(26)シーズン後インタビュー 江川マリア

2025.06.30

 各選手がさまざまな思いを抱え駆け抜けた今シーズン。全日本フィギュアスケート選手権(全日本)に6人が出場、日本学生氷上競技選手権(インカレ)では男子が団体部門で優勝を果たすなど活躍した1年となった。本インタビューではシーズン後の選手たちの声をお届けする。

(この取材は5月23日に行われたものです)

第4回は江川マリア(政経4=香椎)のインタビューです。

――最近の調子はいかがですか。
 「オフシーズンという感じなんですけど、どこも怪我とかもなく、いい練習が積めているかなというふうに思います」

――大学では最高学年の4年生になって、昨年とは違うものが何かありますか。
「そうですね。もう卒業できそうな単位数になってきたので、学校に行くことも少なくなって、少し心の余裕ができたかなというふうには感じています」

――学校に行く時間も昨年までより少なくなりますよね。その分練習に当てられる時間も多くなったのでしょうか。
 「オンアイスの練習自体は時間帯が決められているので変わらないんですけど、それ以外のオフアイスでのトレーニングだったり、そういうものに時間を使えたりしています。去年よりも充実した練習が積めているんじゃないかなというのは感じています」

――現在はどのような練習を積んでいますか。
 「まだ新しいプログラムをつくれていなくて、FS(フリースケーティング)は継続なのでブラッシュアップですね。去年よりブラッシュアップしたものができるようにというのと、あとは去年よりも難易度の高いジャンプを習得して、ちゃんと試合でできるように毎日練習しています」

――オフアイスでは、どのように過ごされていますか。どこかに行かれたりなどしましたか。
 「旅行とかはあまりしていないんですけど。うーん。最近ハマっていることがあって、ずっと料理が趣味ではあるんですけど、その中でも米粉を使った料理ですね。ほとんど作るのはパンケーキなんですけど、パンケーキにめちゃくちゃハマっています。30分早く起きてでも作りたいってぐらい作っています(笑)」

――明大の女子スケーターの方はお菓子作りなど好きな方が多い印象があります。
 「そうですね。りをんちゃん(住吉主将・政経4=駒場学園)とかはもう趣味の域を超えてるぐらいパン作りをしていますね(笑)。りをんちゃんが言うにはベーグルが一番パンの中で簡単らしいです」

――オンアイスの話に移ります。昨シーズンを総括していかがですか。
「昨シーズンは振り返ると、つらかったり苦しい気持ちの方が大きい大会が多かったです。たくさん学びは得られたので、ちゃんとそれを今シーズンに生かしていけるようにしたいです。今はまた切り替えて練習できてるかなという感じです」

――悔しい気持ちが大きかったシーズンでしたか。
 「そうですね。強化選手に初めて選ばれたシーズンだったので、去年の一番の目標はまたもう一歩上を目指して、強化選手に入るだけじゃなくて、国際大会に出場していくことが目標でした。特に全日本では思うようにできなくて、目標にはほど遠い結果になってしまったので、そこが一番悔しかったところです」

――昨年の全日本選手権(全日本)では総合20位でした。SP(ショートプログラム)、FS(フリースケーティング)ともに満足はできなかった印象がありますか。
 「そうですね。SPは今まで3回全日本出てきた中では、エレメンツとしてはそんなに悪くない出来だったと思うんですけど、スピンやステップとか、そういう細かい面でのミスが多かったです。そこは結構シーズンを通しての点でもあったので、SPは全然ダメだったという感覚はないんですけど、特にFSは気持ちを切り替えられずに挑んでしまったかなという。自分の実力不足があったなというのを、すごく体感した大会でした」

――年明けの全日本学生氷上選手権(インカレ)では女子総合2位でした。振り返っていかがですか。
 「昨年は団体の表彰台を逃して、今年はあまり気負わず頑張ろうねと言っていました。特に中京大と同志社大が強くて、その中でみんなで頑張って団体準優勝できたのはすごくうれしかったです」

――今年度、最後のインカレの目標を教えてください。
 「もちろん団体優勝は本当に目指しているので、そこはしっかりチームワークも深めながらみんなで頑張れたらいいなと思います」

――新入生の奥野友莉菜選手(商1=駒場学園)とはどのような関わりがありますか。
 「明大に入る前から、滑走屋で一緒になったところから結構仲良くなりました。大学で初めて会ったというよりは、その前から面識はありましたし、去年の合宿も参加してくれたので明治にずっといるような感覚ですね(笑)」

――滑走屋に今回も出場されましたが、いかがでしたか。
 「そうですね。去年から演目が一つ新しいものが増えた状態での再演ということで、人数も増えて、踊りや構成の密度も高く、本当にレベルアップしていたんじゃないかな、と演じる方としても実感していました」

――今年は広島県での開催でした。何かおいしいものを食べたりなどしましたか。
 「滑走屋終わったあとは広島観光で。宮島に行って食べ歩きして、お好み焼きも2回ぐらい食べたので、観光も楽しめたかなと思います」

――スケート教室もありました。参加した子どもたちとの交流していかがでしたか。
 「今回の滑走屋の合間にあった教室は、滑るのが初めての子が結構多かったんですけど、そういう機会をスケートに興味を持ってくれる子が増えたらいいなというのは思っていて、すごく自分自身も楽しい経験になりました」

――実際に指導してみて、感じたことはありましたか。
 「初めて氷に乗る子が多いんですけど、みんな幼いので覚えるのも早くて。1時間くらいの教室でいつのまにか滑れるようになってるという感じでした。自分も教えていて、そういう部分が新鮮というか、滑れる子を教えるのとはまた違った感じで楽しかったです」

――今回の滑走屋で印象に残っていたり、影響を受けたスケーターの方はいますか。
 「一番衝撃的というか、もう本当にすごいなと思ったのは、新しくメンバーに入った育良ちゃん(櫛田育良・木下アカデミー)です。おそらく滑走屋では最年少なのかなと思うんですけど、本当に大人っぽい一面をたくさん表現の中に持っていて、すごくきれいにそつなくこなしますし、高橋大輔さんが多分求めてる以上のことをすごくやってるなっていう感じがしました。たくさん見て学ぶもの多かったなというふうに思います」

――お話にあがった櫛田さんは島田高志郎さん(木下グループ)とアイスダンスのカップルを結成することが発表されました。どのように感じられましたか。
 「本当に表現力はシングルの時から素晴らしいものを持っていて、それを滑走屋で発揮しまくっていて。なのでアイスダンスでも、もっともっとその育良ちゃんの良さが高志郎くんとのペアでも出ていくんじゃないかなと思っています。同じ選手ですけど、ファンのような気持ちで応援したいなと思います」

――夜遅くまで練習したりなど、大変な部分も多かったと思いますが、改めて滑走屋というショーを経て得られたものを教えてください。
 「去年は演目をこなすので必死で、まだまだ突き詰められていないところもあったのかなと自分の中で感じていました。今年は去年の経験も生かして、カウントの取り方だったりで細かい部分まで気をつかえたり、見せ方の違いも意識して、いろいろなことに気を配りながら滑ることができたのかなと思います」

――SPは変更されるということですが、曲目などは決まっていますか。
 「曲の内容などは決まっています。決まっているんですけど、一応アクアカップまでにできるかがギリギリ分からなくて、できたらアクアカップでお披露目という形になります」

――振付師さんは決まっていらっしゃいますか。
 「はい。キャシー・リード先生にやっていただくことになっています」

――経緯を教えていただけますか。
 「優しい女性の曲調なので、女性の振付師さんに振り付けていただきたいなというイメージがずっとありました。その中で色々ご縁もあって、先生にもご提案いただいて、振り付けていただくことに決めました」

――ご自身の中で印象に残っている大会を教えてください。
 「印象に残っているのは毎年なんですけど、全日本かなと思います。やはり一番思い入れがシーズンの中でも強い大会ですね」

――昨シーズンを通して成長したと感じることはありますか。
 「シーズン通してあまり調子が上がらないというのが率直な実感としてあって、その中でも諦めるわけではなく、もがいて頑張っていたなと今振り返ると思います。耐える力というか、悪い時にどう少しでもいい方向に持っていくかという、引き出しが増えた年でもあったかなと思います」

――明法オンアイスにも出演されました。
「実行委員として関わらせていただいて、準備をしました。今年の4年生は特に光翔くん(大島光翔・令7政経卒)と華那ちゃん(堀見華那・令7商卒)で、歳が近くて関わりも多くて、思い出深かったですし。4年生を送るいい会にすることができてよかったというのが一番の感想です」

――今年は4年生として、見送られる側になりますね。
 「そうですね。もう4年生という実感がずっとなくて、そのままもう最後までいそうな気もするんですけど(笑)。一番最後の明法オンアイスまでシーズン始まったらあっという間だと思うので、『大学のスケート生活楽しかったな』と思えるように今年1年間過ごしていきたいです」

――大学生ラストイヤーということで、節目の年になると思います。今の心境を教えてください。
 「大学最後の年ではあるんですけれども、一年一年、大学生の時に濃い充実したスケート生活を送ってこれたなと感じていて、今年も一歩一歩目の前の目標に向かって頑張れたらいいなと思っています」

――ありがとうございました。

[橋本太陽、大島菜央]

※写真は本人提供