジしたいと思いました。あとやっぱり文武両道というところで、スポーツも勉強も二つの軸でトップの環境でやりたいと思ったのも決め手の一つです。
平:早明戦に憧れたっていうのもあるんですけど、やっぱり明治の『前へ』という言葉や、どんな局面でも前に出続ける力に惹かれて明治に決めました。

――お互いに刺激を受ける点はありますか。
今:僕は大学入って色んなポジションをやらせてもらって、センターは主に去年からやっています。慶明戦も近いですし、いざ試合で知っている人とキャプテン同士で戦うというのは気持ちの持ちようが変わってくる部分はあります。同じポジションで同じ主将として、チーム的にも個人的にも「負けられないな」と思います。
平:今年の(他大学含め)キャプテンで12番の選手が多いので「負けられない」気持ちは一緒なんですけど、ライバル意識を持つというよりは自分にフォーカスしていつも練習でやっていることをしっかり試合で出せたらなと思います。

――主将として意識していることを教えてください。
今:自分の性格的にも、昔のチームのトップダウンの感じよりは自分に合ったリーダーシップをしっかり発揮して、多くの人とコミュニケーションを取ることを大事にしています。上のグレード、下のグレード関係なくオフグラウンドでも積極的にみんなと関わって、その関わりをオングラウンドでもしっかり発揮する。みんなと一緒に頑張るという主将像が、自分が主将に選ばれた理由でもあり、自分が一番引っ張れる形だと思っています。
平:今までの3年間は私生活がおろそかになっている分、それがいつも最後にプレーに出てしまっていたと思っていて。今年はラグビーだけじゃなくて私生活の部分から徹底してやっていこうとしています。今、夏合宿明けて改善されつつあって、チームにもまとまりが出てきていると思っています。

[晴山赳生(明大スポーツ新聞部)]