
(68)菅平合宿インタビュー④/堀颯介、室田安寿
今年度も長野・菅平にて長距離部門の合宿が行われた。昨年度の箱根駅伝予選会(箱根予選)の雪辱を果たすため、チーム一丸となって練習に励む選手たち。勝負のシーズンを目前に、覚悟を新たにした彼らの声をお届けする。
第4回は堀颯介(商4=仙台育英)、室田安寿長距離主将(情コミ4=宮崎日大)のインタビューです。(この取材は9月14日に行われたものです)
堀
――合宿での練習の消化率について教えてください。
「紋別合宿の最後の方で少しケガをしてしまったのですが、その中でも例年よりもしっかり消化できています。特に距離を踏むところが自分は苦手なのですが、しっかりできているので、いい合宿になっていると思います」
――ケガというのは。
「足首あたりが痛くなりました。ポイントはしっかり行えたので、そこは良かったかなと思います」
――現在の体の状態としてはいかがですか。
「例年、菅平合宿は苦手としているところがあるのですが、練習は積めています。ケガはまだ完治していませんが、その中でもこの4年間では一番いい状態なのではないかなと思っています」
――前年度から合宿で変わった点はありますか。
「距離走のペースが速くなっていて、より実践に近いかたちになっているので、いい緊張感を持って練習を行えていると思っています」
――合宿のテーマや目標は何か決めて取り組まれていましたか。
「過去一走ることが、3年時からの大きな目標だったので、しっかり夏合宿、過去の自分を超えるように走れているのかなとは思います」
――今のチームの雰囲気はいかがですか。
「まだまだ甘さが目立つ部分はありますが、その中でも昨年度の悔しさを思い出して、ここからもう一回頑張ることができれば、箱根予選、箱根駅伝をしっかりやっていけるのかなと思います」
――昨年度に比べ、成長した点を教えてください。
「昨年度はどこか妥協というか『これだけやればいいだろう』という弱い気持ちがあったのですが、今年度はそういった気持ちはなく、しっかり上を目指して頑張っています。チームの中でも切磋琢磨(せっさたくま)してやっていけているので、そういった部分では成長しているのかなと思います」
――チームの課題と強みは何だと思いますか。
「チームの課題としては、エースがいないというところです。森下(翔太・政経4=世羅)に頼り切ったチームだったら、やはりこの先勝てないと思いますし、森下を追い越すような選手というのはどんどんこれからつくっていかないといけないかなと思うので、そういった部分をしっかりやっていきたいなと思います。強みとしては、やはりポテンシャルはどこの大学でも負けていないと思うので、自分で諦めたりせずに、限界を決めずにやっていけば、持っている力は出せると思います」
――合宿中に見ていて、今後に期待を寄せる選手はいらっしゃいますか。
「古井(康介・政経4=浜松日体)は例年夏合宿を誰よりもやれていて強い選手なのですが、箱根予選前に少し調子を崩すことがあるのでそこをしっかり調整して、箱根予選で力を発揮してもらえればエース格になれる実力があると思うので、期待しています」
――箱根予選に向けての目標はありますか。
「まずはチームトップで走ることが自分の目標です。その中で他大学と戦わないといけないので、どんなにきつい時でも諦めずに、しっかり順位を追っていくことと、タイムに関しても、63分前後ではいきたいなと考えています。この後の合宿はまだ続くので、しっかりそういう走りができるような練習をしていきたいなと思っています」
――走りたい区間はありますか。
「1区です」
――理由を教えてください。
「単独走がそんなに得意ではないことと、しっかり流れをつくる方が得意だと思っています。しっかり1区で流れをつくって、あとはチームに託したいです。またラストスパートが得意なので、しっかり競っていって、先頭付近で渡せたらいいなと思います」
――【紫紺の襷プロジェクト】の影響は感じますか。
「トレーニング器具などが増えていますし、何より応援してくれる人がいることが自分たちの頑張る力になっています。しっかり走りで恩返ししないといけないので、気持ちの面でもいい状態で臨めますし、うれしいです」
――ありがとうございました。

室田
――ここまでの夏合宿では、どこを強化できたと実感していますか。
「一番は走り込みの部分で、基本的な持久力や足作りっていう部分は強化できたのかなと感じています」
――現在のコンディションについて教えてください。
「練習自体は通しでできていますが、後半にかけてうまくできなくなっている部分はあります。疲労感もありつつ、練習は継続できているという状態です」
――合宿前に「勝負どころでの粘りを強化したい」と仰っていたと思いますが、ここまでの合宿で何か手応えは感じていますか。
「紋別合宿に関しては概ねできたかな、というイメージでしたが、菅平合宿に入ってからは少し苦しい練習が続いている部分があります。残りの今日の練習や、明後日のポイントをよりいい状態で、いい練習ができるようにしたいなと思います」
――今年度から大志田駅伝監督の夏合宿となりましたが、例年と具体的にどういった部分で変化を感じていますか。
「やはり質と量は今までよりも上がっていると感じます。距離走のペースが早いことなどが、一番大きい変化だと思います。距離走の30キロという距離は変わらずではありますが、ポイント練習で1000メートルが24本あるなど、そういった部分で今までと比べて変化があると思います」
――そのような変化を経て、昨年度と比較して成長を感じられる部分はありますか。
「やはり昨年度と比べて、ボリュームはできて距離を取れている部分は大きいのかな、と感じています。全体的にジョグの量や走行距離に関しては、昨年度よりも多くやれているのが、チームとしてプラスなのかなと思います」
――合宿前から、チームの雰囲気の変化はありましたか。
「紋別合宿をやって菅平に来る中で少しずつ、駅伝に向けてや、箱根予選に向けての意識が変わってきた部分はあると思います。あとは1年生と上級生が話す機会も多くなって、そこの仲の良さはより出てきているのかなと感じます。まとまりが少しずつで出てきたのかなと思っています」
――長距離主将として、チームにどのような意識で働きかけをされていますか。
「一番は箱根予選に向けての部分が大きいのと、チームが逸れないようにしようという意識はあります。少し自分が気になったことは、もうその都度全体に連絡するなどの部分は、合宿だけじゃなくても、このチーム始まってからやっています。本当に、多分選手にとっては嫌なこと、痛いことだとは思いますが、そういう細かいことを伝えて、箱根予選や箱根に向かってやっている感じです」
――チームビルド面で、監督やコーチと話す機会はありますか。
「大志田さんに気になったことだったり、練習意図だったり、その練習の設定タイムなど、みんなが気になっていることや、自分自身が『これ何だろう』となった時は、その都度大志田さんに聞いて、認識の齟齬や食い違いがないようにしています。そこは自分の方でしっかりやっています」
――Bチームとのコミュニケーションはどのようにとっていますか。
「特別なことをして(コミュニケーションを)とっているわけではありませんが、井坂(佳亮・商4=水城)が最上級生としてBチームをまとめてやってくれているので、そこはもう信頼を置いて、井坂に任せています。自分はAチームのことをメインに見たり、一番はもう自分のことをメインにこの合宿はやっていこうと思っていたので、自分のことをメインにしつつ、Aチームの気になったことや細かいことを整えて、まとめていくようなかたちで動いています」
――室田選手から見て期待する選手、引っ張っていってくれそうな選手はどなたでしょうか。
「面白そうな選手であげるとしたら、1年生の小川(心徠・情コミ1=学法石川)に関しては面白いのかな、と思っています。元々スピードランナーで、最初はBチームでやっていましたが、状態が良くてAチームに合流してからもうまく練習を消化して、少しずつ距離耐性やハーフに向けての準備ができていると思います。あとは堀(颯介・商4=仙台育英)、古井(康介・政経4=浜松日体)あたりは順調に練習を積めているので、安定感の走りはできるのかな。あとは吉川(響・文4=世羅)、森下(政経4=世羅)、樹(山本・営4=専大松戸)も少しずつ、調子が悪い中でもうまく練習をやっているので、上級生も1年生も楽しみだなという印象です」
――学年ごとのカラーなどは、室田選手からはどのようにご覧になっていますか。
「1年生は〝元気〟で(笑)。もう陸上が大好きで頑張っているな、という印象です。2年生はわちゃわちゃしていて、個性的なメンバーが多い印象ですね。3年生も個性的な印象がありますが、オン・オフがしっかりしているな、と思います。4年生もまた、個性が強いです(笑)。その中でも集大成で、覚悟を持ってやれている選手が多い印象なので、期待しています」
――来る後半シーズンに向けて、個人として考えている目標を教えてください。
「箱根予選に関しては、個人50位以内を目標にやっています。チームとしてはやはり、箱根予選の通過が1番の目標だと思うので、そこを目指しています。箱根駅伝では、自分は10区を希望してきたので、10区で走って、区間賞を目標にやっていきたいと思っています」
――箱根予選に向けて、チームをどのように引っ張ろうと考えていますか。
「特に変わったことはせず、ということが一番だと考えています。選手が競技に集中しやすい環境などを整えていくことが必要だと思っています。あとは声掛けなどの部分ですね。ポイント練習など苦しい時の声掛けはできると思うので、そこをやっていきたいなと思っています」
――ありがとうございました。
[熊谷実夏、春田麻衣]
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