瓜生丈仁 常に先頭に立つプレーヤーに

2025.10.03

 公立高校出身ながら超高校級FWとして活躍してきた瓜生丈仁(法1=小倉)。しかし彼が今までに歩んできた道程は簡単なものではなかった。

ラグビー一色の幼少期

 瓜生のラグビーとの出会いは15年前のことである。幼い時から彼の日常はラグビーとともにあった。最初は乗り気ではなく、練習を母の陰からのぞくだけだったが、徐々にその生活はラグビー中心になっていく。所属していたスクールの練習がない日でも、父・丈治氏(元九州電力キューデンヴォルテクス)が監督を務めるクラブチームの練習に参加し、中学3年生に上がる頃には福岡県選抜に抜擢(ばってき)される程の実力者になる。そして監督の西清則氏に導かれ、全国ジュニアラグビー大会でBブロック優勝を飾った。この経験は彼のラグビー人生に大きく影響を与えることとなる。

公立校・小倉高での日々

 名だたる強豪校の推薦を蹴って「自分の将来の可能性を広げたい」と瓜生が進学先に選んだのは小倉高校。福岡県屈指の進学校だ。公立高校ゆえにラグビーを高校から始める生徒も少なくない。それどころか新入部員を集めるのにも一苦労する。「(福岡県予選が)東福岡(高)一強の時代に未経験者の仲間と一緒に花園に行けたらと思っていた」。主将を任された瓜生は監督に直談判し、自身で一から練習メニューを組み立てた。初心者にレベルを合わせつつ、時にはU―17日本代表での経験をふまえながら、試行錯誤してメニューを完成させ、チームづくりに励んだ。そして迎えた花園(全国高等学校ラグビーフットボール大会)予選準決勝。相手は現チームメイトの熊谷鼓太郎(政経1=東福岡)擁する東福岡高だ。結果は及ばなかったが、この日小倉高は7年振りの県ベスト4を達成した。「辛いことは多かったけれど、『ラグビーが好きだ』という気持ちがあったからこそ踏ん張れた」。

憧れを胸に新たな挑戦へ

 強い憧れを胸に抱き、明大に入学した。現在はフランカーとして練習を積み、最近では新たにジャンパーにも挑戦している。レギュラーを張る選手と練習する中で感じるのは一つ一つのプレーに対する実力差。繰り返すケガも相まって伸び悩んでいる時期だと話すが、その言葉に後ろ向きな響きは感じられなかった。与えられた場所で最大限のパフォーマンスを発揮できる瓜生の成長は止まらない。西監督に言われた「常に先頭に立ってプレーする選手」像を目指し、瓜生の挑戦はこれからも続く。

[近藤未怜]

◆瓜生 丈仁(うりゅう・たけひと)法1、福岡県出身、小倉高。瓜生家では代々子どもの名前は自分の名前から1文字取る伝統だそうだが、破りたいと思っている。182センチ・88キロ