其上達也 成長と挑戦の先にある日本一へ

2025.10.04

 明大弓道部の新戦力として1年生ながら団体戦で活躍する其上達也(農1=東農大三高)。最大の武器は高校時代に培った強靭(きょうじん)なメンタルだ。どんな苦難に直面しても「いつか絶対に抜き返せる道」と信じ、大学弓道の頂を目指す。

弓道漬けの生活
 本格的に弓道を始めたのは高校1年生の時だった。サッカーやバスケットボール、陸上競技など様々なスポーツを経験するも続かず「何か一つのものに夢中になりたい」と思っていた時に弓道と出会う。動画で見た弓を引く凛とした姿に興味を引かれ、挑戦を決意した。本気で取り組む覚悟を決め、県内の強豪・東農大三高に進学。最初は「日常生活で使わない筋肉や体の動かし方に苦戦した」。しかし、一度のめり込むと徹底的に追及する性格もあり、朝練はもちろん、弓を使えない昼間も道具を使って練習。さらに、帰宅後は教本を読み込んだ。それまでの飽き性ぶりは影を潜め、弓道一色のストイックな日々を送った。

逆境を越え飛躍
 高校時代で最も成長したことは「メンタルの強さ」だという。ケガにより思うように練習できず、結果も出せない時期が長く続いた。「なぜ自分だけが」と悩んだこともあったが、「考えていても無駄だ」とマイナスな気持ちを捨て、目の前のことに集中するようにした。「ケガで苦しんだ経験があるからこそ今のメンタルがある」。そう語る其上は、常に「今の状況でどうしたら結果を残せるか」を考えている。さらに自ら立候補し、団体戦で最後に弓を引く「落ち」を担うように。「落ちは緊張感やプレッシャーが大きく一番難しい。苦手だからこそ、挑戦したいと思った」。自ら選んだ重圧が彼の強さを形づくった。

念願の日本一へ
 弓道を始めた時から掲げた目標は『日本一』。初めてその夢に近づいたのは、高校3年時に臨んだインターハイ。しかし、念願の大舞台ではケガの影響で落ちの役割を果たせず。加えて結果も3位と苦い全国デビューに終わってしまう。それでも、悔しさとともに「やっとスタートラインに立てた」という確かな実感を得た。次の進路には寺本裕明前監督からの誘いを受け、明大を選んだ。入学後は先輩たちから日々学び、多くの刺激を受けている。特に若林優弥主将(農4=小笠)と増田皓太(理工4=富士宮西)の存在が大きく、大会での成績や技術面はもちろん、弓道に向き合う姿勢に圧倒されるという。「教えてもらっていることを、後輩たちにつないでいきたい。今後は実力だけでなく、メンタル面でもチームを引っ張っていく存在になりたい」。積み上げた努力と覚悟を胸に、今度こそ落ちを担い、悲願の『日本一』を射抜けるか。

[君嶋亜美果]

◆其上 達也(そのかみ・たつや)農1、埼玉県出身、東農大三高。ラジオが好きで、オフができるとずっと聞いている。好きなジャンルは音楽から芸人やアーティストのトークなど幅広い。170センチ・58キロ