
(4)シーズン直前インタビュー 周藤集
いよいよ本格的なシーズンが始まる。明大の新戦力として氷上に立つ選手もいれば、今季で現役生活に区切りをつける選手もいる。4年に一度の五輪シーズンを迎え、リンクにはいつにも増して緊張感が漂う。新しいシーズンを前に、彼らは何を思うのか。本インタビューでは、その胸の内をお届けする。
(この取材は9月11日に行われたものです)
第1回は周藤集(政経1=ID学園)のインタビューです。
――大学生活はいかがですか。
「大学が始まってから1カ月間ぐらいはやはり慣れず、電車の通勤ラッシュに押されてきつかったのですが、先輩たちに楽単の授業とかを教えてもらったおかげでいい感じにサボれて、最近は慣れてきました。(具体的に誰に教わりましたか。)一番教わったのは、佳生(三浦・政経2=目黒日大)と、竜生くん(菊地・政経3=目黒日大)が、先輩の中ではお世話になりました」
――大学の授業で面白かった授業はありますか。
「異文化コミュニケーションという授業があるのですが、その授業は先生もとてもいい方で、色々な国の異なる文化について初めて大学に入って学ぶことができて、こういう視点も存在するのだということをすごく学べた授業でした」
――行ってみたい国はありますか。
「小さい頃からハワイにちょくちょく行っていて、先週もちょうど旅行でハワイ行ってきて、プールとか海とかすごい景色が綺麗だったので、また来年あたりに行きたいなと思っています。(他にしたことはありますか。)ハワイにスケートリンクあったので、向こうでも1日2、3時間ぐらいは練習していました」
――大学に入って変化したことはありますか。
「練習する時間帯とかは取っている授業の時間帯に合わせてずらしたりしています。授業は1、2限をなるべく取るようにしているので、大学に入ってからは夕方から夜にかけての練習が増えてきました」
――授業のある日のスケジュールはどのような感じなのでしょうか。
「まず、朝5時半ぐらいに起床して支度して、1時間半ぐらい電車に乗って最寄り駅から明大前まで行って、1限から授業受けて2限終わってからリンクに向かいます。15時15分から練習を始めて、休憩時間や陸上トレーニングとかあいだにあるのですが、21時くらいまで練習して、電車で帰宅という感じです」
――夏休みの思い出はありますか。
「先ほど言ったハワイも思い出に残っているのですが、MF(MFアカデミー)の子たち、中田璃士くん(中京大中京)とかと一緒にサウナと温泉に2、3回行ったこともすごく楽しかったです」
――明大の合宿は行きましたか。
「行きました」
――合宿での思い出はありますか。
「三浦選手や竜生くんなどすごく上手な選手が多くいて、練習はみんな真剣に4回転も取り組んでいて、先輩方から刺激をたくさんもらいました。練習後はみんなで花火をしたり、最終日にみんなでバーベキューをしたりしたのがすごく楽しかったです」
――オフの時のリフレッシュ方法はありますか。
「やはりサウナですね。温泉施設に行って、友達とサウナに入ることが一番リフレッシュになります。あとは1人の時間が必要なタイプなので、家でユーチューブを見ながらゲームするのもリフレッシュになります。(具体的にどんなジャンルのものを見ますか。)ユーチューブはチャンネルガードマンというユーチューバーさんや、さわやんゲームズというユーチューバーさんを見ていて、ゲームは野球のゲームなのですが、プロ野球スピリッツというのと、サッカーのイーフットボールを友達と電話しながらよくやっています」
――現在の調子はいかがですか。
「今シーズンはサマーカップのSP(ショートプログラム)がノーミスでできて、練習でやっていることがはっきりし始めたので、今は結構調子が良いです。練習でもジャンプは8割ぐらいはまるようになっていて、スピンやステップもきちんと抜かずに全力で自分に負荷をかける練習ができているので、調子はとても良いのですが、4回転トーループとサルコーがあとちょっとというところで苦戦しています。なので、東日本、全日本ジュニアが始まる前に、降りられて安定させられるようにしたいなと思っています」
――逆にサマーカップで見つかった課題はありましたか。
「サマーカップで一番課題だなと思ったのは、やはりFS(フリースケーティング)ですね。SPでは3位といい順位につけたのですが、ジャンプが7本と多いフリーの後半で集中力が途切れてしまったり、スタミナが切れてミスが続いたりしていたので、サマーカップが終わってからはひたすらFSの練習をしてきました」
――具体的にどのような練習をされているのでしょうか。
「スケートには単発、一本一本ジャンプを飛ぶ練習があるのですが、その練習は曲かけや試合を想定した練習ではなくただジャンプそのものの質の練習で、僕がやっていた練習はジャンププログラムに入っているジャンプを全て繋げた練習を何度も反復練習することで、試合を想定したジャンプ練習をひたすらやっています」
――今シーズンのSPとFSはどのようなプログラムですか。
「SPは韓国のシン・イェジ先生という方に振り付けていただいた音楽学校に通っている少年の物語です。ジャズ系の音楽でドラムなどの結構弾けるような音が多いので、自分もドラムのように弾けて明るい雰囲気で踊ることをイメージしてやっています。FSは『ノートルダムの鐘』なのですが、主人公のカジモトという貧乏で嫌われている人がいて、その人が曲の後半に行くにつれて次第に自分を探していく感じなので、最初は暗いところから始まって、だんだん自分を取り戻していくというように見せられるように演じたいです」
――韓国のシン・イェジ先生に振り付けていただいたきっかけなどはありますか。
「小さい頃父の転勤の都合で韓国に3年間ぐらい行っていて、その時に習っていた先生が今回のSPを振り付けてくださいました。」
――一番注目して欲しい部分はどこでしょうか。
「SPはステップシークエンスのところで曲調が変わってさらに明るくなってハイテンポになるのですが、そこで高速に踏むステップや表現を見てほしいです。FSもコレオシークエンスが始まるところで、曲調が強くなり、どんどん激しく物語がクライマックスになっていくところで、しっかり自分の力強さや体のメリハリをつけた演技に注目してほしいです」
――演目の中で自分らしさが出る部分はどこでしょうか。
「僕は今までずっとSPは暗い曲、失恋系の曲を使うことが多くて、今回初めて明るい曲を使ったので、今まで見せていた自分とは違う新しい一面を見てほしいです。FSは少しおとなしめのゆっくりとしたワルツの部分が多いので、ゆったりした曲調のところで、自分の持ち味である手足の美しさとかを皆さんにお見せできたらいいなと思っています」
――今回もお母様に衣装を作ってもらっているのでしょうか。
「はい、今回もSP、FS両方作ってもらっています」
――前回の取材で3回転アクセルの練習もしていると言っていましたが調子はどうですか。
「トリプルアクセルは練習では8割くらい成功していて、残り2割はタイミングがずれたり、自分のいつも乗っている位置からずれたりすると、バンクしてしまうのでそこをもう少し改善していけたらなと思っています」
――今シーズンはここが違うというところはありますか。
「前シーズンは2年前の全日本選手権の骨折から復帰したシーズンで、半年間スケート滑れていなかった分やはりスケーティングの部分がだいぶ落ちてしまっていました。今シーズンではスケーティングの部分をメインにやってきて、むしろ怪我前よりも一歩一歩の滑りが長くなってきた点と、今まで僕はジャンプの安定感がない選手だったのですが、今シーズンは練習から見直して、ジャンプの安定感にも目を向けて練習してきました。その結果、この間の東京夏季選手権ではSPもFSもジャンプをまとめられたので、そこにも注目してほしいです」
――現時点でプログラムの完成度はどれほどでしょうか。
「SPは80パーセントくらいで、FSは60から65パーセントぐらいです。SPは去年から継続のプログラムなので結構滑り込めていて、曲の繊細なところまでちゃんと目を向けられているのですが、FSは今シーズンからのプログラムで、やはり賢二先生(宮本賢二氏)に振り付けていただいた細かい所作とかが、ジャンプに集中してしまった試合の時に抜けてしまっていることが多いので、練習から無意識でそういう動作ができるようにしていきたいです」
――意識しているライバルはいますか。
「やはり一番近くにいる璃士です。中田璃士くんが一番のライバルで、その他のジュニアの植村駿くん(就実学園)や、太翔(西野太翔・星槎国際)もジャンプが本当に上手で、4回転も綺麗に降りるのでライバルですね」
――試合前のルーティーンはありますか。
「試合の時は大体公式練習が朝にあって本番が夜か夕方頃なのですが、朝の公式練習の後に15分から30分ぐらい昼寝をすることがルーティーンですね。ルーティーンを決めすぎてしまうとそれができなかった時に不安になってしまうと思うので、あまりたくさんは決めないようにしています」
――ジュニアは今年でラストとなります、意気込みを教えてください。
「今シーズンはジュニアラストシーズンとなるので、全ての試合を楽しんで、自信を持った演技を毎回お見せできるように頑張ります」
――最後にファンの皆さんにメッセージをお願いします。
「いつも応援ありがとうございます。今シーズンは安定した演技を毎回お見せできるように頑張ります。応援よろしくお願いします」
――ありがとうございました。
[藤岡千佳]
(写真は本人提供)
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