(25)シーズン後インタビュー 元榮愛子

 各選手がさまざまな思いを抱え駆け抜けた今シーズン。全日本フィギュアスケート選手権(全日本)に6人が出場、日本学生氷上競技選手権(インカレ)では男子が団体部門で優勝を果たすなど活躍した1年となった。本インタビューではシーズン後の選手たちの声をお届けする。

(この取材は4月29日に行われたものです)

――大学生活も折り返しを迎えました。2年間を振り返っていかがですか。
 「めちゃくちゃあっという間で、まだ最近入学した気がしています(笑)」

――キャンパスも変わって和泉キャンパスから駿河台キャンパスになりました。雰囲気はいかがですか。
 「和泉は結構(キャンパスが)広かったんですけど、駿河台はビルが1本だから教室の移動がすごく楽になりました。(どちらの方がお好きですか。)楽さは今の(駿河台キャャンパスの)方が楽なんですけど、景色とか、大学っぽくて、素敵だなと思うのは和泉だったのかなと思います」

――春休みはどのように過ごしていましたか。
 「やっぱりほとんど練習して、いつもよりたくさん寝た感じでした(笑)」

――具体的にどういう練習をされたのですか。
 「FS(フリースケーティング)の曲を変えたので、新しいFSを練習したりとか、あとは少し新しいというか、あまり大会があるとやらないような、最近やっていなかったジャンプをやってみたりしていました。(ジャンプは何を練習していましたか。)去年のプログラムに入れていなかった種類のトーループと、あとはループをやったりしました」

――今シーズンはご自身にとってどのようなシーズンになりましたか。
 「夏の試合が始まった時はもう何もできていなくて、どうしようという感じだったんですけど、ブロック(東京選手権)は何とか通過できて、その後もあまり調子を落とし過ぎずに最後までできたので、結果的には良かったシーズンかなと思います」

――シーズン通して安定した演技をされていたと思います。安定した演技ができた秘訣(ひけつ)はありますか。
 「練習ですごく不安いっぱいみたいな感じの時も結構あったんですけど、本番では調子悪い時もそれなりにまとめられたと思います。あまりシーズン中にすごく大きなケガをしたりもしなかったので、そこもあるかなと思います」

――今シーズンどの試合が一番印象に残っていますか。
 「国スポ(国民スポーツ大会冬季大会)は印象に残っているかなと思います」

――どのような部分が特に印象に残っていますか。
 「国スポに出たのは高校生ぶりで、それもすごくうれしかったし、あとはりをんちゃん(住吉主将・商4=駒場学園)のおかげでしかないんですけど、最後にめちゃくちゃ大きい表彰台に、りをんちゃんと一緒に乗ることができてかわいい表彰状を持って、めちゃくちゃうれしくて思い出に残りました」

――国スポのFSはシーズンベストだったと思います。SP(ショートプログラム)、FSそれぞれ振り返っていかがですか。
 「国スポの練習はすごく駄目で、もうまずいという感じで、SPは失敗してしまったんですけど、声援に後押しされて、何とか通過できて。FSもすごく不安でいっぱいだったんですけど、その瞬間は本当に東京の皆さんがすごく応援してくださって頑張ることができました。点数もシーズンでは一番で出せて、FSはまとめられたので良かったなと思います」

――国スポはインカレ(日本学生氷上競技選手権)とは違った応援の雰囲気だったと思いますがいかがでしたか。
 「一回出たことのある高校生の時はコロナだったりして、あまり応援という感じではなかったんですけど、大きい声でいっぱい応援してくれて、自分より年下の子も結構多かったので、かわいくてすごくうれしかったです」

――SPのシーズンベストは東日本選手権(東日本)だったと思いますが、振り返っていただけますか。
 「本当に東日本はもうシーズンの前は行けなさそうという感じだったので、もう(東日本に)来られただけで良かったというふうになっていたので、SPは思い切ってできたのかなと思います。でも、FSはあまり練習でしないところで失敗してしまって終わってみたらもう少し頑張れたかなと思って、少し悔しい思いはありました」

――SPの時点では全日本選手権(全日本)出場も狙えたと思いますが、意識はされていましたか。
 「FSの時は全然意識はしてなかったんですけど、終わってみたらもっとできたかなとは思います。でもやっぱり元々の実力が全然足りていないので、あまり意識はしてなかったんですけど、もう少し頑張りたいなと思いました」

――シーズン前からリベンジしたいとおっしゃっていたインカレで団体2位となりました。
 「全然貢献はしていないけど、去年みたいにSPで落ちてしまって、すごく足を引っ張るということはまぬがれたかなと思います。SPでも最初のジャンプをパンクしてしまって、もうまずいという感じになったんですけど、その後に一応まとめられてSPを通過できたのは、少し成長できたかなって思ってほっとしました」

――最初のジャンプで失敗してもまとめられるようになったみたいな部分の強さは、メンタル面での成長でしょうか。それとも練習で意識していた感じでしょうか。
 「去年のインカレの時は本当にもう練習の時から何もできていなくて、調子が悪すぎたというのもあります。今シーズンは調子が悪い時も去年よりはましなラインをキープできたのが要因かなと思います」

――シーズン前はFSのステップやスピンが課題とおっしゃっていました。大会を重ねるにつれて馴染んできたなどご自身の感覚としてはいかがでしたか。
 「(シーズン)最後の方ではステップは慣れてきたかなと思っています。スピンもすごくうまくはならなかったけど、最初の方はすごく止まりそうだったのが、少しだけ曲の中で止まらなくなってきたかなというのは思いました」

――国スポのFSに関しては、98点台で、100点台も視野に入ってくる点数が出ました。ご自身としては、SPとFSで今後は何点を目標にしていますか。
 「両方、SPもFSも自己ベストを出したいという気持ちはあるんですけど、SPは自分で出したことのある点数は結構高めなので、そこに近づけるようにしたいです。FSは多分100点を出したことは多分ないと思うので、100点ぐらい出せたらうれしいなと思います」

――その目標に向けてはどのような部分をブラッシュアップしていきたいですか。
 「やっぱり(プログラムに)入っているジャンプがまだレベルが低いし、もう少しジャンプを難しくしなければいけないなというのもあって。あとはやっぱり他のところ、ステップやスピン、スケーティングとかも、もっともっと練習してうまくならないと全然その点数にはつながらないと思うので、全部頑張らなければいけないなという感じです」

――3回転ルッツも試合での着氷率が昨年から上がったような印象ですが、いかがですか。 
 「去年は多分1回とかしか決まっていなかったので、今年の方が決まったなと思います。去年よりも練習からすごく調子を落としすぎていることはあまりなかったので、そのおかげもあるかなと思います」

――シーズン前には3回転トーループの練習をしているというお話がありました。春休みも練習を重ねたということですが手応えとしてはいかがですか。
 「一応今のFSには入れてみたりとかして練習しているんですけど、すごく跳べるわけではなくて。でも、去年よりかは少しずつ感覚的に良くなってきているかなと思うので、もう少し頑張りたいなと思います。(来シーズンからプログラムに入れる予定ですか。)何かしらのジャンプは増やしたいなと思っているので、トーループだけでなくループも一応やってみたりとかして、できるか分からないんですけど、頑張りたいです」

――シーズンを通して成長を感じた部分はありますか。
 「去年よりは少し調子悪いなと思っても、調子を落としすぎず、ましなラインをキープできたというところが成長したのかなと思います」

――たくさん大会に出場された中で今シーズン印象に残っている選手はいらっしゃいますか。
 「インカレで、やっぱり明治のみんなと一緒に出たこと、東インカレ(東日本学生選手権)も含めて一緒に出られていたのがすごく印象に残っています。あとは、国スポも東京のみんなと一緒に出ていたというので、一人というよりも、みんなと一緒に出ていたというのがすごく印象に残っているかなと思います」

――明治×法政 on ICE 2025を振り返っていかがでしたか。
 「本当に楽しかったなと思います」

――グループナンバーの練習で印象に残っていることとかはありますか。
 「今年は神奈川チームというのがあって、神奈川チームで練習したことが印象に残っているかなと思います」

――明大の選手は皆さん仲良さそうな雰囲気でしたが、どこかに出掛けたりされるのですか
 「明治の女の子で、ご飯に行ったりとかはあります。(その際はどのようなお話をされるのですか。)いろいろな話をしていたと思うんですけど、単位を頑張って取ろうという話をしたりとか(笑)。ふわっと、ずっと楽しくお話しています」

――卒業した4年生とのエピソードがあれば教えてください。
 「華那ちゃん(堀見・令7商卒)は、本当にめちゃくちゃ感謝してもし切れないくらいお世話になったなと思っていて。すごくいろいろなことを教えてもらったし、もうすごく感謝でいっぱいの先輩だなという思い出があって。光翔くんはめちゃくちゃ優しいです。やっぱり印象に残っているのは、インカレとかですごくおっきな声で応援してくださって。疲れた時とかも背中を押してもらえた応援でした。華那ちゃんもすごく応援してくださって、本当に2人にすごく支えられたこの2年間だったなと思っています」

――今年からスケート部フィギュア部門の主務を務めることになりますが、その点に関してはいかがですか
 「去年と一昨年、華那ちゃんとマリアちゃん(江川・政経4=香椎)がやってくださっていて、本当にもうすごくお世話になりました。大変なことも多いと思いますし、お二人みたいに頼りのある存在ではないんですけど、みんながしっかり頑張れるようにしたいなと思います」

――2年継続のSPは変える予定でしょうか。
 「そうですね、変えようとは思っていて。でも本当は、FSは変えるつもりがなかったのに、結構タイムオーバーをよく取られるから変えてしまったので、両方変えるのはすごく自分的には結構大変でチャレンジではあるんですけど、多分変えるのではないかなと思っています」

――FSを変えたのはタイムオーバーになってしまうことが主な理由ですか。
 「そうですね。タイム(オーバー)になってしまうことがいっぱいあったのと、あとはFSの方は今年でやり切れたなという思いはあったので、それも一因かなと思います」

――先日のリリーカップで初披露となりました。改めて振り返っていかがですか。
 「やっぱり(プログラムを)作ったばかりなので、ぎこちないところも多かったんですけど、もっとこれから直さなければいけないところがいっぱいあるなと思いました」

――どのようなとこで魅せられるようにしたいですか。
 「去年の曲はずっと静かな感じの曲だったんですけど、今回は最後が少し盛り上がっているので、強弱をつけられるように頑張りたいなと思います」

――オフシーズンはどのように過ごす予定ですか。
 「しっかり練習をして、シーズンが始まった時にしっかり動けるように頑張りたいなと思います」

――来シーズンの目標を教えてください。
「今シーズンは自分的には去年よりは少し前に進めたシーズンかなと思うので、来シーズンもまた少し前進できるように頑張りたいなと思います」

――今シーズン応援してくださったファンの方に最後メッセージをお願いします。
 「今シーズンは昨シーズンよりもたくさん試合に出られて、すごく良かったなと思うので、来シーズンもまた少し成長できるように頑張ります。ありがとうございました」

――ありがとうございました。

[堀口心遥]