(60)秋季リーグ戦開幕前インタビュー 木本圭一主将

2025.09.20

(この取材は9月16日、電話にて行われました)

木本圭一主将(政経4=桐蔭学園)
――夏の状況を概観していかがですか。
 「自分のやりたいかたちで試合を進めてこられたので、結果も悪くなく、順調にきているかと思います」

――キャンプではどういった意識で練習されていましたか。
 「いい打者はたくさんいるので、自分はそのつなぎ役というか。次のバッターにつないだり、相手のピッチャーが嫌がることをしたり、その結果としてバッティングでも体が開かなくなって、打率が上がり出塁率も増えたという感じですね」

――オープン戦では特筆して右方向への打球が多いように見受けられます。
 「やっぱりボールを長く見て対応していくというのを意識して取り組んでいるので、その結果としてライト方向にヒットが多くなっていると思います。その分ボールも見えていると思いますし、リーグ戦もいいかたちで入れると思います。やりたいかたちで打てているときこそ長打も増えてくると思いますが、そこは欲しがらずに自分のかたちでやっていきたいですね」

――オープン戦で印象に残っている試合はございますか。
 「青山学院大戦ですかね。やはり強いチームなので、対戦してみてどの程度の差があるのかなというのを確かめるためにも気持ちを入れて試合をしました。(収穫としては何か)まずはそこまで力の差はないかなというのが一番ですね。あと向こうの投手は、ピンチのときに低めにボールを集めてなんとか抑えるという姿勢がしっかりと見えたので、そこは明治も取り入れるべきかなと思いました」

――投手陣で言えば、この秋はかなり層が厚いようにお見受けしました。現状どのように見えていますか。
 「自分から見ると、少し不安かなというのはありますね。リーグ戦をやりながら、どこまで誰が良くなっていくか、というところが大事なのかなと思います。毛利(海大投手・情コミ4=福岡大大濠)はいいピッチングをしているので、毛利以外がどれだけ頑張れるかかなと思っています。(最上級生の結束や思いもあるかと思います)ケガ明けが多いので長いイニングを投げられるかはあまり分かりませんが、ラストシーズンとして4年生が必死にアピールして『自分たちで抑えるんだ』という気持ちは伝わってきていますね」

――チーム全体の調子も、オープン戦を経る中で良くなっているとお伺いしまいた。今はどのように感じていらっしゃいますか。
 「最小の方は全然、どっちもかみ合ってなくて『大丈夫かな』という印象でした。途中からは打者陣がしっかりと自分の役割を把握して、結果を残しはじめたことでピッチャーも安定してきて、歯車がすごくかみ合っている感じがありますね。このままの流れでいけば、しっかりとしたリーグ戦ができるかなと思っています。春より手応えはいいかなと思います」

――現在すでにリーグ戦も開幕し、他大学でもフレッシュな面々がそろっています。木本主将が個人的に期待する選手はいらっしゃいますか。
 「岡田(啓吾内野手・商3=前橋育英)ですかね。(昨季の優勝決定戦でも代打出場、クロスプレーとなる右前安打を放っていたのが印象的ですが)そうですね。ミート力があってしっかりとアジャストできるので、しっかりと塁に出てもらって。あとは足があるので、1本のヒットで二塁からかえってきたり、長所が多い選手で魅力的に感じています」

――昨季の後「より強いスイングを」というお話を伺いました。実際の取り組みであったり成長を感じていらっしゃる部分はございますか。
 「スイングの量を増やして、あとは3キロくらいのハンマーがあるんですけど。そのハンマーを持って、軽くスイングの形に動かしたりスイングしたり、その後にバットをスイングすると体のキレが覚えられるので、それを新しく取り入れました。あとは4年春は打撃の数値がいろいろ良くなかったところもあったんですが、3年生の頃の数値が戻ってきていますね。(具体的には)バットスイングの速さと、あとは〝オンプレーン〟というどれだけボールの軌道に対してバットが入っているかという数値があるんですが、それがかなり高くなっています。その分ヒット率が上がることにもつながるんですが、4年春よりも数段良くなっていると思います」

――木本主将は、自主練でも体のキレであったり形であったりを重視されていると感じます。自主練で素振りをされる際には何を指標に取り組んでおられるのでしょうか。
 「スイングの数は決めていないですかね。正しいスイングでしっかりと音が鳴る。ちゃんとした音が鳴るまでですかね。(音が指標なんですね)はい。ただ鳴らすことはどんな振り方でもできると思いますが、体を開かないスイングで音が出せないと試合で打てるものも打てなくなってしまうので。スイングのキレという意味で、音は気にしていますね。(音が主将のパンチ力やシャープさにつながっていたんですね)そうですね。音が鳴らないときは、ハンマーを振ったりいろんな工夫をして状態が戻るように意識しています」

――昨春は打席での積極性という部分にも言及されていました。現在も流動的な打順だと思いますが、そちらの心境の変化や対応のようなものは何かございますか。
 「今2番を打っているので、1番の岡田が塁に出てというかたちで。積極性だけではいけない部分、岡田を見ながらどういうふうに自分が次につなぐか。しっかり考えています。2番だとどうしても積極的にいけない部分はありますが、しっかりと状況を判断しながらいいかたちで3、4、5番に回せるようにを考えています。(2番という打順は、主将のオールラウンドさを生かせるものでもあると思います)そうですね。自分は2番、周りの状況を見ながらやるのも結構好きで、嫌じゃないですね。うまいこと打順のつながりに徹せられればいいなと思っています」

――すでにリーグ戦は開幕していますが、主将は他大学のどのような点に着目してご覧になっていますか。
 「やはり投手ですかね。相手投手はかなり気にしています。新しい投手が出てきている分、そんなに完成度が高いわけじゃないと思うので。相手投手の生命線であるボールをしっかり全員で潰しに行って、相手投手が崩れてどんどん点数が入るというのが秋ずっとできているので、しっかりと相手投手の生命線を狙って、打線で戦っていきたいなと思っています」

――野球部のグラウンドなどで、最も思い出に残っている場所はございますか。
 「ベンチ裏は4年生が荷物を置いておく場所なんですが、この場所でいろんなたわいもない会話をしていたことが思い出ですね」

――2年春に神宮初出場、今秋でいよいよラストシーズンとなります。
 「元々は全然明治で試合に出られると思ってなかったところから始まって、いいも悪いもリーグ戦で経験してこられたと思います。最後はこの経験を生かして、自分の結果をいいものにして、あとは周りもしっかり巻き込んで、最後優勝できたらなというふうに思います」

――この秋、チームとして乗り越えるべき課題や克服すべき点などはございますか。
 「やはり最小失点で抑えて、打線はなるべく1点でも多く取るというのが一番大切だと思います。最後は早稲田の伊藤樹だと思っているので、そこもしっかり倒したいなと思います」

――東京六大学について『打高投低』というお話もあります。
 「そうですね。やはり打撃が目立っています。ただ早稲田のときだけはそうじゃないとも思っているので、しっかり打者陣が対策を考えながら、そこだけはしっかりと点を取りに行って、いつも通り守らなきゃいけないと思います」

――個人的には、どのような点が最後の命運を分けるとお考えでしょうか。
 「打線だと思います。オープン戦をやってきた中でも、どんなにピッチャーが点を取られてもしっかり打てれば勝ってきているので。やはりそういったところで一人一人が打席で戦うのではなく、打線として全員で向かっていく練習はこの秋のオープン戦でしっかり自信をつけられた点だと思っています」

――目標であるプロ入りに向けても、重要なシーズンとなります、具体的な到達目標のようなものはございますか。
 「キャリアハイの数字を求めて、ベストナインを取りたいなと思っています。(これまでの成績を振り返っても、各シーズン特長が異なりました。今季最も重視したい数字はどちらになりますか)今回は出塁率をうまく持っていきたいなと思っています。自分が出られれば得点になると思っているので、きっちりヒットを打てればいいですが、フォアボールを貰えるときは貰って、つなぎ役に徹して戦いたいです」

――最後に意気込みをお願いします。
 「今までの経験を生かし、主将としてもチームとしても、しっかり一試合一試合で成長しながら戦って、後輩たちの見たことない日本一まで辿りつきたいと思っているので、一戦必勝で頑張ります」

――ありがとうございました。

[松下日軌]