(76)箱根駅伝予選会事前インタビュー⑧/大湊柊翔

2025.10.14

 昨年度7年ぶりに本選出場を逃した明大が、リベンジを懸け箱根駅伝予選会(箱根予選)に挑む。「紫紺の襷プロジェクト」初年度として、まず箱根駅伝への出場権獲得が絶対条件だ。伝統ある紫紺の誇りを懸け、箱根路への「帰還」を果たす。今回は箱根予選にエントリーされた14人の選手のコメントをお届けする。

 第8回は大湊柊翔(情コミ3=学法石川)のインタビューです。(このインタビューは10月8日にオンラインで行われたものです)

——今年度の夏合宿を通して、強化できたと実感する部分はありますか。
 「春シーズンに3カ月ほどケガで離脱していた時期があった影響で、みんなよりも走り込みが足りていない部分があったので、そこを人一倍やらなくてはいけないと考えていました。そのため新しく取り組んだというよりも、一から自分の体の状態と向き合って、補強や走り込みを中心に取り組んでいきました。9月からはレースペースに近い速さにスピード感を上げていって、心肺にも負荷をかけることを意識して練習に取り組みました。(成長という視点で)強いて言えば、1年目から箱根を走らせていただいて『主力として走る』という部分は当初から意識してやってきたつもりでいましたが、今回は1次と2次の合宿ではBチームに参加させていただくことが多かった中で、3年目になった自分が後輩を背中で引っ張ることができた、走りで示してチームを引っ張ることができたという部分が、収穫なのかなと思います」

——ケガでの離脱期間がありながらも、3年連続で箱根予選のエントリーメンバーに選出されたことについての心境はいかがですか。
 「ケガの影響はありますが、昨年度よりはいい状態だと感じています。昨年度の方が距離は踏んでいますし、もしかしたら練習もよくできていたかもしれません。ですがこの8、9月の夏合宿からチームに合流して、8月はしっかり走り込もう、9月は走り込んだものを持ってどんどんスピードの質を上げていこうという、期分けが自分の中で意識できていました。出された練習メニューではありますが、自分で意図をもって取り組めたことでスムーズに、ケガが再発しないように焦らずじっくりと練習ができました。ケガを言い訳にしたくありませんし(自分が)走らなければいけないとは元々思っていました。3年目ということで考える部分もありますが、昨年度とは違って怖さなどは特にありません。自分のいつも通りを発揮できれば走れるのではないかなと思います」

——ケガから立ち上げていく部分で、大志田秀次駅伝監督からはどのようなお話がありましたか。
 「基本的にリハビリなどは、自分に任せていただいていた部分が多かったです。その中でもやはり『慎重にやろう』というお話は頂いたりもしました。あとは下からの突き上げのような意味合いで『大湊がBチームでやる意味や理由を示してほしい』ということは、夏合宿が始まる前から合宿中にかけて言われていた、意識させられていた部分ではあります」

——現在のチームの雰囲気はいかがですか。
 「合宿が終わってから、みんな順調にポイント練習が消化できていて、チームとしてのまとまりも生まれてきています。箱根予選に対しては昨年度の雪辱をみんなが忘れずに持っているので、いい練習ができてもいい意味で納得していない、自分を含めて『もっとやれることがあるんじゃないか』という雰囲気があります。いい練習をしていてもチーム内に油断が生まれずに、危機感やいい緊張感を持ってやれているので、チームとして形になっていると思います」

——1年生が多数エントリーメンバーに入っていますが、後輩の走力についてはどのようにご覧になっていますか。
 「1年生に限らず下級生は、練習でも積極的に前を引っ張ることもあって、どんどんチャレンジする姿勢があります。自分も1年目から積極的に前に出ていた記憶がありますし、そういったことを踏まえると1年生が多く選ばれたことに対する不安というよりは、面白いのではないかな、という思いでいます」

——上級生として活動する中で、意識に変化はありましたか。
 「あまり悪い方に考えてはいませんが、やはり昨年度は箱根予選が終わってすぐにチームの世代が入れ替わったということもあって、4年生が卒業した後のことをより身近に考えてしまっている部分はあります。自分としては走りというよりも、上級生として自分の弱い部分はもっとなくしていく必要があるということを、少しずつ考え始めています」

——現在、レースプランはどのように考えていますか。
 「自分の中ではいい条件よりも最悪の条件、昨年度のような条件をイメージしていつも練習しています。その中で気温が高いのであれば、ある程度ペースを抑えて後半上げていくことを意識したレースプランでいきたいと考えています。今年度は誰かが稼ぐというよりも、本当に全体で取りにいかなければならないと思っています。そのために自分ができることを考えると、63分台でのゴールは絶対条件だと思うので、最初に無理をするよりは後半にしっかりと上げられるように、最初は余力を持って走りたいとイメージしています」

——「紫紺の襷プロジェクト」も開始し、応援の声が例年に増して多く届いているかと思います。箱根予選を控えた今、どのように受け止めていますか。
 「そういうプロジェクトをやっていただけているおかげ、そして大志田さんが来てくださったおかげで、本当に昨年度以上に充実した環境で練習に取り組めています。プロジェクトを始動していただいたこと、明治大学を応援してくださっている方々がいて今のチームがあるということを肌で感じています。だからこそより一層、今年度は絶対に箱根路で走っている姿を見せなければならないと思っています」

——ありがとうございました。

[春田麻衣]