(34)高校日本代表経験者ウイングが慶明戦で魅せる個性 小野澤謙真×白井瑛人 対談前編/慶明戦100戦目記念 慶應スポーツ新聞会コラボ企画

2025.10.29

 2023年度高校日本代表でチームメイトだった小野澤謙真(慶大)と白井瑛人(明大・商2=桐蔭学園)。11月2日、ラグビーの聖地・秩父宮ラグビー場で行われる100戦目の慶明戦を前に、外側からチームを前に押し上げるウイング対談が実現。共闘した当時のエピソードから、大学入学後の奮闘まで。2人の全てに迫った。(この取材は10月15日に行われたものです)

※本連載は慶應スポーツ新聞会とのコラボ企画となっております。後編は慶應スポーツ新聞会のWEBサイトに30日掲載予定ですので、併せてご覧ください!

――他己紹介をお願いします。
小野澤(小):瑛人くんとは高校日本代表の時に一緒になりました。天理合宿(2023年度高校日本代表強化合宿)で部屋が一緒で、イタリア観光も一緒に行って仲良くなりました。彼は高校の時センターだったんですけど、大学からウイングをやって、すごくパワフルなランと判断が上手くて、相手にしたら怖い選手です。僕が思う特徴は、ハイボールがすごく強くて、エディー(・ジョーンズ15人制日本代表HC)にも認められるぐらいすごい選手だと思います。
白井(白):謙真がさっき言った通り、高校ジャパンで初めて話して、同じ部屋でだいぶ仲良くしてもらいました。ちょっと気張って怖いのかなみたいな感じだったんですけど、全然そんなことはなくて、本当にフレンドリーで、めちゃくちゃ明るいなっていうのが最初の印象です。ラグビーに関しては、自分は高校3年生の時(花園は)シードで初戦とかは出ていなくて、見る機会が多かったんですけど、その中で「なんやこいつは」と思うぐらい特にステップやランの判断、ランコースもめちゃくちゃ良くて、すごい選手やなという印象が、僕が謙真のラグビーを初めて見た印象でした。大学になってからは1年生から試合に出ていて、フルバックやったりウイングやったり、コンバージョンキックもやっちゃうみたいな、とても器用な選手っていう感じです。

――お互いの知られざる素顔があれば教えてください。
白:謙真部屋でブロスタ(スマホゲーム)やってたよな。
小:やってたね(笑)
白:なんかその印象があるわ。謙真と大和哲将(明大・政経2=佐賀工)と同じ部屋になって、たまに服部亮太(早大)が顔出すみたいな感じの部屋で、その時はブロスタやってなかったんですけど、意外とゲームをめっちゃやるんやなって思いました(笑)
小:僕は結構スマホゲームが好きで、暇つぶしにめっちゃやってて、その時は隅田誠太郎(同志社大)がめちゃくちゃそのゲームが強くて、みんなでやってました。(白井選手の素顔は)僕が思う豆知識は、瑛人はずっと神奈川の人なんですけど、めっちゃ関西弁使います(笑)。最初は関西の人なんかなと思ってたら、大学に行って「あいつ全然違うよ」って諸田章彦(慶大)が教えてくれて。それで関西弁めっちゃ使うなっていう印象があります。
白:(白井選手はその自覚がありますか。)そうですね(笑)。同期の萩井耀司(明大・商2=桐蔭学園)と高校時代は結構過ごしていて、耀司が関西弁強いのもあって、ちょっと移っちゃった感じがありますね。神奈川出身ですけど、めっちゃエセ関西弁です(笑)

――お互いの第一印象はどのようなものでしたか。
小:(最初出会った時は)桐蔭は僕らの代で花園優勝していて、最初は正直怖くて、どんなすごいやつが来るだろうなと思っていました。でも瑛人は天然なところもあるし、面白いし、物腰柔らかに喋ってくれたので、最初はそれがすごくうれしかったです。
白:謙真も明るくて、(最初に出会った天理合宿では)あまり知り合いもいなく緊張してたとは思うんですけど、そんなこと全然感じなくて、めちゃくちゃ明るいなと感じていました。

――2023年高校日本代表イタリア遠征で大変だったことはありますか。
小:洗濯が難しくて大変でした。日本と違って洗濯するランドリーがホテルに備えつけがなくて、(ホテルの部屋で)みんなで手洗いしました。近くのランドリーまでコーチが行ってくれて、本当に少ない数だけ洗濯してくれましたが、僕は洗濯が一番大変でした。
白:どうだろうな、自分は初めての海外遠征だったので。謙真は初めてだったっけ。
小:俺は1、2回あるかな。
白:僕はもう(遠征が)初めてで、特にヨーロッパはあまり行かないところなので全てが新鮮でした。ホテルの食事が毎朝同じで、バイキングみたいな感じなんですけど、毎回チーズとかハムとか、パンとかしか出てこなくて。たまに夜食で出てくるおにぎりがめっちゃうまかったのは覚えてますね。特に食は結構脂っこいものが多かったので、お腹壊したりしてました。

――イタリア遠征で印象的なエピソードがあれば教えてください。
小:僕は明治の大和哲将が最後みんなの前でマジックをしたのが面白かったです(笑)。彼はすごいムードメーカーとして盛り上げてくれて、(マジックを)やるかやらないかずっと迷って、最終日に盛り上げたところが面白かったです(笑)。
白:僕は、高校代表時に移動用みたいな感じでスーツを作ったんですけど、松﨑天晴くん(青学大)がスーツをもらえたことがうれしすぎて、イタリア行く前の事前合宿の集合日に1人だけスーツで来ていたのがめちゃくちゃ面白かったです(笑)。

――第一印象と遠征後の印象で変わった部分はありますか。
白:謙真はやっぱりランコースであったり、ランの判断はやっぱり海外相手でもすごいなっていう印象でした。それだけじゃなくて、ミーティングの発言力であったり、場が固くなっても、謙真が和やかにしてくれる感じがあったので、自分はBKリーダーだったんですけど、ありがたい存在だったなと思います。
小:彼はたくさん私生活で喋ったり、いろんな人と会話していたのもあるんですけど、プレーになるとどちらかというとプレーで引っ張ってくれるタイプで、外国人相手にもタックルで倒して、相手選手をイライラさせるぐらい体を張って前に出てくれるプレーヤーだと思いました。その時(白井は)センターだったんですけど、プレーで引っ張ってる姿がすごく信頼できて、来年から相手になるのはすごい嫌だなって思いながらプレーしてました。

――昨年度の関東大学対抗戦(対抗戦)で対戦した時の印象はいかがでしたか。
白:僕はあまり覚えてないんですけど、本当に序盤の方に1回ラインブレークして、裏に蹴ってこれはトライだと思ったんですけど、謙真がカバーしていて「なんでそこおるん」みたいな印象でした。それでトライできなかったんですけど、やっぱり小野澤やなっていう感じのプレーをしてくれたなと思っています。
小:僕も完全には覚えてないんですけど、明治には本当にボコボコにされて、人数がすごく余って明治のアタックが全然止まりませんでした。その時に瑛人がフィニッシャーになって、裏のキックから左側にトライされて。その辺でみんなの気持ちがだんだん下がり始めて、そういう(トライを)取り切れる選手をこれから先4年間相手にしなきゃいけないのは大変だなって思いました。

――それぞれ現在の大学に進もうと思った理由を教えてください。
白:僕が明治に決めた理由は、選手層が厚い印象で、強い選手がいる中で進化していきたいなっていうのを思い描いていたので、明治が一番かなと思って選びました。
小:僕は色々練習に参加したり見に行ったりしていたんですけど、先輩方がすごい優しく接してくれて、人間関係の部分ですごい温かく、いろんなことにチャレンジさせてくれる仲間たちがいるなって思って、行きたい気持ちが強くなって決めました。

――尊敬している先輩がいれば教えてください。
白:去年の4年生に秋濱悠太さん(令7商卒・現リコーブラックラムズ東京)がいたんですけど、その人は本当に尊敬していました。ラグビーだけじゃなくて、人間性も、学問もしっかりちゃんとしていましたし、私生活の面でも自分のことを必死でやっていたので、去年の自分はすごく憧れました。
小:僕は今年のキャプテンの今野椋平さん(慶大)をすごく尊敬しています。BKのリーダーで、プレーでもプレー以外のコミュニケーションでもすごく引っ張ってくれて、彼から学んだことで、大学で成長してるなっていう実感があるので、椋平さんを一番尊敬しています。

――両校の主将の印象を教えてください。
小:僕は平翔太選手(商4=東福岡)とは喋ったことはないんですけど、対戦してとにかく体が大きいし、スキルもあって、キックも上手くて。逆に何ができないんだっていうような印象があります。去年もセットプレーからトライを取られて、明治は12番とウイングが絡むセットプレーをしてくるんですけど、そこで平選手が来るのがすごく嫌で。とにかくなんでもできる選手で、すごいなっていう印象があります。
白:椋平くんとは高校が一緒で、たまたま僕も上のチームでやらしてもらってたので、一緒の試合に出ることはなかったんですけど、Aチームが椋平くんでBチームが僕で、相手という形でした。やっぱりスキルフルで、キックも上手くて、喋るところもできて、頭もめっちゃ良いっていうのを聞いていて。多才だし、1年生の頃はすごく憧れがありましたね。大学に入って、椋平くんと試合をしたんですけど、やっぱり上手いなっていうのは変わらずで、今年はキャプテンも務めていて今もすごく尊敬しています。

[晴山赳生(明大スポーツ新聞部)、島森沙奈美(慶應スポーツ新聞会)]