
(62)慶大戦事前インタビュー② 常松広太郎外野手
(この取材は8月27日に行われました)
常松広太郎外野手
――昨季はどのようなシーズンでしたか。
「個人的には全試合に出ることができて、充実したシーズンになりましたし、チームとしての価値が自分のモチベーションの原点だなというのは改めて感じました。そのようなところでは、チームの勝利に貢献できるようなバッティングをこの秋もしてもっと楽しみたいなと思います」
――.281の打率はどのように評価していますか。
「もっと(打率を)残せるかなとは考えていて。首位打者と比べるとかなり差はあるので、振り返ってみるともったいない打席もたくさんありましたし(リーグ戦に出て)3シーズン目で自分の中でも分かってきている部分があるので、そういったところでもっと上げていきたいなと思っています。(分かってきている部分というのは具体的にどのような部分でしょうか)コースと高さの部分でいろんな吸収がありました。欲張りすぎないとか、割り切りが難しいのですがやらないといけないことはするところですかね」
――リーグ戦初本塁打を含め、本塁打は3本出ました。
「打率を高めてもっと捉える打球を増やせば、コンパクトに振ってもまだ数字は伸ばせるかなと思っています。神宮は狭いですし風もあるので、そういうところで考えるともっと超えていける数字かなとは思います」
――バッティングリーダーをされているということですが、具体的にどのようなことをしていますか。
「明確な仕事があるわけではないですし、もちろん僕もバッティングですごく悩むこともありますし、常に引っ張っていけるわけではないですが、チーム全体のピッチャーへの攻略などを監督と相談してどう思うとか、そういうコミュニケーションを率先して取るのが僕の仕事だと思ってやっています。(メンタル的なところからも何かされていますか)はい、そうですね。実際に後輩たちがどう思っているかは分からないですが『チームでこういうことやろうよ』という話はベンチで率先してやるようにしています。僕も打てないとなかなか人にまで言う余裕はないですが、秋は自分も常に余裕を持ってできるように頑張りたいなと思っています」
――昨季、守備面での課題はありましたか。
「ありますね。10試合以上やって、かつ激闘が何個もあった上で第4戦というところで、集中力が自分では気づかないうちに吹っ切れているところが最後、あともう一踏ん張りというところに何か影響があるのかなと思います。守備も実際に練習をチームとしてやっていますし、ラストシーズンは発揮できればいいかなと思います」
――明大に対しては、どのような印象を抱いていますか。
「とにかくいい投手がたくさんいる印象があって、かつ野手も層が本当に熱くて誰が出てきてもパワーは変わらずに戦える、六大学で一番総合力の高いチームだなという印象です」
――明大で特に印象に残っている投手はいますか。
「います。大川慈英投手(国際4=常総学院)は2打席立って1本は打てたのですが、その前の打席の球は3球とも155キロを超えるもので、回転数も相当なものでした。自分がこの人生で見てきたストレートの中で一番すごくて、今後の球界を背負っていくピッチャーなのだなというのを感じました」
――野手で印象的だった選手はいますか。
「榊原選手(七斗・情コミ3=報徳学園)です。オールスターでバッティングの話もして『これだけ考えているんだってすごいな』と感じて。それが本塁打4本であったりとか、日米野球であれだけ活躍したりとか、そういうところにつながっているんだなというのが今では分かります。人柄もすごく柔らかい方で、一緒にプレーして楽しみたいです。リーグ戦の時も打率にしたらそこまで高くなかったと思うのですが、大事なところで絶対打つ印象があって、ああいうバッターに自分もなりたいなと素直に思えるバッターです」
――明大以外でも注目している打者はいらっしゃいますか。
「法大の松下(歩叶)選手は六大学の右バッターの中では格が違うかなと思っています。バットの出し方に関しても、どのコースに対してもいろんな出し方ができますし、かつ怪力というわけじゃなくて、しっかりバットを弾道に乗せて返すところが魅力的だなと思います」
――ラストシーズンに向けて取り組んでいることはありますか。
「逆方向にもっともっと打球を飛ばせるように取り組んでいるのですが、うまくいく日もあれば、うまくいかない日もあるので、リーグ戦までにそこをしっかりやりたいなと思っています。引っ張って大きいのを打つのは、自分の中では結構できるかなと思うので、いろんなコースに対して対応できるところを見せていけば、より自分の長所も生きてくるのかなと思いますし、頑張りたいです」
――試合は緊張と楽しみとどちらが強いですか。
「僕は緊張している時にしか打てなくて、リラックスできている時は、あまり良くなくて。もう足震えるのではないかぐらいの時に気づいたら打っていて、人よりリラックスするタイプなので、緊張しているぐらいが多分ちょうどいいです」
――ご自身にとって野球とはどのようなものですか。
「野球があったからこそ出会えた人がたくさんいるので。〝球縁〟という言葉をよくANDTVとかでもありますが、〝球縁〟に支えられる人生でもあります。例えばアメリカに住んでいた時も、野球がある程度、自分も自信があったのでリトルリーグで活躍できて、それで少し一目置かれたりとか、他のスポーツもやっていたこともあって友達もたくさんできました。日本帰ってきても、中高そんなきつくはやってこなかったのですが、キャプテンになって周りに指導してくれる方々やチームのみんながいて。大学でやったことも一番は野球で、寮に住ませてもらっていることも、交友関係の多くも野球に関わる人で。今の性格だったりとか、今の人間関係、全部が野球から来ているので競技自体に恩返ししたいなと思います」
――六大学野球だったからこそできたことはありますか。
「六大学ではなかったら慶應野球部は全く輝かないかなと思いますね。ここまでファンベースがしっかりしていて、歴史もあって、認知度が高いリーグでやっているからこそというところはありました。一つ例えを出すと、野球教室へ行っても、少しロングティーを打っただけで、子供100人くらいに囲まれて、自分の名前書くだけで喜んでもらえる、夢を与えられるのは他のリーグじゃあり得ないかなと思いますし、アマチュアですけど、たくさん注目してもらえるのは自分もやっていて楽しいですし、周りにもいろんな意味で恩返しできた理由かなと思います」
――野球に関して、大学4年間での一番の思い出は何ですか。
「今年の春なのですが、仲の良い今津(慶介外野手・慶大)と僕は最初はスタメンではなくて。その中で、監督が毎試合毎試合、セレクションみたいな感じで見てくれるのですが、毎日のようにずっと打ち続けて、スタメンに2人でなって、そこからリーグ戦に出るという、その一連のそのストーリーが下剋上で思い出です」
――対戦したい明大の選手はいますか。
「大川慈英投手で。前回カーブをヒットにしたのですが、彼の真っすぐを完璧に捉えたいなと思っていて。大川投手は大学野球全体でも僕は一番のピッチャーだと思いますし、そういうピッチャーから打てれば自分自身の自信にもつながるかなと思います」
――チームの注目選手を教えてください。
「加藤右悟(捕手・慶大)で。寮内では天然で少しバカで、常にいじられている弟分という感じなのですが、ここ5試合で本塁打3、4本ぐらい出て、もう手がつけられない状態で。キャッチャー能力もすごく高いですし、本当にスタメンになるのではないかというくらいになっていて。そのギャップも『こいつすげえな』と思います。『こいつ大丈夫か』と思うこともあるのですが、すごく愛されている選手でもあるので、リーグ戦一緒に戦って活躍してくれたら本当にうれしいなと思います」
――ご自身の注目してほしいところはありますか。
「あまり良くないのかもしれないですが、結構明るく派手なパフォーマンスではないですけど、そういうところも含めて自分だと思うので。もちろん真面目に長打力とかそういうところも見てほしい気持ちはありますが、六大学野球全体を盛り上げたい気持ちがあります。そういった意味で、野球以外のところも大きく盛り上げたいですし、見てほしいです」
――今季の意気込みをお願いします。
「チームの勝利に繋がる決勝打やサヨナラ打をたくさん打って、最終的な記録も大事ですけど、リーグ戦を見た全員の記憶に残るようなプレーをシーズンを通して繰り広げたいなと思います!」
――ありがとうございました。
[小松錦葵]
関連記事
RELATED ENTRIES